これから楽しむのは、レ・レクレアシオンによる「フーガの技法」(2022年録音)です。レ・レクレアシオンは2010年にデビューした弦楽四重奏団で、「フーガの技法」では、マチュー・カミレリ、サンドリーヌ・デュペ、クララ・ミューレターラー、ジュリアン・アンスウォルト、五味敬子と、「拡大された」四重奏団(5名で4パートを分担)での録音です。
楽器はヴァイオリン属のヴァイオリン、ヴィオリーノ・ピッコロ、ヴィオラ、チェロ、ヴィオロンチェッロ・ピッコロで、曲によりさまざまなくみあわせでの演奏。コントラプンクトゥス第14番は、カミレリの再構成による演奏で、いったん途切れたところで休止し、あらためて展開されるかたちです。
レ・レクレアシオンは、「わたしたちもまた、弦楽器で『フーガの技法』を演奏したいという欲望に屈した」と述べていますが、佐藤俊介とオランダ・バッハ協会は、ヴォカリーズをまじえて「フーガの技法」を演奏したいという欲望に屈しています。こういうことであるなら、ほかの演奏家、アンサンブルにもいろいろ屈してもらいたいところです。
CD : RIC 453(RICERCAR)