先日、知人が「マタイ受難曲」のブルーレイをもってきて、「ガンバを奏いているのは日本人のようだけど、だれ?」と問われました。そのディスクというのは、イヴァン・フィッシャー指揮のコンセルトヘボウのもの。で、「とりあえず」とみてみれば、件の奏者は上村かおりでした。上村はベルギー在住の奏者で、ヴィーラント・クイケンの弟子。リチェルカール・コンソートやレ・タラン・リリックなどとの共演も多く、すぐれたガンバ奏者です。
その上村がコンセルトヘボウの「マタイ」に出演しているとは思っていませんでしたので、ちょっとびっくりです。どういう経緯で依頼されたのかはわかりませんが、ゲストの演奏家の中には、オランダのオルガン奏者、レオ・ファン・ドーセラール(第1オルガン)の顔もみえます。入念なチューニングをしてのぞんだ、ピーター・ハーヴェイとのアリアは、おそめのテンポですが、じつに渋い名演だったと思います。
上演後、拍手を受けて退場するピーター・ハーヴェイ(第1バス)とは、なにかことばをかわしているようで(握手も?)、ハーヴェイから賞賛のことばをかけられたのではないでしょうか。ちなみに、上村の映像をみて思い出したのですが、サイモン・ラトルが、ピーター・セラーズの演出で上演した、ベルリン・フィルとのブルーレイ。こちらのヴィオラ・ダ・ガンバは、ソロの録音も多いヒレ・パールで、いつもながらのすぐれた演奏でした。
[追記]ドーセラールは、2007年よりコンセルトヘボウ(ホール)の常任オルガン奏者を勤めているようで、2012年の録画時点ではゲストではなく、ホームの奏者ということになるようです。