ピアノによるバッハ、今日きくのは借りものの「エレーヌ・グリモー/バッハ・トランスクライブド」(ドイツ・グラモフォン UCCG-1426)から、BWV849(「平均律」第1巻第4番)です。エレーヌ・グリモーは、『野生のしらべ』なんていう著書もある、1969年生まれのフランスの奏者(昨日のマルタ・アルゲリッチからは30歳近く年下)。ディスコグラフィーをみると、ラフマニノフ(15歳の録音デビュー)、ショパン、シューマン、ブラームス、ガーシュウィン、ベート-ヴェン、バルトークといった作曲家がならんでいて、バッハはこれがはじめてのようです。
グリモーいわく、「どうしてバッハの音楽はあらゆる人を感動させ、その心に語りかけることができるのだろうか、と不思議に思ったのがこのアルバムを作るきっかけとなりました。私はその普遍的な力の秘密を突きとめたかったのです。」。この嬰ハ短調のプレリュードをはじめてきいたとき、再生音量をまちがったかと。それほどの弱音にはじまるプレリュードでは、チェンバロでは味わえない詩情があり、フーガも主題が積み上がっていくにしたがい、弱音からじょじょに強音へ。壮大なフーガのクライマックスを繊細に築いています。