先週から楽しんでいる、桒形亜樹子による「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」。これからきくのはプレリュードとフーガ第12番(BWV857)で、これで前半12曲をききおえることになります。桒形の「平均律」は、「テンポ設定の見直し」と、ブラッドリー・レーマンが自筆譜表紙の渦巻き模様から解読した「不等分律」の採用という、耳新しいアプローチで録音されています。
「テンポ設定の見直し」の実例は、前半だと第2番、第5番のプレリュード、そして第8番のフーガ。すでに録音は無数にある「平均律」ですから、それらからの影響を極力排して楽曲に対峙するには、研究にもとづく「テンポ設定の見直し」も必要なのだろうと感じさせます。個人的には、第2番にしろ、第5番、第8番にしろ、とくに違和感はありませんでした。
なお、桒形による「この録音に寄せて」は、録音におけるアプローチを、コンパクトながらくわしく解説しており、おもしろい読みものです。
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