昨日きいた「鳴れ、太鼓よ! 響け、トランペットよ!」と同じく、これからきく「われら心を配り、しかと見守らん」も、「クリスマス・オラトリオ」の原曲のひとつ。BWV213からは、レチタティーヴォと第13曲の合唱をのぞき、すべてがBWV248に転用されています。なお、第13曲も転用が予定されていましたが、新作が採用されました。
それにしても、バッハ(と詩人、おそらくはピカンダー)のパロディーの妙は驚くべきもので、BWV213ではヘラクレスを誘惑する「快楽」のアリアが、BWV248では馬小屋のイエスの子守歌に改作され、それになんの違和感もいだかせません。もちろん、歌詞がちがうのでかなり修正されていますが。
演奏は、昨日に続きコープマンたちによるもの。ヘラクレスを歌うフォン・マグヌス(アーノンクールの娘)、「徳」を歌うプレガルディエンが秀逸で、第7曲と第9曲のアリアや、第11曲の二重唱などききものです。プレガルディエンは、1度目にきいたレオンハルト(記事は「『われら心を配り、しかと見守らん』 BWV213」)のもとでも歌っていました。
CD : WPCS-5991/4(ワーナーミュージック・ジャパン)