今週きいてきたのは、マウロ・ヴァッリの「Bach in Bologna」。この「Bach in Bologna」は、バッハの無伴奏チェロ組曲6曲と、ボローニャの音楽家ドメニコ・ガブリエッリ(1651年~1690年)のリチェルカーレ(無伴奏チェロ曲)8曲を収録したCDで、2014年から2017年にかけて録音されています。ここではバッハのみを収録順にきいいてきて、これからきくのは第5番(BWV1011)。ヴァッリのチェロは、即興的な装飾をちりばめ、イタリアの奏者らしくよく歌うものですが、ただたんに歌うのみではありません。レチタティーヴォのように語るようなところもあり、じつに深みがあります。
ピッチはボローニャでの標準というa'=465Hzを採用しており、これはバッハの組曲がボローニャに輸入された可能性を想定しているようです。ボローニャにはジョヴァンニ・バッティスタ・マルティーニ神父(1706年~1784年)というよく知られた音楽家がおり、バッハの「クラヴィーア練習曲集」を所持していたようなので、そういう可能性はあったかもしれません。高いピッチがもたらしたのは、やはり張りと明るさ。録音のよさとあいまって、とても魅力ある演奏となっています。なお、チェロはアンドレア・カスタネッリが1740年ごろに製作した楽器。弓はペリクリ・ピーテの2010年製。録音は2017年です。
CD : A 459(ARCANA)