『グレン・グールドは語る』(ちくま学芸文庫)は、グレン・グールドが死の前年(1981年)に「みずからの音楽や思想を、心を開いて語り尽く」したインタビュー本。心を開かせたのは、グールドの10歳下のジョナサン・スコットで、ふつうならききにくそうな質問もグールドにぶつけており、これにもグールドは真摯にこたえています。手もとの文庫は2016年の第7刷で、グールドの語りのほか、訳者である宮澤淳一のくわしい解説、さらに、ディスコグラフィー、フィルモグラフィーなどが付録されています。今週はグールドの「イギリス組曲」をきいており、本のほうもひさしぶりに手にとって楽しんでいます。なお、扉にスコットによる「グレン・グールドの思い出に」という献辞とともに、芭蕉の句が掲載されています。
鐘消えて花の香は撞く夕べかな(鐘消えて花の香は撞く夕哉)