今宵しばし楽しむのは、「The Di Martinelli Manuscript」(GLOSSA GCD 922521)です。このアルバムは、ヴァイオリンのエヴァ・サラディンを中心に、バーゼル・スコラ・カンタールムの同窓によって録音されたもの。「Violin sonatas of the late 17th century」と副題にあるように、17世紀後期のヴァイオリン・ソナタを収録したものです。ソナタは音楽家一族のディ・マルティネッリ家(イタリアからオランダに移住)が収集したもので、アルバムには比較的めずらしいソナタが収録されています。
これからきくのはヨハン・クリストフ・ペツのト短調のソナタ第30番。アダージョ、アレグロ、アダージョ、(チャッコーナ)、アダージョ、グラーヴェ(ジーグ) という構成で、10分ほどの曲です。ペツはアルカンジェロ・コレッリに学んだのドイツの音楽家。ゲオルク・フィリップ・テレマンが称賛したというだけあり、ここできくソナタは変化にとんで楽しめます。サラディンと共演しているのは、チェンバロのヨハネス・ケラー、同じくゼバスティアン・ヴィーナント、チェロのダニエル・ロシン。録音は2020年です。