4週にわたってきいてきたグスタフ・レオンハルトの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」。ロ短調の第24番には、プレリュードにアンダンテ、フーガにラルゴの表記がありますが、そのような表記はこのBWV869だけ。バッハがなぜこれだけにそうしたのかは不明ですが、しかし第1巻の掉尾に飾るにふさわしい曲であることはたしかです。どこまでも続きそうなプレリュードには、くり返し記号がありますが、レオンハルトはこれを省略しています。テンポも速めなので、2分足らずの演奏時間です。続く4声フーガは12音技法を先どりしたかのような主題からなりますが、不安定さはなく、じつに悠揚と展開されていきます。
CD : BVCD-38096~97(ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル)