今日きくのは、昨日と同名のモテット。フランクのコラール「イエスよ、わが喜び」(奇数楽章)に、「ローマの信徒への手紙」(偶数楽章)が挿入され、両歌詞による楽章が「対立を強めつつも響き合いを増し、感動的な惜別の歌(第9曲)へと達する」(『バッハ事典』)作品です。
このモテットを、今日はヘレヴェーゲたちによる演奏でききます。その演奏の特長は、非ドイツ語圏のメンバーながらも、ドイツ語の扱いがうまいところと、ソリストのみを起用した、パート1人による編成を採用(CDに収録されたBWV227以外のモテットは合唱)したところです。
ヘレヴェーゲは、BWV227だけをパート1人の編成にしたことについて、この作品が「宗教的マドリガーレのすぐれた伝統的様式」によっていること、「ほかのモテットの協奏的な性格がないこと」から、パート1人による演奏を選んだようです(引用はヘレヴェーゲのCD解説)。
たしかに、シュッツやモンテヴェルディの宗教的マドリガーレ(宗教的コンチェルト)に親しんでいるものとしては、パート1人での演奏のほうがしっくりきます。また、ヘレヴェーゲの演奏は、音楽は流れながらも、けっしてことばがうわすべりしないところがすぐれていると思います。
CD : HMC 901231(harmonia mundi)