トン・コープマンの録音活動は、はや40年近くに。フィリップスでの録音ではじまった経歴ですが、初期のコープマンは、バッハの録音があまりありませんでした。ふえてきたのは80年代になってから。フィリップスから、複数台のためのチェンバロ協奏曲、ヴァイオリン、そしてフルートのソナタ、エラートから、「平均律」、「ブランデンブルク」など、続々とバッハ(の有名曲)を録音するようになりました。
とはいえ、全集が予定されていたアルヒーフでのオルガン録音も完結せず(ノヴァリスでも)、つくり手も、きき手も、ヴァルヒャやリヒターに、いかに呪縛されていたかがうかがえます。これからきくホ短調のプレリュード(「6つの小さなプレリュード」)も、そんなころの1987年録音。コープマンらしく、このBWV938のような小品でも雄弁で、装飾をたくさんつけて弾いていますが、そこがいやだというかたも。
CD : 10 210(CAPRICCIO)