今夜はさきほどまで、ヨーハン・ゴットフリート・ミューテルのチェンバロ協奏曲を楽しんでいました。ミューテルは、1728年生まれの音楽家で、バッハ最晩年の弟子のひとり(最後の弟子といわれています)。バッハ訪問時はメクレンブルク・シュヴェーリン宮廷の室内楽奏者兼オルガン奏者で、1年間の休暇をもらい、1750年5月にバッハの門をたたきました。しかし、バッハは目の手術に失敗しており、その年の7月28日には亡くなっているわけで、どれだけの教えをうけられたかはよくわかりません。ライプツィヒ滞在でえた知己なのか、のちにバッハの女婿のヨーハン・クリストフ・アルトニコル(ナウムブルク)や、エマーヌエル・バッハ(ベルリン)を訪ねたりもしているようです。
さて、きいていたのは「Konzerte und Kammermusik」(MDG 325 0452-2)と題された、ムジカ・アルタ・リパによる音源。CDは2枚組で、1枚目にはチェンバロの独奏曲、二重奏曲、ヴァイオリンやフルートのためのソナタなど、2枚目にはチェンバロ協奏曲が収録されています。ミューテルは作曲家としては寡作だったようで、その作品をきく機会はあまりありません。しかし、ひさしぶりにきいた、ニ短調の協奏曲(チェンバロ、2本のファゴット、弦楽、通奏低音のための)は、友人でもあったエマーヌエルを思わせる情趣の濃い作品で、ミューテルがすぐれた作曲家であったことをうかがわせます。同じニ短調の、バッハ、エマーヌエルのチェンバロ協奏曲とききくらべるとおもしろいかもしれません。