これからきくのは、イギリスのチェンバロ奏者ダヴィット・モロニーによる「フーガの技法」。モロニーは、チェンバロ奏者としてだけではなく、研究者としても名高く、このBWV1080では未完の4声3重フーガを、4声4重フーガに補完して弾いています。同じように補完して演奏している例は、ヘルムート・ヴァルヒャなど、いくつかありますが、個人的にはモロニーによるものが、いちばんしっくりきます。また、アルバムには未完のほうも収録されており、どちらもきくことができるのも魅力です。録音は1985年で、昨日まで楽しんだマリア・ジョアン・ピレシュのピアノ協奏曲と同じ時期。しかし、こちらのほうが録音の鮮度はまだしっかりしています。
CD : HMC 901169.70(Harmonia Mundi)