これからきく「満ち足れるプライセの都よ」は、1728年に初演された結婚式のためのカンタータ。一時、基本資料であったアルトとソフラノのパート譜(クリスティアン・ゴットロープ・マイスナーの筆写)が行方不明になっていて、それがピアニスト原智恵子の遺品から発見されて話題になりました。
しかし、じっさいに演奏するには、自筆総譜が消失しているため、このパート譜をもとにした復元作業が欠かせず、それがジョシュア・リフキンに依頼されました。そうして復元されたカンタータが、リフキンの指揮でサントリーホールで上演。これを収録したのがこれからきく演奏です。
公演のもようはNHKでも放送され、そちらもみていましたが、復元版は傑作という印象はありませんでした。バッハなら、時空を超えた弟子リフキンの復元に、どんな評価をするのでしょう。購入時に一度だけきいただけ演奏なので、再度ききなおしてみるのが楽しみです。
なお、発見されたパート譜は、『ヨハンセバスティアンバッハ 《満ち足りたプライセの町》BWV216 オリジナルパート譜ファクシミリ版』として、東京書籍から出版されています。解説と鑑定報告の執筆者は、礒山雅と小林義武です。
CD : MNCL-104(MAINICHI CLASSICS)