今宵きくのは、アンナ・プロハスカたちによる「Serpent & Fire」(Alpha Classics Alpha 250)です。先日、同じプロハスカの「Bach Redemption」で、まちがって「この録音には松永綾子(ヴァイオリン)が参加しています」としたのですが、その松永綾子が参加しているのは2015年録音の、この「Serpent & Fire」(蛇と炎)のほうでした。こちらの共演はジョヴァンニ・アントニーニとイル・ジャルディーノ・アルモニコで、松永綾子が参加しているのはこのグループです。「Serpent & Fire」のテーマは、副題に「Arias for Dido & Cleopatra」とあるように、ともにアフリカの女王であるディドとクレオパトラで、2人のアリア(とレチタティーヴォ)が集められています。
作曲家は、ヘンリー・パーセル、クリストフ・グラウプナー、アントニオ・サルトリオ、ダニエレ・ダ・カストロヴィッラリ、ジョージ・フレデリック・ヘンデル、ヨーハン・アードルフ・ハッセ、フランチェスコ・カヴァッリ、ルイージ・ロッシ(器楽のみの作曲家は省略)。なかでもパーセルはCDの劈頭と掉尾を飾っており、曲は「ディドとエネアス」から採られています。プロハスカのディドもきかせます。アリアの選曲で個人的に気に入ったのは、ヘンデルの「わたしに憐れみを感じないなら」。「ジュリオ・チェーザレ」からのクレオパトラのアリアというと、ふつう「涙はあふれ」とか「麗しの瞳よ」なのですが、好きなアリアだけにこれはうれしいですね。