今日は聖金曜日(キリストが十字架にかけられた日)ということで、きくのはもちろん受難曲。昨年は、コープマン編の「マルコ受難曲」でしたが、今年は、待降節からききはじめたコラール・カンタータの流れをうけて、「ヨハネ受難曲」の第2稿(1725年稿)をきくことにします。
「ヨハネ受難曲」は、トマス・カントル就任後はじめての聖金曜日に初演(1724年)。翌年の聖金曜日にも再演されたのですが、このとき、冒頭曲と終曲が、「マタイ受難曲」の第1部終曲とカンタータ第23番終曲に、それぞれ変更されるなど、大幅な改訂がおこなわれました。
そのため、第2稿による演奏できくと、ふつうきく、第4稿(1749年の最終稿)を底本にした「ヨハネ受難曲」とは、ずいぶん印象がちがいます。いきなり「おお人よ、汝の大いなる罪を嘆け」とはじまるわけですから、予備知識なしに第2稿のCDを買うと、とまどってしまいます。
そんな第2稿の楽曲を音としてきいたのは、シュナイトらによるアナログ・ディスク(1978年録音)がはじめて。ピリオド楽器と、合唱・ソリストともに少年をふくむ男声という編成で、演奏はともかく、変更された合唱曲2曲とアリア3曲が付録されていて、資料的価値の高いものでした。
今日きく演奏は、さすがにシュナイトではなく、ペーター・ノイマンらによる1999年の録音。ノイマンというとモーツァルトが連想されますが、バッハもなかなか。「ヨハネ」は2度目の録音で、ケルン・サークルの演奏家たちとともに、地味ながらも堅実な演奏をきかせてくれます。
なお第2稿による演奏には、ヘレヴェーゲの録音(2度目)、樋口隆一のライブ録音などがあります。
CD : MDG 332 0983-2(MDG)