先月末からきいてきた、バンジャマン・アラールの「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」。2021年に録音したアルバムでは、アラール独自の配列が採用されており、第1番からはじまって、「サブドミナント経由」(アラールの解説)で行って帰るをくり返し、これからきく第2番(BWV847)でおわる収録順となっています。第1番から第24番まで、ふつうの順番で一気に楽しみたいかたには不便ですが、プレイリストを作成すれば解決。ふつうの順番で収録し、アラールの配列を提言する手もあったと思うのですが、アラールとしてはアルバムを演奏会のようにとらえ、必ずしも番号順でなくてもよい、という見識を示したのでしょう。演奏についてはいつものアラールのように、音楽がきわめて自然に流れるもの。アーティキュレーションなど、じっさいにはこまやかな気配りがあるのですが、「これみよがし」的なところがないため、連続してきいていても疲れることがありません。といっても、まだアラールの同曲集を全曲連続できいたことはないのですが。
CD : HMM 902466.68(harmonia mundi)