エーリヒ・ヘーバルト(ヴァイオリン)とアーポ・ハッキネン(チェンバロ)によるヴァイオリン・ソナタ。2011年と2013年に録音されたアルバムの収録曲を、先週から番号順にきいてきており、これからきくのは、その掉尾に収録されたホ短調のソナタ(BWV1023)です。このソナタはこれまできいてきたものとちがい、組曲風の構成をとっています。即興的(トッカータ風)な第1楽章にはじまり、第2楽章はアダージョ・マ・ノン・タント、第3楽章はアッレマンダ(アルマンド)、第4楽章のジーグと続きます。真作性については疑問も呈されているようです。
ところで、ここまできいてきたヘーバルトの演奏ですが、多彩なビブラートで表情づけされており(運弓によるニュアンスはやや乏しく感じましたが)、そのビブラートもピリオド・アプローチの奏者としては比較的多めです。ハッキネンの演奏は、ほかのアルバムと同じくアグレッシブ。BWV1019での独奏などききものです。なお、二人の使用楽器は、ヘーバルトがジュゼッペ・ジョヴァンニ・バッティスタ・グァルネリ(フィリウス・アンドレア)製のヴァイオリン、ハッキネンがフランク・ルトコフスキーとロバート・ロビネット(ヨーハン・アードルフ・ハスによる)製のチェンバロです。
CD : AE-10236(AEOLUS)