今年の7月に、ハープによる「ゴルトベルク変奏曲」として、カトリン・フィンチの録音を紹介しました(記事は「カトリン・フィンチ『ゴルトベルク変奏曲』」)。じつは、そのときフィンチではなく、同じハープによるシルヴァン・ブラッセルの録音(WARNER CLASSICS & JAZZ 2564 69199-6)を紹介しようかとも。エラールの1904年製ハープの響きはじつにまろやかで、個人的にはフィンチのより、ブラッセルの録音のほうが好きなのですが、ジャケットにつられて、あのときは、ついついフィンチを紹介してしまいました。
ブラッセルの録音(2007年)は、たぶん収録時間のつごうだと思いますが、最近ではめずらしくも、くり返しが完全に省略されています。そのかわり、「ゴルトベルク変奏曲」の主題にもとづく「14のカノン」が付録されており(ハープ奏者ファブリス・ピエールと共演)、くり返しの省略で実現したとはいえ、なかなかよいカップリングとなっています。なお、ブラッセルは1976年生まれのフランスの奏者。なにかと話題の美人奏者が同世代(フィンチは4歳年下)だと、同曲の録音にしてもセ-ルス的には不利なのでしょうね。