ギョーによる「フーガの技法」(記事は「『フーガの技法』 BWV1080 [2]」)をきいたあと、グールドの演奏をききたくなったのですが、時間がなかったので、ようやくさきほど果たせました。きいたのは、もちろん全曲ではなく(全曲録音はしていないようです)、コントラプンクトゥス第9番のみ。
この曲は、「フーガの技法」のなかで、お気に入りのひとつで、グールドのふたつの録音、1962年のオルガンと1967年のピアノ(こちらはモノラル)、でききくらべました(SONY CLASSICAL SMK87759)。ピアノはもとより、オルガンもスタッカートで、そんなオルガン演奏は、当時もいまも、ある意味耳に新鮮に響きます。
ただ、ききくらべると、やはりピアノのほうが「らしさ」があります。オルガン演奏も、過去の演奏への強烈なアンチテーゼだったのでしょうが、それが成功しているかは少し疑問。当時、オルガンによる録音が第1集のまま、いつまでたっても完結しなかったのも、しかたないことだったかも。
ピアノのほうは、さすがに4声部の弾きわけがみごとで、この曲のポリフォニックな運動性が、あますとこなく表現されているように思えます。ふだん弾いている楽器ですし、きいているほうのなれということもあるのでしょうが、やはり、グールドはオルガニストではなく、ピアニストだったということ。