先週、編曲による「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」ばかりをきいたのは、いただきものの「KAORI MURAJI plays BACH」(デッカ UCCD-9707)をきいたため。このCDには、チェンバロ協奏曲の第2番(BWV1053)、第5番(BWV1056)のギターとオーケストラ編曲と、パルティータの第2番(BWV1004)が主要曲として収録され、村治佳織はじめてのバッハ・アルバムです。
さて、その演奏ですが、村治は一音一音をじつにていねいに弾いています。ただ、ピリオド奏法になれた耳には、ちょっともどかしくも感じられ、すべての音が同じ価値にきこえてしまいます。はじめてのバッハで、まだこなれていないところもあるのでしょうが、やや古めかしく感じました。そもそも、このバッハ・アルバムの企画はがどこからでてきたものか、それも気になります。
これにくらべると、先週きいた「ソナタとパルティータ」の演奏者たち、レヒシュタイナー、スミス、ビルスマ、ホグウッド、ノース、ファーはみな、その演奏や編曲の良し悪しはともかく、バッハになれていて、音符のあつかいも、様式に精通しつつ自由自在です。村治の演奏は、現代ギターとしては、これはこれでよいのかもしれません。が、もうすこし研究したバッハがきけたらと思ってしまいます。