今日からしばらくのあいだ楽しむのは、キャメロン・カーペンターの「All I need is Bach」(SONY CLASSICAL 88875178262)。カーペンターは1981年生まれのアメリカのオルガン奏者で、風貌どおりというか、伝統的なオルガン奏者の枠にとどまらない音楽家です。このアルバムの表題「All I need is Bach」、ビートルズの「All You Need Is Love」(邦題「愛こそすべて」)を意識しているようで、同アルバム最後に収録された遊び心のあるインヴェンション第8番は、ビートルズへのオマージュといえるかもしれません(同曲は「All You Need Is Love」のエンディングに使用)。
さて、今日からきいていくのは、収録曲でいうと2曲目から7曲目までで、これから楽しむのはオルガンのためのトリオ・ソナタ第3番です。使用楽器とともに公演ツアーするカーペンターは、このアルバムでもマイ・オルガンを使用。オルガンはアメリカのマーシャル&オグルツリー社とカーペンターが共同開発したというデジタル・オルガンで、録音(2015年)はベルリンのイエス・キリスト教会で。イエス・キリスト教会といえば、ドイツ・グラモフォンの名録を生んだ場所で、そこでカーペンターがバッハときくと、ちょっとした感慨があります。