『沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子』 [単行本]
高木 凛 (著)
郷土コーナーの書架から偶然見つけて読んだ。
奄美の郷土に関する本は鹿児島県の他の地域に比べても圧倒的に多いのではないか。地理的、歴史的特殊性に加え島人の愛郷心の深さにもよるであろう、といわれている。
図書館の郷土コーナーには、さらに鹿児島本土関係もあれば沖縄関連の本もある。この本はタイトルに沖縄独立とあるが、いままで読んだ、沖縄戦や基地問題を扱ったどちらかと言えば政治的な本とは少し異色だ。
コンテストでも選ばれるほどの沖縄美人が、荒くれ男たちを率いて次々と事業を起し、自分のことを俺と言い、相手をお前と呼ぶ。ときには、さらしをまいた男どもにドスで脅されながらも、逆にそのドスを奪い自らの指を切って見せて相手を退散させ、駆けつけた警官をも煙に巻いたりと、痛快なエピソードで満ちている(人生そのものは痛快ではない)。
タイトルの「沖縄の独立」は、実際は経済的自立のことだが、敏子の語録のはしばし沖縄の男たちに対し精神的自立を説いているようにもみえる。それは翻って考えると現在の日本の状況に対して言っているようにも思える。大宅壮一がほれこんだのもうなずける。また、照屋敏子は沖縄独立を「夢みた」のではなく自身の中で実践したのだとも言えるし、夢で終わってしまったのでもなさそうだ。小説にしたら、もっとおもしろいと思った。
また著者も女性で実業者でもあることに注目したい。
くわしい書評は、
沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子
琉球新報 2008年1月6日
琉球朝日放送 報道部 ? 特集 女傑・照屋敏子に魅せられて
amazon 内容紹介
第14回小学館ノンフィクション大賞受賞作
戦後、沖縄の自立のために多くの事業を起こし、大宅壮一に
「沖縄に男あり」と言わしめた“海の女王”初の本格評伝。
まさに「女傑」と呼ぶべき沖縄女性の波瀾の生涯を描く。
選考委員椎名誠氏絶賛「読む快感に痺れた」
内容(「BOOK」データベースより)
戦後、沖縄の自立のために多くの事業を起こした、“海の女王”照屋敏子の本格的評伝。第14回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
amazon 登録情報
単行本: 266ページ
出版社: 小学館 (2007/12/13)
言語 日本語
発売日: 2007/12/13
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