史実に「基づく」というから,嘘とは言えないのだろうが、あまりリアリティはない。
歴史映画と気を張ってみると、たちまち嫌気がさす展開だった。
成田長親(ながちか)演じる、狂言師で俳優の野村萬斎の演技も嘘っぽくて、何度が見るのをあきらめかけた。
だが、
思い切りの娯楽作品と思ってみれば、けっこう楽しめそうだった。
野村萬斎が演じる長親は、みずから村人と一緒に田植え作業のまねごとなどをしてみせるなど、
領民からは親しまれ、「でくのぼう」略して「のぼう様」と呼ばれている。
「だが、実は・・」のどんでん返しを、のんびり楽しもうという気になって最後までみた。
武蔵国の忍城(おし・じょう 埼玉県行田市)の戦い。
天正18年(1590年)、戦国時代末期、豊臣秀吉による天下統一の仕上げの小田原征伐が始まり、
秀吉が派遣した石田三成・大谷吉継・長束正家らによる忍城水攻めの話。
成田氏の本拠・忍城は成田長親(ながちか 野村萬斎)の父・泰季が城代を務め、500余の兵と城下の民たち合わせて3,000人が立て籠もり、豊臣秀吉が派遣した石田三成・大谷吉継・長束正家ら2万の兵による忍城水攻めに耐える。
ラスト近く、
長親は、小舟で2万人の敵前に漕ぎ出し舟上で田楽踊りを踊る。この長いシーンは、映像、音楽とも
圧巻だった。この映画の最大の見せ場、
田楽の歌詞のおもしろさ、面の化粧、小道具を使った踊り、戦を忘れて踊りに見入る上方勢2万人とともに、映画を見るほうも我を忘れている間に、戦のほうはどんでん返しが静かに・・・。
ラストの「落ち」も悪くはなかった。
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2012年製作/144分/
スタッフ
監督:犬童一心、樋口真嗣
原作:和田竜『のぼうの城』(小学館)
脚本:和田竜