現代語訳 『論語と算盤』 (ちくま新書) – 2010/2/8
渋沢 栄一 (著), 守屋 淳 (翻訳)
5つ星のうち4.3 1,075個の評価
amazon内容(「BOOK」データベースより)
日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。明治期に資本主義の本質を見抜き、約四百七十社もの会社設立を成功させた彼の言葉は、指針の失われた現代にこそ響く。経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、未来を生きる知恵に満ちている。
NHK 100分 de 名著 渋沢栄一『論語と算盤』 2021年4月 (NHK100分de名著) (日本語) ムック – 2021/3/25
守屋 淳 (著)
5つ星のうち4.2 25個の評価
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今週のNHK大河「青天を衝け」第11話「横濱焼き討ち計画」視聴率は、14・1%
前週第10回の13.9%(同)から0.2ポイントアップした。4月25日放送
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名瀬の書店にあった、何冊かの渋沢本のうちの2冊
これだけの功績を残した渋沢栄一の知名度が、あまり高くないのに
今更ながら驚かされる。
倒幕・維新に尽力した明治維新の三傑
西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允の3人は、「英雄顔」。
しかし、写真で見る渋沢の顔は、いわば庶民的な顔である。
(百姓といっても、渋沢家は、藍玉を生産販売するかなりの豪農で、
栄一には学問もあって幼いころから文武両道で育ち、家業の手伝いもしている、
というところが、ドラマの面白さにつながっている)
論語と算盤、いわば両極端のものを融和、調和させる渋沢の考えは、
現在でも、幅広く応用できそうだ。たとえば、コロナ禍での、経済か人命か。
保守と革新のポジショントークとか、あげればきりがない。
渋沢の説明は、専門の研究者が目をむいてあきれるような大胆な読み替えに思えることもある。(本人がそういっている)孔子やアリストテレスだって絶対ではない。
この本の面白さは、そこにある。
あまり考えが純粋すぎると、2者の融和や調和は、難しい。
ここから脱線するが、
あるていど、「てゲてゲ」でないとできないこともある。
(でげは鹿児島や奄美などの方言で、大概や、ちょうど良い加減など)
、この本には西郷隆盛の話も登場する。
p129 二宮尊徳と西郷隆盛
明治4年のある日の夕方、当時栄一が住んでいた神田猿楽町の家へ、
明治政府最高位の参議西郷隆盛が突然訪ねてきた。
二宮尊徳が旧相馬藩に導入し遺し、相馬藩繁栄の基盤になった「興国安民法」だけは、財政改革をおこなうに当たっても廃止してくれるな、と西郷は相馬藩に頼まれたらしい。
大久保や大隈、井上らはあの通りの性格だから、到底聞き入れてくれるとは思えない。相馬藩の頼みをことわれない西郷は、困って渋沢によろしく取り計らってくれるように頼みに来たというわけだった。
渋沢は西郷に「あなたは、二宮尊徳先生の「興国安民法」をご存じか?」と、
西郷は、「いや、まったく知らない」と。
渋沢はくわしく説明して、大いに納得した西郷に、一藩の「興国安民法」ではなく、一国の「興国安民法」をどうするか考えないのは本末転倒だと、熱心に述べた。
渋沢は、維新の豪傑のなかで、知らないことは知らないと素直にいって、まったく飾り気のない西郷を心から尊敬する。
明治六年政変(1873年)まであと2年ほどの話。
次の項は「自分を磨くのは、理屈ではない」とつづくのだが、
六年政変の顛末を知る渋沢にしてみたら、頭の切れる大久保を念頭に置いて、この項を述べているのかな、と思える。大久保外遊。
渋沢と西郷は、真逆の面もあるが、似たところもあって、
生い立ちや思想、エピソードなど、比べてみると
面白そうだ・・・。脱線がすぎる。
さて、渋沢 P238 私生活と晩年
渋沢はこの時代の通例で、お妾さんを数多く持ち、その子は30人以上。
「婦人関係以外は、一生を顧みて俯仰天地に恥じない」と晩年の栄一は語っている。(満91歳没)
『英雄色を好む』 というが、「庶民的な」顔立ちの偉人・渋沢栄一もその例にもれない。というところも面白いところだがドラマはそこをどう描くのだろうか。
今週のドラマ、高崎城を乗っ取って武器を奪い、横浜外国人居留地を焼き討ちするという計画もそうだが、「論語」イメージとはかけ離れた?行動とともに、渋沢の意外な一面をみた。気がするが、本書を読むと、意外と意外ではない。