藤沢周平未刊行初期短篇 単行本 – 2006/11
藤沢 周平 (著)
書店で文庫本を見つけて読む気になった。それまでは「未刊行」「初期短編」にしりごみしていた。
後年円熟を加えることになる「勁(つよ)さ 巧みさ優しさ清冽さ」のほかに
わずかな「稚拙さ」、それは煩瑣な登場人物の経歴の説明などのあっただっただろうか。しかしそれもじっくり読めば、味わいのあるものだったのかもしれない。
いちばん印象に残っているのは『老彫刻師の死』だろうか。
古代エジプトの実在の宮廷大工で彫刻家の長・カエムヘシト
と妻アギウラと子のタジ、ほかに妻の不義の子アナン、
そのほかには二人の弟子が主な登場人物。
経歴の説明は簡単で、そのぶんじっくり味わえる藤沢調。
舞台は異色だが、すでに円熟の。
amazon 内容(「BOOK」データベースより)
庄内藩の抗争に材を得た歴史短篇『上意討』、男女の哀しい運命を描いた悪女もの『佐賀屋喜七』、藤沢周平、幻の短篇書庫の片隅に眠っていた無名時代の未刊行作品十四篇。四十年の時を経て今、甦る。
登録情報
単行本: 549ページ
出版社: 文藝春秋 (2006/11)
暗闘風の陣
如月伊十郎
木地師宗吉
霧の壁
老彫刻師の死
木曾の旅人
残照十五里ケ原
忍者失格
空蝉の女(文庫版のみ)
佐賀屋喜七
浮世絵師
待っている
上意討
ひでこ節
無用の隠密