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島尾敏雄を読む―『死の棘』と『死の棘日記』を検証する [単行本]

2013年01月16日 | 島尾敏雄

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島尾敏雄を読む
―『死の棘』と『死の棘日記』を検証する [単行本]
比嘉加津夫 (著)

この本に関する新聞記事をお読み下さい→『島尾敏雄を読む』 「死の棘論」に一石投じる
琉球新報 2012年9月2日

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返却期限が迫っていたので、少しもったいないような思いで急いで読んだ。借りるときは、あまり気乗りがしなかったのだが。

P63『死の棘』という小説は島尾敏雄とミホの合作といってもいいような作品であるとぼくはいまでもおもっている。」P63←これが本書の肝かなと思う。

しかし作品には影のようにしか登場しない「女」も重要な位置をしめている(死の棘2章。10章)と著者はいう。妻が清書した作品は、その検閲を受けるが、島尾が克明に書き残した日記(『死の棘日記』)を読み解きながら、いままでにない死の棘論が展開される。P218→「『死の棘』が群をぬいているのは夫婦の問題を超えて色濃く子どもの精神にまで描写の目を向けたところにあると思った。」

いままでの「病妻もの」などといった先入観ではとらえられなかった「死の棘」の魅力。本書は「死の棘」は日本文学のなかでもすぐれて水準の高い小説である」からはじまり、暗いににもかかわらずほのかにドタバタもあり、笑いを誘う意味深い小説」の今後の読まれ方が楽しみといったところだ。古典文学になりうる十分な要素をもっている。p222でしめくくられている。意外と若い人たちにも受け入れられるのではないだろうか。

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『死の棘』初版本と『死の棘日記』

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amazon 登録情報
単行本: 222ページ
出版社: ボーダーインク (2012/07)
ISBN-10: 489982226X
ISBN-13: 978-4899822264
発売日: 2012/07

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