原題:The Dig (2021年)
日本では劇場未公開:2021年にNetflixで配信
監督:サイモン・ストーン
最近の「人気作品」としてトップ画面に現れたのでそのまま見た。
事実に基づく物語という。
第二次大戦直前のイギリス。考古学者が、発掘の依頼を受けて自転車で依頼者のもとに向かう。
ダサいハンチング帽と古びた肩掛け鞄が絶妙に似合っている。缶コーヒーのCMでおなじみTommyさん風だ。
アカデミックには見えない老人?の風貌や仕草、その道すがらの風景に引き込まれる。
「アンという名の少女」の導入部を思い出した。
古びた感じの屋敷に到着。
夫をなくしたお金持ちの、まだ若い美人が、屋敷から出てきて、
所有する背後の広大な土地に案内する。
夫人も質素な身なり。
映画全体の映像もセピア調をおびている印象だ。
本来博物館に依頼するような大きな発掘(gig)の仕事だ。
舟に積んだ自転車をこいでやってきた老考古学者は、素人らしい。
だが単なる素人ではなさそうだということは容易に想像がついた。
こうして淡々とした味わいで話は展開していく。
物語の大きな展開すら淡々と描かれていく。
話の筋としてはおもしろくないとすら言えそうだが、
しかし人それぞれ、さまざまに味わえる作りだと思う。自然な映像もいい。
原題:The Dig(掘る 発掘)を「時の面影」とした点に注意しながら観ると
それぞれの登場人物の人生がより深く味わえるかもしれない、と思い至ったのは
視聴の後だった。