明日香稲淵の棚田の案山子コンテストから、季節が進んだ分、家族の絆案山子の輪の向こうに、赤い柿のみが沢山なっている。
コンテストの結果と、刈り取りの済んだ稲田の積み藁や、はざ乾しの棚田を見たくて、明日香へ行ったのが、もう少し前のことだった。
稲淵の里には、案山子コンテストの出品作品の写真が並んでいた。
「花嫁行列」最優秀賞を取っていた。
私が感動した「68時間ぶりの救出」は優秀賞に選ばれていた。
コンテストは、その日に訪れた人の投票によって決まるので、多くの人の心を打った作品だったのだと思う。
この作品には後日談がある。
この案山子を作ったグループのうちの一人の人が話してくれたことである。
賞品にはお米(キロ数は、そのとき聞いたのに忘れてしまった)を貰ったそうである。
それを精米して、このとき68時間ぶりに自衛隊の方に救出された、彩花ちゃんのもとへ贈ったそうである。
新聞の記事を頼りに多くの人のお世話になりながら、案山子の作者の気持ちが、彩花ちゃんの家庭に届けられたことは、今年のテーマであった「絆」が、明日香の地と彩花ちゃんの住む地と繫がり、心の絆も結ばれたことだろうと思った。