薄い雲をすかして早朝の太陽が、諏訪湖の湖面に光るのを時々車の中から見ながら、霧が峰に向かって登っていく。良いお天気になりそうなのが嬉しい朝だった。
この日の予定はスノーシューを履いての雪遊び。(山歩きとはいえない )
霧ケ峰は、車山を中心に広がるゆるやかな草原。中でもひときわ稜線が美しいのが霧ヶ峰高原。標高1600mの草原は、今何処までも続く雪原である。
霧ケ峰の名の通り霧のヴェールを通して朧な太陽は、もうすぐ晴れることを期待しながら、リフトで頂上に向かう。
そりを履いていない足の軽さは、気持ちの軽さと通じるようで、次第に雪の峰々が視界に入るのが嬉しい。
山岳眺望 (東)蓼科山[諏訪富士]に始まる八ヶ岳連峰、 富士山
(南)甲斐駒や仙丈などの南アルプス山塊、 木曽駒などの中央アルプス山塊、 御嶽山
(西)槍・穂高から北方に連なる北アルプス連峰
(北)美ヶ原の台地、 浅間山 車山山頂にあるドームは富士山気象レーダー観測 所の移転
このような山々が望めるとのことだが、悲しいかな、今目の中に入ってくる山の連なりの名前が、北、中央、南アルプスの位置は分かっても、山の名前ははっきりと認識していない。
しかしとにかく日本アルプスに囲まれた素敵な高原に立っていることに大感激である。
雪原を北東の方に向かって歩いていると、「あっ あれ富士山やっ!」
二人のおばさんと一人のおねえさんは(少々あつかましいさばをよんで)もっと富士山のよく見える方へ、雪の深みに足をとられないようにしながら、どんどん進んだ。
この枯れ草の向こうは落ちたら登れない急斜面のようだ。
そこまで行って「あなたと出会えてよかった 」富士山に向かってシャッターを押していた。
雲海が手前の山に湧いてきて、富士山の裾野が次第に包まれていくのも美しい。
いつまでも、いつまでも無心に富士山を見つめていた。
至福の時間を与えられたことに感謝して、再びここに立つことはあるまいと思うとその幸せをじっくり味わった。
ふじのやま 文部省唱歌
あたまを雲の上に出し、
四方の山を見おろして、
かみなりさまを下にきく、
ふじは日本一の山。
青ぞら高くそびえたち、
からだに雪のきものきて、
かすみのすそをとおくひく、
ふじは日本一の山。
あたまを雲の上に出し、
四方の山を見おろして、
かみなりさまを下にきく、
ふじは日本一の山。
青ぞら高くそびえたち、
からだに雪のきものきて、
かすみのすそをとおくひく、
ふじは日本一の山。