Dr.Horiiのひとりごと

徒然なるままにクルマや日々の出来事を書きとめた雑記帳です。
個別連絡は075-934-0282までお願いします。

1800エンジン ファインチューン +アルファ

2012-02-12 19:27:58 | PF氏の部屋

塗装屋行きのDUETTO

売約済みの我がDUETTOは作業が進行しております。

ボディは塗装屋に任せるのですが、エンジンはPF氏に一任しております。

PF氏より作業工程の画像とコメントが届きましたのでアップします。

メカに興味の無い方はスルーして貰って結構です。

以下、


今回のDrからの指令は、1800エンジンのライトチューンをかねての、OHである。

定番のファインチューンより、もう少し手を入れてもOKとのことである。


早速、受け取った1800エンジンをバラして、点検。

もともとはアルフェッタ系に積まれていた1800エンジンであるが、105系に載せるため、クランクシャフトのリヤー側に、T/M取り付けのためのパイロットB/Cの穴加工がされている。(この加工は、クランクシャフト単体でないとできないので、すでに一度O/Hされているはず。)


ヘッドを下ろし、オイルパンを外して、クランクシャフトを見ると、この年代のクランクらしく、OILのメクラ栓が、飛び出しかけている。(この年代特有で、1800,2000とも本来なら欠陥品といってもよいくらい大量に発生している)




メタルは3番が焼けており、クランクの曲がりが心配である。


クランクをよく見ると、前任者がO/Hした時に、すでに4番のメクラ栓が飛びかけていたらしく、ポンチでのカシメ痕がある。また、クランクはダイナミックバランスをとってあるようで、重量調整のために削った痕がある。(普通は、ドリルで穴あけしていることが多い)


削り跡 たぶんダイナミックバランスをとったものと思われる。


オイル穴メクラ栓の横のポンチ痕に注意。多分、前回すでに抜けかけていたのだろう。


曲がり測定では、ダイアルゲージの読みで11弱もあり、完全にアウト。もとより3番メタルが焼けているので、アンダーサイズ加工は必須。ジャーナル研磨し、メクラ栓をネジきり加工し、ダイナミックバランスを取り直せばいいのだが。気に入らないのは、一度熱が入って曲がった経歴のあるクランクだということだ。


3番子メタル焼けと、クランク曲がり測定


 ここで、クランクはタフトかけないの?という人がいるかもしれないが、過去にTZのクランクで、タフトかけると見事に曲がり、気に入った値まで完全修正できなかったことがあり、内燃気屋さんと相談の結果、アルファロメオ本来の許容寸法内に抑えたいならタフト加工はしないほうがよいということになり、当方では、タフトはかけない方向で仕事をしている。ただ、その内燃機屋さんは、当方ほど細かい寸法にこだわらないショップ向けには、タフトをかけてプレスでの曲がり修正のできる範囲の値で、出荷しているとのことである。もちろん、当方でも、その程度の寸法で、メタルクリアランス大きめにして、硬い昔ながらのオイル使ってごまかすような仕事でよいなら、お客様の了解の下、タフト加工にも出しますが。)


クランク曲がり測定


許容値の5倍以上のフレがあった。焼けたクランクは当然曲がる。


ヘッドをバラし、カムを見てびっくり!。



12のスタンプがある。あのアウトデルタG2ラリーエンジンに使われているコロンボのカムである。ハイリフトカムを組み込むために、タペットカップの穴の外周の干渉する部分が加工されており、それなりに気を配って組んだようだが、バルブスプリングを外して唖然とした。


逃げ加工と,クラッシュして潰れたバルブシール
バルブの平らな端面が、シムが踊り、丸くなってしまっている。



中途半端な知識でハイリフトカムを組んだ結果である。見事にバルブシールが潰れている。(ある程度エンジンを組みなれたメカニックなら、カムを組み付けて、仮に手回しした感触で、シールとのクラッシュに気づいてもよいはずなのだが、ハイカムと強化バルブスプリングに惑わされたのか、本当に必要なところに気配りすることの無かった証拠である。)


バルブガイドプロジェクトは、ノーマルの数値であった。

当然、リフト12のハイカムは受け付けない。




シール損傷のためのOIL下がり、カムTOPでの異常圧力による、バルブシムとバルブの当たり面の異常磨耗が見られる。よくこれで、カム山の磨耗と、タペットの当たり面のプロペラマークがつかなかったものだ。当然クラッシュによるパワーロスも相当あったはずだし、組み立て後、最初に回した瞬間から異音もしていたはずだ。

バルブシートはかなり削り込んで、下がっているので、これではパワーが出ない。


バルブシートはきっちりとカットされている。ただし、燃焼室のアルミ部分まで、削り込まれているほど、位置が下がっている。ノーマル使用なら薄いシムで、まだ対処できる寸法だが、ファインチューニングとなるとこのシートリングでは、効率が悪い。  


バルブスプリングは、強化品がついていたが、インナーとアウターがセッているような品なので、これも使用できない。こんなところがセっていると、摩擦抵抗で、パワーロスがおきるし、油温上昇の元凶である。


インナーとアウターが、擦れあって落ちてこない。擦れあっていて良いわけがない。パワーロスと、油温上昇の温床である。

バルブスプリング同士が、無駄にこすれて得することなどない。(トリプルといって、インナーとアウターの仕切りの板ばねをつけたままで使用して、こすれることにより、サージングを防止しているという一部のメカもいるが、スプリングテスターで、測定すればわかるとおり、普通は仕切り板をはずしたレートが正規の値である。)


検討の結果、クランクは、当方の手持ちの加工済みクランクを使用し(-10アンダー加工、オイル穴加工、パイロット穴加工、ダイナミックバランス済み)、シリンダーヘッドも、もとのヘッドではバルブシート入れ替えしなければならないので、当方の手持ちの品を使うことにした。カムシャフトも、程度のよい10548カムがあったので、それを組み込む。 ライトチューンなので、軽い圧縮アップと、ポート研磨をし、将来、リフト11mmくらいの軽いスポーツカムを組み込むことをも考慮して、各部寸法を調整加工する。

当然、ピストンバランス、コンロッドの大小端別バランスをとる。 (ロッド全体重量のバランスあわせ程度のやり方では、せっかくクランクのダイナミックバランスを完全にとった意味がない。コンロッド大端部重量はクランクシャフトのカウンターバランスと、釣合っての話なのだ。ゆえに、4本の大端部重量が均一でないと、クランクダイナミックバランスの意味がなくなるのである。)



メタル、OHキット、ピストン・ライナーキット、バルブ、バルブスプリング、バルブガイド、バルブリフタ-、ロアーチェーン等、新品使用。

その他、詳細は、お任せとのことで、作業開始である。   



伊藤忠時代からのお付き合いのI社長が譲ってくれた、超音波発生器を使用しての超音波洗浄。  まだ、大きなステンレスがまを流用しての簡易仕様だけど、結構きれいになる。




洗浄液の種類と、温度に左右されるが、漬けているだけできれいになる。

ただし腐食のある品は、要注意。



編集後記

基本的な知識を持たずにチューンドパーツを組み付けた悪例です。
事実このエンジンは焼き付いてしまいました
PF氏のエンジンが壊れないのは基本的な知識に加えて豊富な経験とスキルが
あるからですネ。
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1300峡角ヘッド改エンジン制作 その2(ピストン選択)

2012-02-09 19:39:11 | PF氏の部屋

左はノーマル1,800 ρ=9.4、真ん中は75ターボ(当然80°ヘッド用) 右がアルファーGTV2.0TB用


 狭角ヘッドを組み込むエンジンは、どのブロックをベースにするのか。 排気量はどうする。
1750GTAMに倣うなら、アメリカ仕様の551エンジンを加工し4連ライナーにして、ということになるが、元のエンジンの素性とエンジン制作価格と後々のメンテを考慮して、1750のブロックを使い、ノーマルのままのライナー方式で行くことにした。


ここでなぜ2000ブロックにしないのかというと。
2000のエンジンは、それまでのエンジンとパーツを共用し、1750のカムを流用しながら(すなわち、ヘッドの燃焼室のバルブ位置のピッチはそのまま)ブロックピッチだけ変更している。
見ればわかるが、、1800までの半球型ではなく、多球型にして、バルブの位置のずれを補正しているが、そのオフセット量が、1番と4番、2番と3番のグループ別の燃焼室形状となっている。 これは火炎伝播距離、燃焼室に対するポート位置が、同じエンジン内で2種類あるということになり、要するにもはや本当の4気筒エンジンではなく、360クランク2気筒X2という設計である。(結果として2000は生まれついて振動の多いエンジンになった)

2000のブロックに、AMヘッドを乗せても、2気筒X2のエンジンというハンデからは逃れられない。かといって、本物のGTAMのように、4連サイアミーズブロックまで用意できないので、将来のメンテを考えて、1800のノーマルボアーで行くことにした。(本当は、ライナーの寸法管理がいい加減なので、0.5でも1mmでもオーバーサイズのピストンを作って、ボーリングしたかったのだが、オーナーがよその工場でボアアップしたライナーがよく割れているとの情報から、ボアアップは、あまりして欲しくないと言われ断念し、80ミリボアーピストンを探すことにした。


左はノーマル1,800 ρ=9.4、真ん中は75ターボ(当然80°ヘッド用) 右がアルファーGTV2.0TB用


幸いにも、1800エンジンには、75のターボという低圧縮モデルがあり、そのピストンが使えないかと手に入れたが、思った以上に、山があり、使用不可能だった。
ならば、アルファGTV(Type916)のTBが、80ボアーだというので、そのピストンを手に入れてみた。


左はノーマル1,800 ρ=9.4、真ん中は75ターボ(当然80°ヘッド用) 右がアルファーGTV2.0TB用


形状的には、ツインスパークの鍛造ピストンとよく似た感じのTOPで、これなら使えそうだがコンプレッションハイトが2mmほど高いので、少しハイトを落とさねばならないが、ターボ用ピストンで、ヘッド肉厚もあるので、リセスを掘って、ハイトを下げても十分使えると判断した。なおこのピストンは、オートサーミックタイプが多いロメオの純正の中で、異例のモノメタルであるのも、このピストンを選んだ理由である。


ヴェノーリアの75T/S用鍛造ハイコンピストンと比較


左がヴェノーリアの75用 右がGTV2.0TB用


ピンを挿しこめば、ハイトの違いがよくわかる。ハイトは2mmほど違うが、TOP高さはほぼ同じ。これなら加工すれば使える



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1300峡角ヘッド改エンジン制作 その1(ポート加工)

2012-02-07 19:54:24 | PF氏の部屋

エンジンはどうするアイフル?              パッチもんと違いまっせ~

最初にお断りしておきますが、DrはこのGTAに関しては直接関与はしておりましぇんw。

ただ過去の経緯からは、全く関与してないこともありません。(←どっちやネン)

本来ならブログネタとしては不適切と言えなくもないのですが、その他一名様が首を長~くしてお待ちであります。

よって、ビルダーのPF氏による製作記を一任しました。

いわば、特別友情アップダス

早く次のクルマ買って下さいや~←下心モードw

以下・・・



もともとは、75T/Sエンジンを1300GTA/Jに搭載する話だったのが。
パッチモン好きと公言していた方が、いつの間にやら、できるだけ本物使わないとカッコ悪いと心変わりし、ついにリプロ品ながら、新品半加工シリンダーヘッドを持ち込んできて、シートリング、バルブガイド、IN/EXのバルブもピストンも、特注で作れとのこと。もちろんキャブ仕様で、デュアルイグニッションデスビも、本物マレりーを持ち込んできた。


その昔、訳あって、かのヴィスコンティから、新品未加工のGTAMヘッドを手に入れ(当時はまだ手に入った)、いつかはこれを使ってフルチューンエンジンをと思いながら、あまりに貴重な本物ヘッドに手を出すことはできず、資金繰りに困り始めたころに、YAHOOオークションで安値で放出した私にとって、あまり気の進まない仕事であった。
とりあえず、このヘッドに見合う、状態の良い1750エンジンのブロックが手に入るかどうかが問題であったが、当方在庫の3基のエンジンを次々ばらし、底の腐りの全くない1台をみつけ、作業を開始してみることにした。

作業開始といっても、まずは各部寸法を見ながら、使うパーツ、加工方法、作業手順の構想を練ることから始まる。
まずは、ピストンが手に入らなくては。
カムはどうする。

どんなエンジンに仕上げたいのか、何度もオーナーの話を聞いて、このくらいのカムなら、町でも乗りこなせるだろうと言ったら、なんと早速、コロンボのそのカムを手に入れて、工場に送ってきた。
カムが決まれば、自然と圧縮比は決まってくる。
ピストンは、既製品加工するか、特注の鍛造にするか。

おぼろげながら、ある程度メドがついてきたので、シリンダーヘッドの加工を開始した。




全くの新品ヘッドに、とりあえずダミーガイド付けて、シートリングをセットしたところ。



1300用にあわせたポートは、端だけ仮に加工したもので、内部ポート形状はチューナーの考え次第で拡大加工せよという仕様。
もともとが1300用ヘッドなので1800用にサイズ決定したシートリングとは大幅な段差が。
EXポートも大幅なサイズアップが必要。



加工開始


INマニホールドとの合わせ面は、治具を作って。
インシュレーター側は、陳腐なレプリカではなく本物の純正GTA用にあわせて切削。
EXポート側も、排気量に見合うサイズにアップ。
大幅な、ポートサイズアップは、どれほど時間と気を使うか。
単純な、直線ポートなら、機械加工で、あほでも精度自慢のポート加工ができるが、元の鋳物からスワールポートで、中子の位置がずれて鋳造されているのを、修正しながらのポート研磨は、ヒヤヒヤ物で、自分の今までの経験と勘だけが頼りで、30年以上前にすでに、カットモデルを制作し、ポートの厚さを知って仕事していた2000エンジンのフルチューンのビッグポート加工の5倍以上の時間と、気をすり減らしての仕事である。




加工完了



INポートは、芯をずらしたスワールポートで、SOHCの6Cエンジンと似ている。
エキゾーストは、出口が面と直角なごく普通のタイプなので、EXマニ制作は楽だ。
大幅な、ポート径アップにもかかわらず、どこまでも、スが出てくるほど、粗いつくりの鋳物である。 
圧力テストで、リーク無きことを祈る。!


あとは、内燃機屋さんに持ち込んで、特注のバルブガイド組み付けと、特注のIN/EXバルブを制作するのみである。


続く
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リプロパーツはどうするアイフル

2011-11-11 21:40:45 | PF氏の部屋
アルファのレストアラーは恵まれています。
通常なら絶版パーツが再生産されて入手できるからです。
しかし、その出来映えは必ずしも誉められたものではありません。

もっとも、リプロパーツを供給してくれる部品屋さんを責めることは出来ません。
むしろ供給してくれるのは有り難いことで、感謝すべきでしょう。
嫌なら買わずに自身で調達すべきですからネ。

今回は弊社技術顧問のPF氏こと伏見庸三郎氏(伏見オートサービス)にリプロ品の品質を検証して貰いました。


第一回はエンジンOHの要であるピストン&ライナー編

少し前に、急がないから、なるべく財布にお安く上げてとDrに言われてもらった仕事。1750のエンジンOHである。

安く上げろというのなら、巷のチェンジニアといわれるメカニックと同じように、何も考えずにノー天気に組み上げれば、作業時間も短いし当方も楽なのだが、OOの組んだエンジンといわれて恥ずかしくないようにすれば、時間と、工賃は、それなりにかかってくるのだが。そこは、Drとの信頼関係で涙。

アルファロメオのエンジンパーツは、その昔から、有名なチューナーのところにパーツを持ち込むと、ほとんどが使えないと突っ返される代物である。それは70年代の朱色の箱の純正パーツでの話である。それほど、アルファロメオのパーツのクウォリティは低い。非常に残念ながら、それは事実である。

それでも、60年代以前は、日本のほうがさらに、低レベルだったので、アルファロメオは、国産各社のエンジンのお手本だった。
70年代になると、日本の各社がアルファロメオを追い越し、ドイツ車はさらに技術を磨き上げていた中で、アルファーロメオは、ずっと同じレベルのままだったのである。そう、最終的に24バルブエンジンにまでなったあのアルファ6Cエンジンまでもが、寸法公差において、60年代以前、750ジュリエッタ時代以来の公差で工作されているのが実情である。
まあ、いつまでたっても馬鹿の一つ覚えのように、20W-50の粘性抵抗の多い、パワーロスの塊のオイルを信奉するメカニックにとっては、この低いレベルのパーツは、ちょうど相性がよいのかもしれないが。

元がこの程度の仕上がりのパーツで、壊れない信頼性のあるエンジンを作るのが、アルファロメオエンジンを組み上げるメカの腕の見せ所なのだが、今回供給されたパーツは、それこそガビーンものだった。(10数年前に、ある客からやむなく手に入れた、新品強化バルブスプリングが、エンジンが組みあがって、最初期の1500回転無負荷ならし中、わずか2~3時間でバラバラになったとき以来のガビーンだ)






当方の工場に、パーツ屋さんから直送された1750用のピストンライナーキットは、パッケージは同一ながら、中の1本のライナーだけが違っていた。写真のごとく、1本はAEのもので、3本がGOETZEのものである。今回送ってきたこの品は、箱を見て、どこかのブログで見た品だなとおもいつつ中を開いて、なんとなく、ぱっと見はきれいに仕上げてるけど、荒いなというのが第一印象で、4個すべてを開いてびっくりの、1本のライナーだけがAE製なのだ。箱はまったくの未開封で、私が始めて開けたもので、仕入先のパーツ屋さんにはまったく責任は無い。
こういう古い車のパーツを作ってくれるというだけでアリガタイといえばそうなのだが、古い元気だったころのアルファロメオを、当時のように元気に走らせたいという者にとっては、安かろう悪かろうは、困り者である。

何が悪いか、は、寸法を測れば一目瞭然。ピストンは、サイズ重量とも、許容範囲なのだが、なんとライナーの内径が、メーカーのマニュアルの最大値を大幅にオーバーしているのである。つまり、当たりもついていない新品でありながら、使い切って磨り減ったものと同じ同じサイズなのだ。伊藤忠時代よりアルファロメオ専門の私にとって、ある程度の寸法ばらつきは、イタリアだからと笑って許せるのだが、今回の品は、さすがにDrに、違う品を用意してくれと頼んだ。(これがチューニング用の鍛造ピストンや、モノメタルピストンとの組み合わせならまだ許せる。しかし、ノーマルの1750ピストンは、熱膨張の少ないオートサーミックのメタル入りピストンである。)
  


今回は、古い古いAFRAの袋に入った、いかにも不良在庫だったようなAEの品が手に入り、(早速寸法測定してみた結果、本来の純正と同じく、基準内の寸法であった。)胸をなでおろしたが、今後この手のピストンセットは要注意である。ピストン側の値は、メーカーのBクラスサイズだったが、ライナーのほうは今後、別途製造しなければならないかもしれない。ちなみに、伊藤忠オート時代に、84φのASSO鍛造ピストンのクリアランス調整のために、2重ライナーを作ったことがあるが、その減りの少なさ知ってしまうと、ボルゴライナーがいかに、低品質であるかがわかる。



今回のGOETZEライナーはサイズが大きいだけでなく、測定部ごとにサイズがばらばらで、いかにいい加減な品質であるかを証明している。GOETZEといえば、750/101時代のジュリエッタや、SZの純正ピストンを作っていたメーカーなのに、落ちぶれたものである。



別途手に入れた、古いAEのライナーは、ある程度のばらつきはあるものの、ピンクの色表示のBサイズにおおむね収まっている。

私が、以前に名古屋のHモータースさんを通じて手に入れていたASSOピストンが、1mmオーバーサイズであったのも、好みのピストンクリアランスを性格に確保したいがためのものであったし、とにかく自分で測定しないようなメカニックは、つぶれるためのエンジンを組んでいるようなもので、今回のパーツを供給してくれたパーツ屋さんがDrに、『こんなところの寸法を測定して、文句を言ってくるような店は、F(私)とASと何とかエンジニアリング(多分、ジミーちゃんもといタカちゃんのことだと思うけど)くらいしかない。他からは言われたことも無い』とのこと。この3ショップは内燃気屋つながりだったり、元ラリー屋仲間だったりで、その元のアルファロメオの基本数値を内燃気屋を通じて教えてあげたのは私なので、ちょっと鼻が高い気もします。

おなじ内燃機屋に出していても、自分で測定もせず、内燃機屋任せのチューナーも居るようです。

測定は綺麗に見せるために磨くのと違いとても地味な仕事です。
現実的に測定しなかったためにエンジンを壊すチューナーも居ますから、測定は一番大事な基本中の基本だと思います。
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DUETTO最初の一歩

2011-10-26 21:46:19 | PF氏の部屋

DUETTOは不動状態


数年間は放置されていたDUETTOは走りましぇん

おまけにブレーキも抜けていて、止まりましぇん

ど~も最近は数年間放置シリーズとご縁があるようです(笑)。

レストアを進めるにも不便なのでなんとか動くようにしたいと思うDrでした。



セルはO/H済                 怪しい燃料ポンプ


セルは本体に加えてピニオン(8枚歯)もダメでした。

パーツはどうも入手困難のようで、PF氏より譲り受けました。

セルOKで点火もしてますが、燃料が来ません。

お決まりの燃料タンク不良なら面倒だと思いましたが、どうもタンクは綺麗で交換済み
です。

ライン詰まりも考えられますが、手持ちの電磁ポンプでは燃料は来ます。

余り壊れない機械式ポンプは長年放置で固着してるようです。

PF氏のアドバイス通りガソリン着けで一日放置したら復活しました。


元のWEBERは完全固着

ガソリンのガム質で接着状態であります

全ての摺動部分が動かずに、全く使い物になりません。


手持ちのWEBER換装

何とか始動できました

しかし、好調とは言えません。

先ず、ガソリンが完全に崩御しております

本来なら先ず新しいガソリンと入れ替える必要があります。


真っ黒なお手手はDr

念のためとデスビを外して検証したら状態は悪いです。

しかし、見た目が悪いから必ずしもと言えないのが、コンタクトポイントです。


緊急リビルト?

新品がなかったので、中古品を摺り合わせして再装着しました。

結果はあんまし変わらずで、案の定見栄えの悪いポイントも良かったのでしょう。


やはりガソリンを交換して再挑戦します。

取りあえず始動できましたので、本日の成果はありました



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トランスアクスルのお話(ミッションじゃなく、デフなんですよ)

2011-05-18 20:16:13 | PF氏の部屋

調教して貰った75EVO仕様


簡単だと思う無かれ、何も考えずにシンクロリングのみ交換するのは本当のプロでない!。 
ミッションを分解するというのは、デフも一緒に分解しているのであ~るw。
このキモ作業をPF氏に寄稿して貰ったダス 




アルフェッタから、登場したトランクアクスル。
重量配分を考慮して採用されたこのシステムは、トランスミッションと、デフが一体化されているために、ミッション側のシンクロ交換のときに、特別な配慮が必要です。

一部のブログで、この手のトランスアクスルのシンクロ交換が簡単なように書いていますが、それは無知ゆえのことであり、トランスアクスルの構造を良く知っているメカニックなら、一見簡単なこの手のシンクロ交換は、もっとも難しい仕事と判断できます。
われわれは伊藤忠時代からこのトランスアクスルに携わり、よその無知なメカニックが分けもわからず作業した結果のデフのうなりの出ている中古車を何台も見てきています。

トランスアクスルのギヤ部分を下ろすこと自体は、たしかに、普通の前にミッションがついている車よりも ある意味簡単で短時間でおろすことはできます。
しかし、ここで大切なことは、この116系のトランスアクスルは、アウトプットシャフトが、デフのピニオンギヤであるということです。
デフのピニオンギヤの、前後位置は、100分の一の精度で決められていて、実に薄いシムで最終位置決めをされているのです。
116系のトランスミッションのシンクロ交換の作業は、デフピニオンの突き出し量を決めている、重要な部分を分解するということで、分解前には、ピニオンの突き出し高さを、特殊工具のハイトゲージにて、測定しておいて、最終組み立て時に、規定トルクでピニオンシャフトのナットを締めたあとに、元の高さであることを確認することが重要です。この高さが狂うと、デフがうなります。

簡単にミッションがおろせて、短時間でシンクロ交換できると、素人に毛の生えたメカニックは実に簡単にばらしますが、それが落とし穴で、116系の、手荒く使われた車、シンクロ交換を要するほど走り込んだ車は、大概において、デフピニオンシャフトの薄いシムが千切れてなくなり、ガタが生じてたたかれて、厚いほうのシムが削れてしまっています。
シムに問題があるかどうかは、簡易的に点検する方法としては、トランスアクスルを下ろした後、アウトプットシャフトのナットを緩める前に、一度規定トルクに、ほんのプラスアルファーのトルクで、締めこんでみて、回るようなら、シムが規定の値より減っていると考えられます。もうその時点で、デフの調整という、メカニックの腕の見せ所の作業が必要ということになります。特殊工具の持っていないメカニック、デフの突き出し調整の意味のわからないメカニックは、もうそれ以上の作業はやめたほうがいいでしょう。

アルファロメオの105系のデフを車載状態で、センター部分だけを下ろしてしまうメカニックや、何も考えずに、デフのミットシールを交換するために、ミットナットを緩めるメカニックも、修理しているのではなく、壊しているのと同じなんです。

デフは、ピニオン高さ調整を完全にして、その後、リングギヤのサイドベアリングのプレロード調整と、左右位置の調整で、歯当たり、バックラッシュを調整します。
最終的に、光明丹で当たりの幅を見ます。
完全なベタあたりはギヤ-が磨り減っていて、力をかけると迎えに行く歯の先がリング側をかじります。良いギヤーなら全面的には当たらず、手で回すトルク位では3分の2lくらいが当たり、その中心が前進方向で、真ん中より少し後ろ側あるのが、コツです。
素人には難しい、100分の一の寸法調整が必要な世界です。
車載ではできません。
まともな仕事のできないメカニックだけが、車載でもできると思っているだけです。
アルファロメオは、国産の、デフの玉だけ外せる車種とは違います。

=======================================


サイドベアリングのアウターレースを、アルファロメオ純正特殊工具を使ってはずす。


デフピニオン端面と、デフの中心の距離を、規定寸法に調整。ダイヤルゲージの100分の1の値まで調整が必要です。116系のピニオンは、2種類のピニオン厚さのものがあります。マニュアルの規定数値と、ピニオンに書いてある、ペイント数値をプラスマイナスして調整します。この作業は、116のトランスアクスル、105のデフともに、車載では絶対にできません。


リングギヤとのセットの記号と、+28の、修正寸法が電子ペンでマーキングされているのがわかると思います。書かれた数値の+28とは、100分の28mmのことです。メーカーは100分の1mm単位での調整を求めています。

光明丹の光具合から、前進方向の当たりの位置が、端の部分からは当てていないのがわかると思います。(うんとトルクかければ、もう少し前のほうから当たりはじめますが)


手で回したくらいのトルクでは、完全にセンターに当たってはいけません。


写真ぶれていてすいません。

写真写りは悪くても、この当たりでデフのうなり音は、まったくありません。


凹んだ場所にあるインプットシールも、特殊工具があれば、まっすぐにきれいに入ります。





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75ミラノ エボルック調教編 

2011-05-12 20:58:18 | PF氏の部屋

PF氏のファクトリー


新しいカテゴリーを作りました。
時折登場するPF氏に寄稿して頂くコーナーであります。
PF氏と言っても知らない方もいらっしゃるでしょうから、簡単にご紹介します。
伏見オートサービスを主宰する伏見庸三郎氏は元伊藤忠オートに在籍されたアルファ担当のベテランメカです。
氏との馴れ初めは、ショップ開業の数年後ですから、20年は前でありました。

当時のことを振り返ります。

風の噂で摂津にとても研究熱心(理論的)なメカが居ると聞きました。
曰く、インマニをぶった切って燃焼を研究しているとか、ちょっと派が違うというか恐れ多い人偏個でありました

縁があって、アルフェッタのトーションバー(車高)調整を指導して頂くことになり交流が始まりました。

過去の氏との最大のコラボが世界で一台?の身障者用Spiderの製作でした。
これは氏の協力がなければ決して実現しませんでしたから!。


Drに言わせると氏は間違ってメカになった方だと思います。
本来ならメーカーで設計とか、インストラクターをされてるほうが適職かもしれましぇん。
しかし、そういう方なら実践力はないだろうし、今のように実技の教えを請うことはなかったでしょう。

よって、メカになられて良かったと思います。←どっちやネンw


前置きはさておき、今回調教してもらった商品車である75ミラノ改MT仕様のレポートです。(原文のまま)


75エボルックのミッション抜けとシンクロギヤ鳴り。
エンジンのタペット音が大きいので、調整。
マフラーが痛んでいるので、交換。
以上の内容で、詳しい修理内容は、いつもどうり、お任せコースである。

しばらく、足にして良いとのことだったので、まずは、ミッションのほうから修理し、最後にエンジンという順に作業することになった。

ミッションは、A/Tから、GTV6のものに換装してあり、クラッチはシングルのSZや3.0QVのものが付いていた。おなじOHするなら、エンジンが2.5リッターなので、75のクロスレシオミッションのほうが、乗っていて楽しいので、ちょっと費用はかかるが、手持ちの75T/Sミッションをリビルトして載せかえることにさせてもらった。
元のものと、良いとこ取りの、トランスアクスル換装であるが、T/Sミッションのほうも、一度、どこかで中を開けているようで、インプットシャフト、アウトプットシャフト共に、ロックナットを外して再利用した痕があった。
こうなると、デフのピニオンギヤであるアウトプットシャフトの調整値が、本来のメーカーで組まれたままの値かどうか疑問である。というより、ロックナット再利用は、寸法が元のままなら、ロック位置も元の位置に来るので、それが別の位置でロックしてあるということは、もはや、シムが、ヘタッテいたまま組んだとしか考えられないし、ロックナットを規定値で締めると、簡単に回ったので、シムは、以前の無知なメカが組んだときよりさらにヘタッテいることになる。元のピニオン突き出し量にもどして、本来のトルクでロックナットを締め付けないと、デフのうなり音がでることは、明白である。
当然ながら、シンクロ交換、スリーブ交換プラス、デフのピニオン突き出し調整まですることになった。


トランスアクスルを乗せ替えたあとは、とりあえず、バサバサ音のする穴の開いた
マフラーを交換。
ドクターHから与えられたマフラーは、センターは純正タイプ。リヤーは、初めて使うIAPのパフォーマンスマフラーである。

同時に、やけにリヤの車高が高かったので、リヤスプリングは、当方の手持ちの旧シャンクルのGTV6兼用の強化タイプに変更させてもらった。

この状態で一度試運転し、トランスアクスル、足回り、排気周りが問題ないことを確認してから、いよいよエンジン側のメンテである。
タペット音の音質から、リフターの不良で、いくつかは交換しなければいけないこと、状態によっては、カムシャフトも使い物にならないかもしれないということはわかっていたのだが、ラジエターのアッパータンクの中に、少しだが、ゲル状のものがあり、ヘッドを下ろし、ガスケットも交換することになった。

ヘッドを下ろしたのは正解で、右バンクのタイミングが一齣ずれていて、軽くピストンと触っていた。
この程度の当りでは、バルブが歪んだり、ピストンが焼けたりすることは無いが、気持ちの良いものではない。
バルブリフターも、エキゾースト側4個が完全に使い物にならないし、カムも齧られているので、当方の工場でストックしてあった、非常に状態の良いヘッドを、タペット調整して使うことにした。
もちろんV6エンジンお約束の、水周りのヘドロ掃除も。
今回は、以前にウォーターポンプや、タイミングベルトを交換しているとのことなので、そのあたりのパーツは、すべて再使用している。

エンジン周りを修理で、お任せコースなので、当然ながら、出来上がりの見た目もスマートにしなければいけない。



もともと付いていたA/T車のパワステOILタンクは、マニュアル車の本来の位置に、ステーを製作し純正タンクを使って、付け直した。


エンジン周りの作業がすべて終了し、試運転に行って驚いたのは、排気音である。
エンジンを触るまでは、すこしバサバサ音が残っていたのが、ウソのように軽い音になり、GTV6のような良い音になった。エンジンの回転も、パフォーマンスリヤマフラーのおかげか、今まで知っているノーマルV6エンジンより、軽快に仕上がっている。


この75エボルックの仕事をしているときに、ドクターHが当方の足車にと、156V6を手配してくれ、SOHC12バルブと、DOHC24バルブとの直接比較をする羽目になったのだけれど、パワーでは、24バルブの圧勝。(カタログ値で、30馬力以上の差は、4000~5000RPMトルクの山と、6000以上の回転で圧倒的パワーの差を体感できる。)
ただし、乗っていて、はるかに楽しいのは、SOHCエンジンの75のほうである。
気のあった彼女とドライブしているような感覚である。(間違えても、エッチしているような感覚と書いてはいけない)
これは、私が、通勤で阪神高速往復70キロを、2台の車を交互に乗り換えての感想である。

もし、ドクターが、エンジン修理のできた156と、75エボルックを交換しても良いと言ってくれたら、当然、アルファロメオメカニックの私は、最大パフォーマンスより、75のほうの快感を選ぶことになる。そんな楽しい75エボルック仕様である。



タペット調整しようと思って、点検していたら、タンクに、ゲル状のものが。。。
ヘッドガスケットも交換することに。



ガスケットに、オイルがべたりと。
右バンクのピストンにはインテークバルブとの干渉の痕が・・・・







タペットリフターと、カムシャフトに傷が。。。


ヘドロが水穴に詰まっているのがわかる。


お決まりの、ブロックの底にたっぷりのヘドロも掃除して。。


よくオイルのにじむ、カムシャフトの分解タイプのハブのオイルシールも交換して。。


リヤーの車高も下がって、迫力満点        エンジンの最終調整


リヤーマフラーの出口も左右曲がりを反転し、ステンパイプでマフラーカッター風に修正



以上、PF氏からの初寄稿です。

氏の作業で感心するのは理論と実践が完全に融合していることでしょう。

仕上げの綺麗なところ(工場は汚い)は卓越していると思います。

次回は門外漢ならぬプロでも難しいType116(トランスアクスル系)のデフのバックラッシュ調整をレクチャーして貰います。

乞うご期待下さいネ
コメント
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