(ASEAN首脳会議の開会式で席が隣り合わせになりながら、目を合わそうともしなかったマハティール首相とスー・チー氏 【11月15日 時事】)
【ロヒンギャ帰還 ミャンマー政府「準備が整った」 国連人権高等弁務官「ロヒンギャの命を危険にさらす」】
ミャンマー国軍による“民族浄化”を目的とする虐殺・暴行・レイプ・放火等によって、イスラム系少数民族ロヒンギャ72万人が隣国バングラデシュに避難している問題について、これまで難民帰還は全く進んでいませんでしたが、ミャンマー政府は「環境が整った」として帰還を実施することを明らかにしました。
****ロヒンギャ帰還「環境整った」 ミャンマー政府が会見****
ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャ約70万人が、バングラデシュに逃れ難民となっている問題で、両国が「11月中旬に始める」とした難民帰還を前に11日、ミャンマー政府が会見を開き、「難民が安全に帰り、生活する環境は整った」と説明した。ただ、具体的な日程については「バングラデシュ政府次第」として明言を避けた。
最大都市ヤンゴンで開いた会見で、ミャッエー社会福祉・救済復興省相は、第1団として、ミャンマー側が身元確認を終えた2251人が、西部ラカイン州の国境付近にある2カ所の受け入れ施設を経て入国すると説明した。
政府側は帰還民に、米や油、1人につき1日1千チャット(約70円)の現金を支給。村を焼かれた人たちには、政府側が住居を提供するほか、自分たちで住居を建てる場合は労賃を支払う考えも示した。
ラカイン州にはロヒンギャの帰還に否定的な仏教徒も多いが、「政府が話し合いをして了解を得た」としている。(中略)
さらに、多くが無国籍のロヒンギャに対する国籍付与の問題については、「必要な記録が残っていれば国籍申請はできるようにする」としたものの、どのくらいの難民に国籍を与えるのかについては、「法律に従う」と述べるにとどめ、明言しなかった。【11月11日 朝日】
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しかしながら、虐殺などを行った国軍等の責任が問われることもなく、「政府が話し合いをして了解を得た」と言われても、帰還後の安全を信用することは難しいでしょう。
国籍付与の問題も不透明なまま・・・・というか、多くのロヒンギャが“必要な記録”を有していない(着の身着のまま避難したことに加え、これまでミャンマー政府がそうしたものを与えてこなかったことにもよります)ことも考えると、また「法律に従う」というミャンマー側のロヒンギャ排除の本音を考えると、現実処理にあってはほとんど国籍付与はなされず、むしろ“外国人”として正式認定されるのではないかとも懸念されます。
国連人権高等弁務官は、現状での帰還は国際法に違反し、ロヒンギャの命を危険にさらすと警告し、難民帰還の中止をミャンマー政府に求めています。
****命が危ない 国連弁務官、ロヒンギャ帰還の中止求める****
ミャンマーでの迫害を逃れて難民となった少数派イスラム教徒ロヒンギャをめぐり、ミチェル・バチェレ国連人権高等弁務官は13日、受け入れ先のバングラデシュ政府に対し、ミャンマーへの帰還第1陣の移動をやめるよう求めた。現状での帰還は国際法に違反し、ロヒンギャの命を危険にさらすと警告した。
ミャンマー政府は72万超に上るとされる難民の帰還開始に前向きで、帰還を進める姿勢を示すのは、国際社会の批判をかわすためとみられる。ミャンマー側が身元確認を終えた2200人超が第1陣として、バングラデシュから再入国することになっているという。
だが、バチェレ氏は、多くのロヒンギャ難民は帰還を望んでいないと強調。人権高等弁務官事務所によると、ラカイン州北部では今も殺害や不当な拘束といった人権侵害があるという。
国連人権理事会で9月、ロヒンギャ迫害はミャンマーの国軍が組織的に主導し、特定の民族や宗教に属する集団を殺害する「ジェノサイド」の疑いが強いと指摘した専門家の報告書が公表された。村の焼き打ちや集団レイプといった手法の残虐性も指摘された。
バチェレ氏は、迫害の責任追及が進まないなか、帰還でロヒンギャが再び人権侵害を受けると指摘。迫害の恐れがある国や地域へ追放・送還してはならないと訴える「ノン・ルフルマンの原則」に反するとの見解を示した。
そのうえでミャンマー政府に、根本的な問題を解決し、帰還の環境を整えるため真剣に努力するよう求めた。
チリの大統領を務めたバチェレ氏は、9月に人権高等弁務官に就任した。【11月15日 朝日】
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帰還計画の初日とされた15日には、実際問題としては、帰還者はゼロだったようです。ミャンマー側は、バングラデシュ側の準備の遅れのせいだとしています。
****難民帰還始まらず 「誰も帰って来なかった」****
ミャンマー西部ラカイン州の少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」が隣国バングラデシュで大量に難民化した問題で、ミャンマーのミントゥ外務次官が15日にネピドーで記者会見し、同日から始まる予定だった難民帰還について「誰も帰って来なかった」と述べた。バングラ側の準備の遅れが原因とみているという。
ミャンマー政府は11日、バングラ南東部コックスバザール一帯の難民キャンプにいる約72万人のうち、2251人の帰還が15日に始まると発表。対象者は1日当たり150人としていた。
一方、ロイター通信は14日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が意思確認した約50家族は帰還を嫌がったと報じていた。
ミャンマーでの安全や生活への不安が背景にあるとみられ、バングラのメディアも15日、キャンプで群衆が「帰還反対」を訴える様子を報じた。
帰還希望者がいないわけではなく、ヤンゴンの外交関係者は「既に1000人以上が勝手にミャンマー側に戻ったと聞いている」という。「ミャンマー側の受け入れ環境がまだ不完全だ」として国連などが現時点での帰還に猛反対する中、バングラ政府も積極的ではないとの見方もある。(後略)【11月15日 毎日】
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“帰還希望者がいないわけではない”・・・・それはそうでしょう。各自それぞれの事情がありますので。
ただ、これまで自発的に帰ってきたとされるロヒンギャ難民については、ミャンマー側による“やらせ”“ねつ造”の疑いが指摘されています。
“バングラ政府も積極的ではない”・・・・どうでしょうか? バングラデシュ政府は早く厄介払いしたいというのが本音でしょう。少なくとも難民のバングラ定着は認めない方針で動いています。
【ASEAN首脳会議を前に国際的な批判をかわすための見切り発車】
国連も中止を求めるような状況でミャンマー政府が帰還を見切り発車したのは、13日にシンガポールで開幕したASEANの一連の首脳会議を前に国際的な批判をかわすためではないかと指摘されています。
****ロヒンギャ帰還、本当にできる? 滑り込み発表に疑問も****
ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャがバングラデシュに逃れて難民になっている問題で、ミャンマー政府は難民の帰還が近く始まると表明した。
しかし、早期の帰還は難しいとの指摘があり、13日にシンガポールで開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)の一連の首脳会議を前に国際的な批判をかわすためではないかとの見方が出ている。
11日に最大都市ヤンゴンで記者会見した担当閣僚らは、今月中旬の帰還開始でバングラデシュ政府と一致したと説明。発表のタイミングについて、社会福祉・救済復興省幹部は「合意に行き着いただけで、他の意図はない」と話した。
だが、会見で報道陣に配られた説明文には「ASEAN各国は(帰還に)協力してくれるだろう」と記され、担当閣僚が「万全の態勢を敷いている。ASEAN各国にも理解してもらえると思う」と述べるなど、ASEAN諸国への期待がにじんだ。
背景には、ロヒンギャ問題をめぐる厳しい国際世論がある。欧米を中心に、ノーベル平和賞受賞者のアウンサンスーチー国家顧問がロヒンギャへの迫害を許しているとの批判が高まっている。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは12日、スーチー氏に授与した「良心の大使賞」を取り消すと発表した。
ASEANの中でも、イスラム教徒が多数を占めるマレーシアやインドネシアには、ミャンマーに対する厳しい声がある。(中略)
スーチー氏には、このタイミングで帰還開始をアピールすることでASEAN首脳会議に加え、域外国が出席する会議でも批判を抑えたいとの思いがあるとみられる。スーチー氏はこの問題に神経をとがらせており、12日のシンガポールでの講演ではロヒンギャに一切触れなかった。
だが、昨年8月以降に新たに難民になった約70万人の中には、帰還後の再度の迫害を恐れる人も多く、難民キャンプから逃亡する人もいるという。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、バングラデシュ政府による難民の帰還への意思確認もまだ出来ていないとしており、今月中旬の帰還は難しいとみている。【11月15日 朝日】
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ASEAN首脳会議では、ロヒンギャの迫害問題に関心が集まり、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相はロヒンギャのミャンマー帰還に対する支援を要請しました。
【スー・チー氏をこきおろすマハティール氏 国際圧力で黙認できないASEAN】
しかし、各国の反応は厳しく、特にマレーシア・マハティール首相はスー・チー氏を強く批判しています。
“訪問中のシンガポールで記者団に述べた。マハティール氏は「スー・チー氏らはロヒンギャを大量虐殺している」と指摘。「こうした行為は古代には正当化されたかもしれないが、現代では許されない」とこき下ろした。”【11月13日 日経】 相当に辛辣な批判です。
会議の場でも、マハティール首相の姿勢は変わりませんでした。
****93歳マハティール首相、際立つ存在感=15年ぶりのASEAN会議****
シンガポールで開かれた一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議では、15年ぶりに参加したマレーシアのマハティール首相が存在感を発揮し、健在ぶりを見せつけた。
93歳のマハティール首相は、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題で積極的に発言。会議筋によると、ASEAN首脳会議ではアウン・サン・スー・チー国家顧問を前に「憤りを覚える」と厳しく非難した。(後略)【11月15日 時事】
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マハティール首相の存在感が際立つと、マレーシア国内におけるアンワル氏への禅譲が不透明になるという問題もありますが、それはまた別機会に。
従来、ASEANはこの種の問題には“内政不干渉”を建前に、消極的な対応をとってきましたが、風向きが変わったようです。
****ロヒンギャ迫害、議論活発=国際圧力で黙認できず―ASEAN会議****
シンガポールで15日まで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議では、ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題をめぐり、活発に意見が交わされた。
ロヒンギャ問題に国際的な関心が集まる中、一部加盟国と中国が領有権を争う南シナ海情勢や、北朝鮮の核・ミサイル開発問題が議論の中心だった近年の会議とは趣を異にした。
ASEAN首脳会議では、イスラム教徒が多数派を占めるマレーシアのマハティール首相が特に強い言葉でミャンマーの対応を非難。インドネシアのジョコ大統領も厳しい姿勢を示した。
マハティール首相は記者団に対しても、「(ミャンマーの)アウン・サン・スー・チー国家顧問は決して擁護できないことを擁護しようとしている」と批判。スー・チー氏が軍政時代に長年にわたり、自宅軟禁下に置かれたことに触れ、「拘束された経験があるなら苦しみが分かるはず。他人に同じ思いをさせてはならない」と訴えた。
シンガポール国立大学のジャ・イアン・チョン准教授(国際関係)は、国連人権理事会でロヒンギャ迫害を非難する決議が採択されるなど国際的な圧力が強まり、「ASEANも黙認できなくなった」と解説。ASEANは内政不干渉を原則とするが、「(原則に縛られて)何もしない方がより憂慮すべき事態を招く」と指摘した。
域内国による異例の追及に、会議ではぎくしゃくした場面も見られた。ASEANの会議では、各国首脳は国名のアルファベット順に並ぶ。マハティール首相とスー・チー氏は首脳会議の開会式で席が隣り合わせになりながら、目を合わそうともしなかった。【11月15日 時事】
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アメリカもロヒンギャ問題ではミャンマー政府に厳しい姿勢を見せています。
“ペンス米副大統領は14日、訪問先のシンガポールでミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問と会談し、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害について「理由のない」暴力であると述べるなど、強い口調で非難した。”【11月14日 AFP】
【日本は国際世論とは一線を画するミャンマー支援】
こうしたミャンマー政府に厳しい国際世論と一線を画して、日本はミャンマー政府への支援を続けています。
(8月17日ブログ“ミャンマー ロヒンギャ問題の独立調査委員会に日本人起用 真価を問われる日本外交”)
このような人権・民主化問題を棚上げして経済支援で穏やかな改善を促すとする日本外交は、ミャンマーの軍政時代に見られたことですが、そのことについてスー・チー氏は、日本がミャンマーを支援することは結果的に軍事政権存続を助ける行為だとして強い不快感を示していました。
その論理でいけば、今はミャンマー支援ではなく、虐殺の責任を厳しく問うべきときだ・・・ということにもなります。
【ロヒンギャ排斥に走るラカイン州の事情 その裏には利権構造も】
一方、ミャンマー国内の強いロヒンギャ嫌悪の背景には、ロヒンギャやイスラム教徒の排斥を煽る過激仏教徒団体「マバタ」や、その中心人物である「ミャンマーのウサマ・ビンラディン」とも称されるウィラトゥ師の存在があることは2017年10月25日ブログ「ミャンマー “民族浄化”で増え続けるロヒンギャ難民 イスラム教徒全体への嫌悪を扇動する仏教僧」などで、しばしば取り上げてきました。
イスラム教徒が仏教国ミャンマーを乗っ取ろうとしているといった過激な主張、今回の騒動はロヒンギャ側の自作自演だといった陰謀論が受け入れられる背景、特にラカイン州の事情については、下記のような指摘も。
****ロヒンギャを弾圧する側の論理****
(中略) ラカイン州はミャンマー南西部を南北に走るアラカン山脈によって、最大都市ヤンゴンから地理的に分断されている。1785年にビルマ人に侵略されるまでアラカン王国という独立国家が栄えていたこともあり、ラカインの文化はミャンマーの多数派であるビルマ人のものとは人きく異なる。
ラカイン州はロヒンギャのホームランドだが、6割以上は仏教徒のラカイン人だ。ラカイン人もまたミャンマーの少数民族で、中央政府からの差別や搾取に長年苦しんできた。それ故、ラカイン州の貧困率は78%と全国平均37.5%(世界銀行2014)を大きく上回っており、国内で最も高い。(中略)
イスラム教徒への嫌悪感
そんなラカイン人が不満のはけ口にしているのが、イスラム系少数民族ロヒンギャに対する差別だ。
ロヒンギャの祖先は英国植民地時代にベンガル地方からミャンマーにやって来たと言われているが、70年代後半から不法移民として扱われるようになった。現在は無国籍の状態にあるため、教育や医療、福祉といった基本的な公共サービスにアクセスできず、多くの大が貧困と差別、そして断続的な武力弾圧に苫しんでいる。
ラカイン人は普段は礼儀正しく親切だが、ロヒンギャの話題になると急に嫌悪感をむき出しにする。(中略)
ミャンマー市民にロヒンギャに対する憎悪を植え付けるのに一役買っているのが、13年に発足した強硬派の仏教徒集団「国家と宗教保護のための委員会(通称マバタ)」だ。マバタの前身は「969運動」と呼ばれた反イスラム団体で、それを扇動してきたのが「ミャンマーのウサマ・ビンラディン」の異名を持つ怪僧アシン・ウィラトゥ(50)である。(中略)
利権に群がる軍と中国
(中略)なぜ、ウィラトゥやマバタはこれほどまでにミャンマーの人々を魅了するのだろうか。シットウェにマバタの僧院を構える仏教僧ウーナンダバータ(51)は、「マバタが地域のセーフティーネットの役目を負っているからだ」と話す。(中略)
マバタは貧困者、少数民族被災者、女性に対する支援を積極的に行っている。食糧を施すだけでなく、学校建設に無償教育の提供、女性の積極的な雇用など、その内容は多岐にわたる。
ミャンマーで広く信仰されている上座部仏教は、修行の妨げになるという理由から、世俗的な活動を禁止している。ある仏教研究者によれば、戒律の厳守を重んじるミャンマーの仏教界において、僧侶たちが「俗世間の人々」のために奉仕活動をするのは珍しいという。(中略)
ラカイン人には、ビルマ人に対する根強い不信感もある。ラカイン州は、天然ガスや石油などの天然資源が豊富な地域だ。ところが、地理的な遠さやロヒンギャ問題のせいで、民主化前から軍部と深く結び付く中国以外に外資の進出は進んでいない。
ラカイン州のリ党であるアラカン国民党(ANP)の書記長フタンアウンチョーによれば、天然資源から生じる利益は中国と中央政府が独占しており、地元ラカイン人にはほとんど還元されていない。
ミャンマー政府とスーチーに対するラカイン人の評価は辛辣だ。フタンアウンチョーもこう不満を吐露した。「われわれは独立以来、ずっと差別に苫しんできた。アウンサンスーチーが返り咲いたときにやっと状況がよくなると思ったが、全く期待外れだった。政府はラカインの開発から得た利益を地元住民に還元すべきだ」
その一方で、マバタは信者に貧困の原囚と解決方法を明示してくれる。原因とはイスラム教徒であり、彼らを排斥することが貧困から抜け出す道なのだと。
そして、こうしたマバタの活動を支える潤沢な資金の源は、大勢の在家者によるお布施以外に軍部にもある。
ロイター通信によれば、ウィラトウは軍部出身の元宗教相サンシンに重用されてマバタの勢力を拡大した。また、ミャンマー紙イラワジは、ウィラトウと国軍司令官ミンアウンフラインとの間に太いパイプがあると報じている。(中略)
さらに、掃討作戦が起きたロヒンギャの居住地の近くには、中国の投資金融グループ「中国中信集団(CITIC)」が港や経済特区を建設しようとしている。
ミャンマー政府は17年9月、掃討作戦で空いたロヒンギャたちの居住地を「再開発」する目的で管理すると発表した。
ミャンマーの宗教対立の原因を「民衆を扇動する過激な仏教僧」と「少数民族を弾圧する無慈悲な多数派」のせいにすることは簡単だ。だが、マバタやウィラトゥもこの搾取構造の駒の1つにすぎないのではないか。
無垢な市民の妄信によって反イスラム運動は拡大し、ロヒンギャ危機は臨界点に達した。解決には、マバタやラカイン人といった表舞台の人間だけでなく、水面下で暗躍する「悪」を追及する必要がある。
そしてマバタの僧侶や市民もまた、自らに問いただすべきではないだろうか。自分の頭で考えることを放棄し、悪の甘言を信じ続けた罪はどれはどの重さなのかと。【11月20日号 Newsweek日本語版】
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