孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

権力の座に執着する人々 ブルキナファソで再選を目論む大統領失脚 軍事クーデター

2014-11-02 22:07:23 | アフリカ

(1日、ブルキナファソの首都ワガドゥグで、記者会見に臨むジダ中佐(中央、ロイター)【11月2日 産経ニュース】)

南米エクアドル:4選出馬を目指すコレア大統領
南米エクアドルという国は日本にはあまり馴染みがなく、そのコレア大統領についても、反米・左派路線で、ベネズエラの故チャベス前大統領と盟友関係にあったというぐらいしかイメージがありません。

****大統領再選規定、変更へ=現職4選出馬に道筋―エクアドル****
南米エクアドルの憲法裁判所は31日、大統領が何度でも選挙に出馬できるとする憲法改正案を国会で審議することは可能との判断を下した。これを受け、近く国会審議が行われる。

国会は与党が議席の約3分の2を占めており、法案可決は確実。2017年の大統領選挙で、現職コレア大統領の4選出馬は可能となる見通しだ。

反米路線を掲げるコレア氏は、07年に大統領就任後、連続再選を禁じた憲法を改正。新憲法公布後に実施された09年の選挙で再選後、13年に3選を果たした。【11月1日 時事】 
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西アフリカ・ブルキナファソ:更なる再選を目論んだ大統領失脚
権力者が再選規定をくつがえしてその座に居座り続ける・・・というのは、残念ながら珍しい話ではなく、むしろよくある話というべきでしょう。

つい最近も、エクアドル以上に馴染みが薄い国ですが、西アフリカのブルキナファソでも似たような話がありました。

ちなみに、ブルキナファソはマリ、ニジェール、ガーナ、コートジボアールなどに囲まれた内陸国です。

****ブルキナファソ 大統領再選の改憲で抗議デモ****
西アフリカのブルキナファソで27年間、実権を掌握してきたコンパオレ大統領が、さらに再選が認められるよう憲法を改正しようとしているのに対し、市民の大規模な抗議デモが続き、治安部隊との衝突も起きています。

西アフリカのブルキナファソでは、1987年のクーデターをきっかけに国の実権を掌握したコンパオレ氏が、これまでに4度大統領選に勝利し、27年にわたって国を統治してきました。

大統領の任期を限定する現行の憲法では、コンパオレ大統領は来年の大統領選挙に立候補できませんが、政府はコンパオレ大統領がさらに3期にわたって再選が認められるよう、憲法改正の審議を議会に求めています。

これに対して、首都ワガドゥグでは若者たちを中心に大規模な抗議デモが続いていて、数千人が議会に押し入るなどして治安部隊との激しい衝突も起きています。

地元からの報道では、抗議デモを受けてコンパオレ大統領が立候補しないことを検討しているという情報もありますが、デモは今も続いていて、混乱がさらに広がることが懸念されています。【10月31日 NHK】
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ブルキナファソの方は、エクアドルとは異なり、政情は抗議デモ、軍部のクーデター、大統領辞任・逃亡、軍部内の混乱・・・と時間単位で急展開しています。

大統領、対話の用意表明=退陣要求は拒否―ブルキナファソ【10月31日 時事 09:11】
西アフリカ・ブルキナファソで軍が政権掌握【10月31日 産経 13:36】
ブルキナファソ、反大統領デモで30人死亡 野党指導者【10月31日 AFP 18:51】
ブルキナファソ軍、事実上のクーデター…AFP【10月31日 読売 19:09】
<ブルキナファソ>暫定政権発足へ 暴動で国会解散【10月31日 毎日 21:42】
ブルキナファソの大統領が辞任発表【11月1日 産経 00:56】
参謀長の政権掌握宣言に副司令官らが異議、ブルキナファソ【11月1日 AFP 12:30】
ブルキナファソ、別の軍人が指導者就任を宣言【11月1日 読売 20:04】

コンパオレ大統領は辞任声明を出して首都を脱出しましたが、軍部トップのトラオレ陸軍参謀長が「憲法上の手続きに沿って」権力を掌握するとと発表した数時間後に、大統領警護隊の副司令官ジダ中佐と、大統領打倒の街頭デモを指揮した市民グループの指導者が異議を唱え、若手将校を率いるジダ中佐はラジオで「本日より自分が移行政府と国家元首の責を担う」と表明しています。

トラオレ陸軍参謀長は、同氏をコンパオレ大統領の側近と見なすデモ参加者たちには極めて不評とのことで、結局、ジダ中佐が実権を掌握したもようです。

****ブルキナファソ 軍、政権掌握を発表 代表にジダ氏****
ロイター通信によると、西アフリカ・ブルキナファソの軍は1日、幹部らを集めた会議を開催し、大統領警備隊を指揮するジダ中佐が移行期のトップとして全会一致で支持されたとの声明を発表した。

コンパオレ前大統領(63)の辞任後は軍が政権を掌握、事実上のクーデターとなった。

大統領の辞任表明を受けて陸軍のトラオレ司令官が政権を掌握したと発表。ジダ氏も「移行期の代表を引き受ける」と主張し、混乱していた。だが、トラオレ氏も声明に署名しており、ジダ氏が実権を握る見通しが強まった。

27年間トップの座を守ってきたコンパオレ氏は10月31日に大統領辞任を発表した後、隣国コートジボワールに逃亡した。ブルキナファソの首都ワガドゥグでは30日、数万人のデモ隊が治安部隊と衝突し、多数の死傷者が出ていた。【11月2日 産経】
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しかし、野党側は軍主導で政権移行が進むことに反発を強めており、まだ緊迫した情勢が続いています。

****ブルキナファソ 実権掌握の軍に野党反発****
西アフリカのブルキナファソでは、軍が事実上のクーデターを起こし、辞任した大統領に代わって実権を掌握したことに対して野党側が反発を強めて大規模なデモを行う構えを見せており、緊迫した情勢が続いています。

西アフリカのブルキナファソでは27年間にわたって国を統治してきたコンパオレ大統領が、さらなる長期政権を可能にする憲法改正の手続きを進めようとしたところ、市民による激しい抗議デモが起き、大統領は先月31日、辞任を余儀なくされました。

こうしたなか、軍は事実上のクーデターを起こして実権を掌握し、1日には軍の幹部会議を開き、大統領警護隊を率いていたジダ中佐を暫定的な国の指導者に選びました。

これに対し、大統領を辞任に追い込んだ野党側は、軍主導で政権移行が進むことに反発を強めていて、「この勝利は市民の手に渡るべきであり、軍が奪うべきでない」と訴え、市民に大規模なデモを呼びかけていて、ブルキナファソでは緊迫した情勢が続いています。【11月2日 NHK】
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なぜかくも権力に固執するのか?】
エクアドルのコレア大統領にしても、ブルキナファソのコンパオレ大統領にしても、なぜ権力者はこうも権力の座に執着するのか・・・個人的にはよく理解できません。

名誉を極め、おそらくそれなりの蓄財もしたでしょうから、余生をのんびりすごせばいいものを・・・と、権力に全く縁のない私などは思ってしまうのですが。

まあ、それでもいくつかの権力に執着する理由を想像することはできます。

自分でなければこの国は治まらない・・・という自負心
権力を手放せば、これまでの悪行を理由に粛清されるてしまうかも・・・という恐怖心
周辺の既得権益層がこれまでどおりの利益を得るために、権力の変化を許さないこと
あるいは、単に麻薬のような“権力”への依存症等々

“IMFの推計によると、2013年のブルキナファソのGDPは120億ドルである。一人当たりのGDPでは711ドルとなり、隣国のガーナやコートジボワールと比べると半分ほどで、世界平均の10%未満の水準にある”【ウィキペディア】という状態ですから、コンパオレ大統領の退陣はやむを得ないでしょう。

もっとも、“国土の北部はサヘル地帯にあたり、砂漠化が少しずつ進行している”【同上】という、目立った資源もない内陸国の経済をどのように育てていくかというのは、誰がやっても難しい問題ではあります。
コメント
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