孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

北朝鮮  金正恩第1書記、ロシア訪問を見送る

2015-05-02 22:24:52 | 東アジア

(中国との国境にある白頭山は、標高2750メートルを誇り、同国最高峰です。この写真も合成ではないか?という声もあるようです。【4月20日 AFP】

今日は、マレーシア・ボルネオ島のコタキナバルへGWを利用して旅行(2泊5日の弾丸旅行!)しようということで、移動の途中です。
鹿児島空港や関空でブログを書いていますので。いつもにもまして乱筆・乱文となっていることをご容赦ください。

若い正恩氏には荷が重かった?】
「不思議の国」北朝鮮の金(キム)正恩(ジョンウン)第1書記の動向には、良きにつけ悪しきにつけ世界の注目が集まります。

「初外遊」として、「血の友誼」中国ではなくロシアを訪問するのでは・・・ということで注目されていた件はなくなったようですが、今度は「なぜ行かないのか?」とあれこれ詮索されています。

ただ、これまでロシア訪問を再三アピールしていたのはもっぱらロシア側で、北朝鮮側は明確にしていませんでしたので、ロシア訪問を見送ったことであれこれ詮索されるのは迷惑な話かも。

****金正恩氏はなぜ訪露しない? 国内不安か、警護問題か…韓国で憶測飛び交う****
北朝鮮の金(キム)正恩(ジョンウン)第1書記が来週のロシア訪問を見送った理由をめぐり、諸説が入り乱れている。

国内不安定説、警護問題説、ロシア情報操作説…。

金第1書記は自らの「初外遊」「初首脳会談」という、取って置きのカードをいつ切るのか。今回の訪露見送りが対中関係改善に向けたシグナルとの見方も浮上する中、国際社会の関心は、9月に北京で行われる中国主催の「抗日戦争勝利70周年」記念式典に出席するかに移った。

9日のモスクワでの対ドイツ戦勝70周年式典に金第1書記が出席しないことを明らかにした露大統領報道官は、その理由について「(北朝鮮の)国内事情」としか説明していない。

このため金第1書記が訪露を見送った背景として、北朝鮮国内を留守にできるほど体制が安定していないとの見方が出ている。韓国の情報機関、国家情報院は先日、北朝鮮で今年に入り高官ら15人が処刑されたと国会に報告していた。

また韓国紙、朝鮮日報によると、北朝鮮は儀典・警護面で金第1書記への「最高の礼遇」「特別待遇」をロシアに要求したものの、北朝鮮の憲法上、“国家元首”は金(キム)永南(ヨンナム)最高人民会議常任委員長であり、ロシア側が難色を示したという。

このほか、韓国メディアは(1)露朝両国が首脳会談での合意内容の調整に失敗した(2)米欧の経済制裁に直面するロシアが、北朝鮮を満足させるだけの原油供給を含む経済支援を提示できなかった-などの見方も伝えている。

ただ、金第1書記の訪露見通しを強調していたのはロシア側だけで、北朝鮮は一切言及していなかった。ウクライナ問題で米欧首脳が式典を欠席する中、ロシアが金第1書記を「興行カード」(朝鮮日報)にしようと情報操作を試みた可能性も取り沙汰されている。

一方で、金第1書記は結局、2012年の就任後初めての外遊先に、慣例の中国ではなくロシアを選んで中朝関係の悪化が決定的になるのを避けたのでは-との見方も根強い。中国は9月の抗日戦勝式典に金第1書記を招待しており、金第1書記の対応が注目される。【5月1日 産経】
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当然に、中国を後回しにすることで、ただでさえ関係悪化が取り沙汰されている中国との関係をこれ以上刺激するのは避けた・・・・ということは十分考えられます。

軍事パレードには習近平国家主席も出席する予定で、その中でプーチン大統領と会談し、習氏とは会わないとなれば、メンツを重んじる中国・習近平主席の顔に泥を塗るようなことにもなります。

中国への配慮、ロシアからの支援が十分に引き出せなかった、国内の政情不安・・・・等、国家レベルの理由はいくつも考えられますが、金第1書記の個人的心情も推察されています。

“韓国政府関係者は「若い正恩氏には、多くの首脳が集まる場に行くことへの負担感が大きかったのではないか」と話す。”【5月1日 朝日】

これは非常に説得的です。国内では唯我独尊でとおりますが、国際政治の舞台で、多くの首脳に伍して外交手腕を発揮するというのは、国際政治経験が全くない金第一書記には相当にハードルが高い試みで、躊躇する気持ちになるのは自然でしょう。

こうした“気乗りしない”心情に国家的理由も加わって、「もう止めた!」ということになったのかも。

【本当のところはよくわからない中朝関係】
北朝鮮と中国の関係が実施どうなのか?・・・・ということに関しては、最近中国側も改善に動いているという報道もあります。

****北朝鮮への圧力、中国軟化 食糧輸出・無煙炭輸入を拡大****
中国が今年に入り、北朝鮮に対する経済的圧力をじわりと緩和し始めた。

制限してきた北朝鮮向けの食糧輸出を拡大させ、北朝鮮産の石炭輸入も回復させた。締め付けに伴う北朝鮮経済の疲弊やロシア接近を図る外交姿勢が、中国の対北朝鮮政策の調整を促したようだ。(中略)

北朝鮮との関係改善とみられる動きは政治面にも表れる。中国は今年3月、駐北朝鮮の中国大使を5年ぶりに交代させた。

「ほぼ途絶えていた中朝の高官交流を再開させ、関係の改善を探ろうとする意思の表れ」(中国の政府系シンクタンクの北朝鮮研究者)との見方がある。

中朝関係は、北朝鮮が2013年に実施した3回目の核実験などを受け、「過去最低」(同)まで冷え込んだ。中国は国連安全保障理事会の対北朝鮮金融制裁に加わったほか、貿易面でも北朝鮮への圧力を実施。輸出の約9割を中国に依存してきた北朝鮮に、深刻な外貨不足をもたらした。

昨年末には、北朝鮮で優遇されているとみられてきた軍人が中国吉林省に越境し、中国人4人を殺害する事件が発生。今年3月中旬にも、遼寧省丹東と接する北朝鮮の黄金坪島から、武器を持った軍人(18)ら2人が脱北した。

軍人たちは農村で食料を奪ったり、販売目的とみられる軍の装備品を複数持ち出したりしていた。食べ物を求めて逃げてきた可能性がある。

北朝鮮貿易商によると、北朝鮮の農村では、多数の餓死者が出た1990年代になぞらえて「第2困難期」と呼ばれるほど生活が困窮しているという。

 ■朝ロ接近、影響力低下を懸念
中国による石油や食糧輸出の制限を受け、北朝鮮が頼りにしたのはロシアだった。
北朝鮮国内の石油需要をロシアからの輸入で補ってきたほか、韓国政府系の大韓貿易投資振興公社によると、昨年はロシアからの食糧輸入額が前年比で100倍に達した。(中略)

中国は、北朝鮮によるこうしたロシアへの過度な接近に神経をとがらせる。(中略)

中国の元外交官は、北朝鮮の核開発放棄が中朝関係改善に不可欠だとの政府見解を述べた上でこう語る。「北朝鮮のロシア接近は対中牽制(けんせい)の意味を持つ。ロシアであれ、日本であれ、北朝鮮にできる支援は限定的だ。中国は、今後の中朝関係を模索している」【4月21日 朝日】
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中国との関係悪化には、張成沢をはじめとする親中派粛清もあります。
中国からの新任大使にしても、北朝鮮側の報道が冷淡だったり・・・といった話もあります。

このあたりの話は、だれもよくわからないところです。
なお、中朝国境では、また北朝鮮兵士による越境殺害が起きています。

****北朝鮮兵士、また住民殺害か=中国国境の集落****
北朝鮮との国境に近い中国吉林省朝鮮族自治州和竜市の共産党委員会は29日、同市の集落で中国人の男女3人が殺害される事件があったとの通報を25日未明に受けたと発表した。韓国のKBSテレビは越境した北朝鮮兵士3人による犯行で、事件後に逃走したと報じた。

KBSによれば、地元公安当局は武装警察を投入し、大規模な捜索態勢で逃げた兵士の行方を追っている。兵士が中国側にいるのか北朝鮮側に戻ったのかは不明で、当局は周辺住民に外出を自制するよう呼び掛けているという。

和竜市では昨年9月と12月にも越境した北朝鮮兵士らによる同様の殺害事件が発生。中国地元当局も国境地域の治安対策を強化しているが、北朝鮮側の経済苦境に伴い、治安悪化に歯止めがかかっていない。【4月29日 時事】 
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こうした事件が中朝関係にどのように影響するのか、あるいは、こうした事件が起きる北朝鮮側の食糧事情などは定かではありませんが、“強面”で自国権利を声高に主張するイメージがある中国がこうした事件に案外冷静であるいった感もあります。

ミャンマー国境での中国住民爆撃事件でも、結局、ことを大きくすることはありませんでした。
もし、日本国内で日本国民が他国の軍に殺害されたら、激昂する世論を背景に大変な騒ぎになるでしょう。

中国の場合は、世論のコントロールが可能ですから、国益重視で判断できるという“メリット”があります。

不満をもらしたら処刑????】
話を北朝鮮に戻すと、冒頭【産経】記事にもあるように、国内での処刑が報じられています。

****北朝鮮、今年に入り高官15人を処刑か 韓国情報機関****
韓国の情報機関、国家情報院は30日までに、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記が今年に入ってから約15人の政府高官の処刑を命じたと明らかにした。国家情報院の報告を受けた国会議員の1人が語った。

CNNは処刑について確認を取ることはできていない。国家情報院がこの報告を裏付けるどんな情報を得ていたかも現時点では明らかになっていない。

この議員によれば、金第1書記は場当たり的な統治を行っている。部下が弁解したり、自分と異なる意見を述べることを認めず、そういった行為を自分の権威への挑戦だと捉えているという。

例えば、林業省の高官は森林政策について不満を表明したために処刑された。国家計画委員会の副委員長は科学技術技術殿堂の屋根の形を丸形から花の形に変える設計変更案に反対したために処刑された。

3月には、スキャンダル問題を抱えた銀河水管弦楽団の総監督がスパイ罪で処刑されたという。

国家情報院はまた、金第1書記のロシア訪問について、行く可能性は高いものの、直前まで確たることは言えないとの見方を示した。【4月30日 CNN】
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CNNも“確認を取ることはできていない”と、いつになく予防線を張っていますが、本当でしょうか?
左遷・降格ならまだしも、処刑となると・・・・まるで、絵にかいたような独裁者の所業です。

もし本当なら、いずれ不満が吹き出し、体制は崩壊するでしょう。
国内情勢が不安で、とてもロシア訪問などしていられない・・・ということにもなります。

それにしても、どこまで信用できる情報かは不明です。
コメント
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