孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  サービスの質 お金持ちと一般庶民

2018-07-24 00:21:57 | 中国

(中国では数ある地方都市のひとつにすぎない貴州省貴陽ですが、高層建築が建ち並ぶさまは圧巻でもあります)

観光モードから帰国モードへ
中国の貴州省と広西チワン族自治区の観光を終えて、今日(7月23日)は四川省・成都にいます。

今朝、広西の南寧を飛行機でたって帰国の途についたのですが、フライトの乗継がよくなく、今日は成都で1泊、明日昼のフライトで大阪へ。大阪でまた1泊して、鹿児島に帰るのは明後日。

三日がかりの帰国で時間をとられ、鹿児島帰着後は空港から職場へ直行というスケジュールです。

そんな帰国後のタイトなスケジュールが待っていますので、今日は成都のホテルで、滞っていたネット情報の整理などしてグダグダしています。

本来なら、せっかく初めての成都にやってきたのですから、しかも13時着で午後の時間が空いているということですから、成都観光に出かけるところですが、上記のような帰国後のことのほか、すでに“帰国モード”になっており、都心まで観光にでかける“気力”がありません。

成都は三国志の蜀の都ということで、その方面の史跡もあります。ただ、三国志は嫌いではありませんが、劉備や孔明の人形を見に出かけるほどのファンでもありません。

本当は、成都郊外に三星堆博物館という古代文明の博物館があって、是非見学したいのですが、そこまで行くとなると時間的に難しいものがあり、今回はパスしました。

四川省は九塞溝や四姑娘山など有名観光地もあるので、また来る機会があるでしょう。

前日も書いたように、蚊に刺されまくった足が強烈に痒いのも観光テンションを下げていますし、往路のときと同じように、四川航空提供の無料トランジットホテルにたどりつくのに1時間あまりも要したこともテンションを下げました。

(四川航空は無料トランジットホテルを提供してくれるのはいいのですが、もう少し不案内な外国人のための配慮をしてもらいたいものです。フロアの航空会社職員に尋ねても、さっぱり要領を得ず、「何をしてほしいのか、このスマホに入力してください」という英語メッセージを表示したスマホを差し出されました・・・・。四川航空のサービスカウンターからあちこちに電話してもらい、やっと送迎の手配ができました。予約時の話では、ホテルの人間が出口で待っているということだったのですが、ウソです。)

そんなこんなで、ホテルでグダグダしています。

日本旅行で一泊15万円のホテルに泊まるお金持ち
経済が急成長する中国にはお金持ちがたくさんいて、大勢日本にもやってくる・・・・というのは、今更の話です。

貴州省を案内してもらったガイド氏は、私の仕事が終わったら、中国人3人を連れて北海道観光に行くとのことでした。

日本にも中国系ガイドはいるのに、わざわざ中国からガイドを同行するということから、相当な“お金持ち”であることがわかります。

そのガイド氏が「日本には一泊15万円のホテルがありますか?」との質問。
その“お金持ち”が、阿寒湖で「一番いいホテルに泊まりたい」とのことで、予定されているのが一泊15万円のホテルだそうです。

ホテル名を聞くと、私も北海道旅行の際に露天ぶろを日帰り入浴しようかと考えた有名ホテルです。
ネットで確認すると、一人5万円、三人で15万円という部屋があるようです。

サービスに関する日本と中国の差
お金持ちが自分のお金で豪華なホテルに泊まることを貧乏人がとやかく言う筋合いはありませんし、日本経済にとっては大いに感謝すべきところでしょう。

ただ、高価なホテルで丁寧なサービスを受けられるというのは、別に日本でなくても、中国でも、世界各地でも同じです。

“日本らしさ”を体感してもらうためには、そんな豪華なホテルでなくても、ごく普通のホテルでも丁寧な対応・サービスを受けられるということを知ってほしい・・・という感も。

中国のサービスの質も昔に比べると格段に向上はしています。
先ほども、ホテル併設のコンビニで買い物をしている際、カメラも持った両手で商品を抱えながら買い物をしていると、女性店員が抱えている商品を受け取りにきてくれました。

昔は、店員が商品を投げて渡す・・・・と、言われていましたが。

ただ、一泊15万円の話を聞いた日に宿泊したホテル(地方都市ではありますが、ある程度の規模のホテル)では、フロントの女性は何か食べ物をかじりながら客の応対をしていました。

また、朝食の場所を尋ねると、中国語が理解できないことを知りながらも、中国語で一方的に話すと、下を向いてスマホに・・・・。 言葉が通じないのでどう説明すればいいかわからなかったのでしょうが、そういう場合は、連れて行くといった対応があるでしょう。ほんの10mほど行って指させばわかる話です。

日本的なサービスに慣れていると、「なんだ、この対応は?」と思うようなこともしばしばあります。

一般庶民の生活は?】
上記の金持ちの話を聞いた広西でのガイド氏の話では、貴州省には特産品の茅台酒(マオタイ酒)で大儲けしているお金持ちが多いとか。

日中国交回復時に田中首相の乾杯などで日本でも有名になった茅台酒。昔から茅台酒は手に入らないと言われていますが、今はもっと難しいとか。

一方で、普通の人の暮らしぶりはどうなだろう・・・・ということで、南寧のホテルに貼ってあった求人広告。

「前台接待」というのがフロント係でしょうか。
「提成」は営業職の歩合のようなものですが、一般職種ではボーナス的な付加給でしょうか。
「全勤奨」は皆勤手当でしょう。

仮に基本給と併せて3000元として、約5万円。内陸地方都市ですから、北京・上海とは違います。
ただ、中国の場合、食事・宿舎が付与されることが多いようですから、日本との比較は難しいものもあります。

なお、2018年の一人当たりGDPは63402元(約108万円 月額約9万円)とのことです。

****一人当たり名目GDP」から見た中国の国民の豊かさについて****
中国経済は、鄧小平氏が主導した「改革・解放」路線が奏功して、1980年代初頭より、わが国の高度成長期並みの高度成長を続けてきた。

しかし、近年では陰りが見えて、成長率(実質GDPの伸び率)は1桁台に低下するとともに漸減傾向にある。それでも、IMF(国際通貨基金)が7月24日に発表した「世界経済見通し」によると、中国に関しては本年が6.7%、来年が6.4%であり、1~2%程度の低成長率に止まる日本や米国などの先進諸国と比べると、中国はなお十分に高い成長軌道を維持している、と言えよう。
 
このようにして、長年にわたり高度成長を遂げてきた中国であるが、一人一人の国民も豊かになり生活水準を向上させてきたと言えるだろうか。

この国民の豊かさや生活水準を国際比較する上で手掛かりとなるデータの代表格が、「各国の一人当たり名目GDP(ドルベース)」である。

これに関しては、内閣府が毎年末に発表する「国民経済計算年次推計(フロー編)」に掲載される「主要国の一人当たり名目GDP」表があり、その最新データ(16年12月22日発表)を見ると、中国は8,028ドル(2015年)であった。一方で、日本は34,522ドル(同)、米国は56,066ドル(同)であり、中国は米国の7分の1、日本の4分の1程度に止まっている。

つまり、中国は発展著しいとは言いながらも、これらの計数から見る限りは、その国民は、日米等の先進諸国の国民と比べるとまだまだ貧しいように見える。
 
しかしながら、中国の場合、こうした統計指標だけではその生活水準や豊かさを語れない固有の事情がある、と言うべきであろう。

それは、以下の3つである。一つ目が、上記の数値は「全国平均」に過ぎないことである。中国の場合、経済発展に伴い富裕層と貧困層との格差が著しくなっているが、格差が著しいほど「平均」は意味をもたなくなるものであり、中国における個々人の生活水準の実態を知る上で、「全国平均」は参考程度の意味しかないことに留意すべきであろう。

二つ目が、為替レートの問題である。「一人当たり名目GDP」は各国比較のためにドルベースでの算出が不可欠であることから、為替レートに大きく左右される。

仮に、人民元の対ドルレートが実力よりも安過ぎるとしたら、上記の数値(ドルベース)も過小評価されている可能性がある。

例えば、いわゆる「ビックマック平価」で計算した中国人民元の対ドルレートは、現実の市場レートと比べて約5割も過小評価されている。そして、ビックマック平価こそが長期的な実力ベースの為替レートだとすると、それにより計算した中国のドル建ての「一人当たり名目GDP」も一気に倍増することとなる。

そして、三つ目であるが、これが最も深刻な問題と言える。それは、国民所得統計などの中国の「公式統計の信憑性」に関して、かねてより疑問が呈されている点である。
 
このようにして、中国人が豊かになったかを国際比較する上で、「一人当たり名目GDP」の数値では限界があることは間違いなさそうである。

ただ、内閣府の上記統計は、各国ごとに過去20年の数値も示しており、中国について見ると、1996年には709ドルに過ぎなかった一人当たり名目GDPが、2015年には8,028ドルと、20年間に11倍強も急増している。

その一方で、同じ20年間に日本人の一人当たり名目GDPの数値は38,446ドルから34,522ドルと、1割強の減少である。

つまり、長引く景気の低迷を背景として、日本人の豊かさや生活水準も低迷を続けてきた一方で、中国人は日本人に急速にキャッチアップしてきた事実が推測できるだろう。
 
なお、「一人当たり名目GDP」の指標は客観的なデータであるが、これに加えて、ある途上国に行った際の、「その国の首都の街並みが何年くらい前の東京か」、の印象からも、そこの国民の豊かさが推測できるのでは、と筆者は考える。

例えば、カトマンズ(ネパール)は明治半ばくらいの東京、ビエンチャン(ラオス)は戦前の東京、そして、筆者が2年間滞在したシンガポールでは東京とほぼ同等、又は東京よりも先行しているとの印象をかつて受けた。
 

では、中国はどうか。10年ほど前であるが、「今の中国は何年前の日本か」、の質問への回答として、「40年前説」がしばしば唱えられた。その根拠の一つが夏季五輪や万博に関する開催の時期であり、日中間でほぼ40年の開きがあった(五輪は東京が1964年で北京は2008年)。

では、「バブル経済」に関してはどうか。わが国では1980年代後半にバブルが発生したが、中国でも、海外送金の規制強化などで国内のマネーが不動産に集中し、株価も16年初めの底値から再上昇に転じているのが足もとの状況である。また、民間債務の対GDP比が200%超と、日本のバブル末期の水準にある。

日本でのバブル崩壊の始まりは1990年代初頭であった。中国経済に関する最大の懸念材料であるバブル崩壊が近未来に起きるとなると、日本より約30年遅れ、ということになる。【2017年7月27日 野間修氏 SBI大学院】
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「今の中国は何年前の日本か」・・・・・非常に難しい問いですが、少なくとも「40年前説」はすでに過去のものでしょう。ここ10年で中国が劇的に変化しています。

少なくとも都市部の景観に関する限りは、立ち並ぶ高層建築は日本の先を行っているようにも見えます。(もちろん、日本は地震の制約があって高層建築は規制されていますが、それにしても、貴陽や南寧のような地方都市ですら40階建てぐらいの建築物が並ぶ様は、圧倒的でもあります。しかも、あちこちでクレーンが稼働しています。不動産バブルの話はありますが・・・・)

生活スタイルにしても、スマホ決済のような新技術が、カエル飛びのように一気に一般化する現象も見られます。
(田舎の村の店で水を買ったとき、現金で支払ったところ、現金取引があまりないせいか店ではお釣りの1元札がなかなかみつからず、女性店員から「どうしてスマホを使わないの!」と怒られました。)

明日の夜には関空に着きます。
成都からのフライトは4時間あまり。やはり近いというのは助かります。
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