孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

少子化  日本同様、あるいは日本以上に深刻な中国・韓国の事情

2019-11-05 23:57:15 | 人口問題

【中国 67歳女性の高齢出産に産児制限違反で罰金?】

現在、ウズベキスタン・サマルカンドに向かうチャーター便のフライト中。

直行便ですが、その分片道10時間のフライト。2時間半経過して、残り7時間半。長い・・・。

 

退屈なのでブログ更新の下書きでも。

ただし、ネットが使えないので、昨日までに把握している情報の範囲で。

 

1週間ほど前に、中国のこんな話題が報じられました。

 

*****67歳の中国人女性が出産、「自然妊娠では国内最高齢」と主張*****

山東省棗荘市の婦幼保険院はAFPに対し、田という姓の女性が25日、帝王切開で健康な女児を出産したと明かした。

 

中国ニュースサイトの観察者によると、田さんの夫の黄さん(68)は「この子はわれわれ2人に天から授けられた」と話しているとされ、環球時報は、赤ちゃんは「天賜」と名付けられたと報じている。

 

また済南時報によると、田さんはすでに2人の子どもがいるという。そのうちの一人は、一人っ子政策が導入される2年前の1977年に生まれた息子だという。

 

田さんの出産が報じられると、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー」には両親への批判が寄せられた。

 

あるユーザーは「両親はあまりに自分勝手。高齢で子育てはできないから、負担は年長のきょうだいにかかるだろう」と指摘した。

 

また、現在の産児制限数の2人を超えてしまったこの両親は、刑罰対象になるのだろうかと問う声も上がっている。【10月28日 AFP】

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まあ、まずはおめでたい話で。

確かに今後どのように育てるのか・・・という年齢的な問題はありますが。

 

最後の産児制限に関しては以下のようにも。

 

****67歳で出産の夫婦、産児制限違反で罰金も=ネットは賛否両論―中国****

2019年11月2日、中国メディアの鳳凰網は、67歳の高齢で女児を出産した夫婦が、産児制限に違反したとして罰金が科される可能性があると伝えた。 (中略)

中国では最近、産児制限が緩和され2人目までは自由に出産できるようになったが、今でも3人目以降については制限されている。

 

黄さんはすでに2人の子どもがいたため、11月1日に居民委員会から黄さんのところへ電話があり、罰金を納めるべきかどうかまだ確定していないと言われた。

 

関係者は「罰金を科すかどうかについて現在調査中だ。まず先に生まれた2人の子どもについての情報を確認しているところで、最終的な結果は追って公表する」としているという。

中国のネット上では、夫婦に罰金が科される可能性があることについて、賛否両論の声が上がっている。

罰金に賛成の意見には「罰金を科すのは全く問題ない。罰金を科さなければ法律に対する侮辱だ」「罰金を科さなくていいわけがない。罰金を科さなければ何人産んでもいいと国民に告げるようなもの」「法律はまだ有効なのだから問題ない」などがあった。

一方で、「これは罰金の必要はない」「子どもを産みたい人がいない中で、罰金まで科すのか」「これで罰金を科したら出生率はさらに下がるね」「2人目を産みたがらない人ばかりなのに、メンツのために罰金を科する必要などない」などの反対意見も多かった。

ほかには、「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」「出産は人間の基本的な人権」「産児制限自体が人権に違反している。2019年なのに、いまだにこんなものがあるのか」など、産児制限の政策そのものを批判する意見も少なくなかった。【11月5日 レコードチャイナ】

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賛否の意見はともかく、一番説得的だったのが「今は出産が奨励されているのに、まだ制限しているのか?」という意見。

 

【日本・中国・韓国で深刻さを競う少子化】

日本が抱える大問題が少子化に伴う社会変化にあることは今更の話ですが、長年「一人っ子政策」で人口抑制を行ってきた中国も近年は少子化が進行しています。

 

****日本で騒がれる少子化問題、実は中国の方が深刻かもしれない=中国メディア****

中国メディア・新浪は26日、少子化が深刻な社会問題としてクローズアップされている日本と比べ、近い将来に中国は一層深刻な少子化問題に直面することになると報じた。

記事は、日本、中国、韓国の東アジア3カ国はいずれも現在、出生率が低いという問題を抱えていると紹介。1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は韓国が0.9、日本が1.4、中国が1.6となっており、3カ国のなかでは中国が最も良い数字になっていることを伝えた。

その一方で、出生率の数値が最も安定し、やや回復傾向を見せているのは中国ではなく日本だと指摘。「中国人は日本の少子化問題を誤って理解している。中国の問題とは全く質が違うのだ」とし、中国では晩婚化とともに「結婚しても子どもをつくるのが遅い」という状況だが、日本では結婚率こそ低いものの、結婚した夫婦は平均で2人、多ければ4人もの子を育てるのだと説明している。

そして、中国で晩婚化、晩産化が進む背景について、「女性の解放とともに、男性が週6日午前9時から午後9時まで働く『996勤務』に苛まれていることがある」と分析。

 

中国の少子化は社会構造の問題であり、そのプレッシャーは日本より大きいとし、効果的な対策を取らなければ「経済と社会に巨大な影響をもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。

記事は、このままいけば中国の出生率は1.0を割る可能性があると指摘。育児への保障強化をはじめとする育児環境の改善が効果的に行われたとしても、1.2前後を保つのが精いっぱいだろうとした。

 

そして「今は、1世帯で7人、8人産むような1970年代以前の状況とは違う。スローガン一つで動くような世の中ではないのだ」と結んでいる。【10月28日 Searchina】

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上記のような事情を考えると、3人目に罰金というのはいかがなものか?という話にもなります。

 

数値的に見て、日本・中国以上に深刻なのが韓国。

出生率が1.0付近というレベル。

 

****日本以上に深刻・・・人口崩壊に向かう韓国、なぜ出生率が低下しているのか=中国*****

14億人に迫る人口を誇る中国だが、長期にわたって実施してきた一人っ子政策の弊害により、近年は少子高齢化が社会問題となりつつある。また日本も少子化と人口減少が問題となっているものの、韓国は日中よりもさらに深刻な状況となっているようだ。

中国メディアの快資訊は4日、韓国の合計特殊出生率が過去最低となったことを紹介する記事を掲載し、「韓国は人口崩壊に向かっており、日本以上に深刻だ」と伝え、韓国で一体何が起きているのかと疑問を投げかけた。

記事はまず、韓国の2018年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産むと予想される平均出生児数)が過去最低となる0.98人にまで低下し、「世界で初めて1を下回った国となってしまった」と紹介した。

 

一般的に、合計特殊出生率は2.1人の水準で現在の人口水準を維持することができると言われているため、韓国の人口問題は非常に深刻なことが分かると伝えた。

その原因について、韓国の経済発展に伴い、若者達の結婚観が変化して独身者が増加、さらに多くの人は自分の時間や金銭を子どもに注ぎたくないと考えるようになったと紹介。それに加え、1人の子どもの教育にかかる費用も上昇している結果、深刻な少子化問題につながったと分析した。

 結論として記事は、人口がわずか5100万人しかいない韓国でこのまま少子化が続けば、人口が急激に減少してしまう恐れもあり、それは韓国経済に大きな影響をもたらすだろうと強調した。

中国でも経済の発展に伴い、若者の結婚観に変化が見られ、少子高齢化が問題となりつつある。それゆえ、韓国や日本で起きていることは中国にとっても対岸の火事ではなく、長期的に見れば人口問題は日中韓にとって国家の盛衰のみならず存亡までかかった深刻な問題になっていると言えるだろう。【10月10日 Searchina】

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いがみ合っている日本と韓国ですが、まあ、そのうち両国とも消失してしまう危険性を抱えており、今のいがみ合いなど、どうでもいい話かも。

 

韓国は、足元の数字も芳しくないようです。

 

*****8月の出生数が過去最少 前年比10.9%減=韓国*****

韓国統計庁が30日発表した「人口動向」によると、8月の出生数は2万4408人で前年同月比10.9%減少した。

 

8月の出生数としては、月別の出生統計を取り始めた1981年以降で最も少なかった。出生数は同月基準で、2016年4月から今年8月まで41カ月連続で過去最少を更新している。

 1〜8月の出生数の累計は20万8195人で、前年同期比8.0%減少した。

出生数から死亡数を引いた人口の自然増加数は730人にとどまり、83年に統計を取り始めてから8月としては最も少なかった。

8月の婚姻件数は前年同月比5.2%減の1万8340件で、こちらも8月としては81年の統計開始後で最低となった。【10月30日 ソウル聯合ニュース】

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上記の婚姻件数にも反映しているように、少子化の背景には「結婚しない若者」という社会現象も。

 

*****少子高齢化が進む韓国で、「結婚しない」生き方を選ぶ若者が増加中=中国メディア*****

韓国では若者の間で「結婚しない」生き方を選ぶ人が増えているという。ある調査では、韓国の20ー30代の約6割が「結婚と出産は必ずしも経験する必要はない」と答えたそうだ。

 

日本でも未婚率が上昇しているが、韓国にはまた違った理由があるようだ。中国メディアの今日頭条は26日、韓国の若者が結婚したがらない理由を分析する記事を掲載した。

記事は、ある中国メディアの「韓国の若い女性の間で結婚しないことがブームになっている」という報道を紹介。この報道では理由として「家庭内における女性の地位の低さ」が挙げられたが、記事は「そんなに簡単な問題ではない」と主張している。

記事は、社会・家庭ともに韓国では女性の地位が低いことに加えて、「経済発展の結果としての女性の社会進出」と、「結婚すると生活コストが高くなること」にあると分析。

 

家庭内における女性の地位は、「韓国と日本は同様に低い」が、中国では女性の立場は非常に高いと誇らしげに伝えた。

 

しかし、中国に関しては、女性の地位も婚姻率も地域差が大きいのが特徴となっている。経済発展している都市部では女性の地位は高いが婚姻率は低く、地方に行けば行くほど女性の地位は低く婚姻率が高くなる傾向がある。

記事の主張する3つの理由の正確性はともかく、記事は少子高齢化がますます進むとみられる韓国の問題は、中国にとっても他人事ではないと指摘している。「こういう文化は伝染するもの」なので、韓国の動向には注意する必要があると警戒感を示した。

実際のところ、中国でも「結婚したくない若者」が増えている。記事に対するコメントを見ても、「それは日韓だけの問題ではない」、「世界共通の問題」という指摘があった。

 

また、一人っ子政策の影響で男女の比率が不均衡になっている中国の場合、「男性が独身を強いられる」特殊な事情もあるようだ。

非婚化はそのまま少子高齢化へとつながるため、韓国のみならず日本や中国にとっても大きな問題と言えるだろう。とはいえ、価値観が多様化し、いろいろな生き方を選択できるようになった結果とも言えるのかもしれない。【7月30日 Searchina】

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日中韓のいずれがより深刻か?という話になれば、少子化の進行速度という点では中国に懸念があるようです。

 

*****日本と中国と韓国が直面する「少子化」、特に深刻なのは・・・=中国メディア****

(中略)一方の中国の合計特殊出生率は1.48人と、数字だけでみれば3カ国の間では最も高い数字を示している。

 

しかし「出生率の右肩下がりぶりでは世界一」で、韓国どころか世界でもこれほど急激に低下している国はないという。

 

昨年の出生率だけを見れば韓国が最も厳しいように見えるが、一人っ子政策を緩和させたにもかかわらず少子化が加速している中国は、もしかしたら日本や韓国以上に危機的状況なのかもしれない。

 

この話題は中国人の強い関心を引いたようで、多くのコメントが寄せられている。例えば「出産は女性にとって代償が大きすぎる」、「子どもを産んで育てるのは費用がかかりすぎる。誰が産む勇気があるというのだ?」など、中国でも出産を望まない人が増えている様子がうかがえた。【10月2日 Seachina】

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一般的に所得水準が向上すれば、出生率は低下する傾向にあります。

少子化の背景には、女性の社会的地位、働き方、若者の価値観、教育に要する費用、国家の支援制度など様々な要素が絡み合っていますが、フランスのように改善した国もあるのは周知のところです。

 

多様な生き方を認めることが「産まない・結婚しない」という選択を可能にしたという面では少子化を招いた要因ともなっていますが、一方で、家族の在り方に関して「伝統的家族」観に拘泥せず、非嫡出子を社会的に容認するような多様なライフスタイル・家族観を促進することは、少子化の解消に役立つと思われます。

 

ということは、現在の日本政治では「解消は難しい」という結論にも。

移民・外国人労働者についても同様ですが、日本は伝統を守りながら静かに消えていく運命でしょうか?

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