
(ロシアでは果物・野菜の価格が1年前より約3割高い(政府データ)【5月21日 WSJ】)
【苦境が報じられるロシア軍 ただ、長期化などの懸念も】
ウクライナ軍の反転攻勢も伝えられるなか、ロシア軍は投入した地上戦力の3分の1を失った・・・など、ロシア軍の苦境が多く報じられています。
ただ、ロシア側が支配地域の“守り”に入れば戦争は長期化し、ウクライナ側の対応如何ではロシアの核使用も懸念される事態にもなります。
****戦車に食洗器や冷蔵庫の半導体まで転用…兵器不足でロシアの攻撃が止まる日は来るのか?【報道1930】****
ウクライナへの侵攻から間もなく3か月、ロシア軍は投入した地上戦力の3分の1を失ったとの分析もある。大量の兵力損失は、今後の戦い方をどう変えるのか。また戦争の終結は早まるのか。(中略)
■プーチン氏と軍部の関係「相当ぐらついている」
ロシア軍の制服組のトップ・ゲラシモフ参謀総長の消息が途絶えた。(中略)今、軍部で何が起きているのか。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「戦勝記念日は軍が主役のイベントなので参謀総長が来るべきもの。(中略)可能性は幾つかあると思うが、今回の戦争を巡って相当にプーチンの信頼を失っているという話がある。ゲラシモフは事実上更迭されているとの噂話もある。最後のチャンスを貰えるかどうかプーチンと折衝中だと。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「戦勝記念日は軍が主役のイベントなので参謀総長が来るべきもの。(中略)可能性は幾つかあると思うが、今回の戦争を巡って相当にプーチンの信頼を失っているという話がある。ゲラシモフは事実上更迭されているとの噂話もある。最後のチャンスを貰えるかどうかプーチンと折衝中だと。
現場の司令官クラスも罷免されるだけでなく、捕まっているのではないかという。参謀本部の中でも何人か罷免されているという話もある。軍とプーチンの関係は相当にぐらついているというのは間違いないと思う」
こうした中、16日にロシアで有名な軍事評論家のホダリョノク元大佐が国営テレビに出演し、こんな発言をしたことが物議をかもしている。
「ロシアにとって戦況は明らかに悪化している。軍事的、政治的状況の最大の問題点は、私たちは完全に孤立していて、全世界が私たちに反対していることだ」
プロパガンダ化した国営テレビで、プーチン氏に不利に聞こえるような戦況を語ることは珍しい。一体どんな意図があるのだろうか。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「ホダリョノク氏も随分勇気がある発言をしたと思う。こういう発言を許したのが、ホダリョノク氏の独走だったのか、それとも仕込みで何らかの理由でこういう発言をさせているのかは気になるところだ。
こうした中、16日にロシアで有名な軍事評論家のホダリョノク元大佐が国営テレビに出演し、こんな発言をしたことが物議をかもしている。
「ロシアにとって戦況は明らかに悪化している。軍事的、政治的状況の最大の問題点は、私たちは完全に孤立していて、全世界が私たちに反対していることだ」
プロパガンダ化した国営テレビで、プーチン氏に不利に聞こえるような戦況を語ることは珍しい。一体どんな意図があるのだろうか。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「ホダリョノク氏も随分勇気がある発言をしたと思う。こういう発言を許したのが、ホダリョノク氏の独走だったのか、それとも仕込みで何らかの理由でこういう発言をさせているのかは気になるところだ。
実は他にも何人か軍人や専門家は、『動員をかけないと勝てませんよ』とか語り始めている。戦況が厳しいということを専門家の口を借りて喋り始めている、或いは専門家がそういう発言をすることを妨げなくなってきている。では、言わせた末に何処に持っていきたいのか…もはや何々をしてもやむを得ない、という方向に世論を持って行きたいのだろう。その“何々”が何なのかということがこれからの焦点だと思う」
■戦力は3分の1に「逃走して再編成しないと使い物にならない」
(中略)
元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシア軍は厳しい状況だと言える。戦術の常識では、ひとつの部隊の存亡が30%になるとその部隊は使い物にならない。後ろに逃走して再編成しないと使い物にならない。3分の1というのは33%ですから、この時点でロシア軍をみるとかなり無理をしなければ作戦が出来ないような状態になっている。
「ロシア軍は厳しい状況だと言える。戦術の常識では、ひとつの部隊の存亡が30%になるとその部隊は使い物にならない。後ろに逃走して再編成しないと使い物にならない。3分の1というのは33%ですから、この時点でロシア軍をみるとかなり無理をしなければ作戦が出来ないような状態になっている。
攻撃する側は5倍の戦力でなければならないと私は言っているのだが、これが出来ないような状況になっている。だから、ドンバス地域においてロシア軍の攻撃が進捗していない。これは明らかな原因がここにあると思う」
■食洗器・冷蔵庫の半導体を戦車に…
ロシアは兵器の増産に躍起になりたいところだが、どうやら更なる難関に直面しているようだ。1936年創業のウラル・バゴン・ザヴォート社は、ロシアの最新戦車のほとんどを製造する。しかし、ウクライナ国営メディアによると、部品不足のため3月21日に操業を停止したという。米国商務省の輸出管理担当者も「ロシアでは制裁で通信機器などに使用する半導体が足りなくなっている」と分析している。
また、驚くべき報告もある。米国のレモンド商務長官は11日、ウクライナ側からの報告として「ロシア軍の戦車を調べた際、食洗器や冷蔵庫から取り出した半導体が使われていた」と明かした。
さらにロシアの戦車連隊で、備蓄していた戦車10両のうち実際に運用できる戦車は1両しかなかったという。これは電子機器などの主要な部品が盗まれていたためだと、ウクライナの国防情報局が明らかにしている。(中略)
■“守り”の戦いで 戦争長期化 核使用の口実も―
ロシアは戦力を大量に喪失し、更には戦力を補えない状態が続いていることは確かなようだ。ウクライナ国防情報局のブダノフ情報局長は「ターニングポイントは8月の後半になる。激しい戦闘行為のほとんどは今年の終わりまでに終了するだろう」と語り、アンドルシフ内務省顧問は今後について次のように分析した。
「ロシア軍が東部で占領地を拡大する第2段階に失敗し、現在は防御戦に移行。占領地を維持する第3段階入った」
これはどういうことを意味するのだろうか。
元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアの第3段階とは、現在ロシアが占領している地域を保持することだ。そこで、ロシア軍とウクライナ軍の戦力比だが、例えばウクライナ側に防御するロシア側の5倍の戦力があるかと言えば、それはない。そうなると、もう膠着状態にならざるをえない。だから来年まで戦争は続いてもおかしくない。もしプーチン大統領がこの戦いはまだまだ続けるんだという決心を変えなければ、長くなるんだろうと思う」(中略)
更に今後の警戒すべき点について2人はロシアによるザポリージャ州、ヘルソン州の併合だという。
元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアはヘルソン州で防御態勢をどんどん作っている。ロシアにとって、ヘルソン州は絶対に明け渡したくない成果。それを確保するために一所懸命陣地を構築して、プーチン大統領に是非ロシア領にしてくださいと要望しているのだと思う。そうなると、ここが攻撃されたらロシアの領土が侵されたとして戦術核を使う、という脅しが実際に起きる可能性があると思う」
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「(中略)でも、ザポリージャ、ヘルソンがロシア領になるということになれば、これはロシアの領土が侵されているんだという建付けになるので、核使用の布石になると見られてもおかしくはない」
実際、メドベージェフ前大統領が17日こんなことを言っている。「我が国が攻撃された場合には、即刻、超強大な報復が可能だ」
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「一方で、戦術核にせよ何にせよ、使った場合、どこまでエスカレートするか、これはロシアには制御できない。ウクライナがどう応じるか、西側がどう応じるかにかかって来る。
「ロシア軍が東部で占領地を拡大する第2段階に失敗し、現在は防御戦に移行。占領地を維持する第3段階入った」
これはどういうことを意味するのだろうか。
元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアの第3段階とは、現在ロシアが占領している地域を保持することだ。そこで、ロシア軍とウクライナ軍の戦力比だが、例えばウクライナ側に防御するロシア側の5倍の戦力があるかと言えば、それはない。そうなると、もう膠着状態にならざるをえない。だから来年まで戦争は続いてもおかしくない。もしプーチン大統領がこの戦いはまだまだ続けるんだという決心を変えなければ、長くなるんだろうと思う」(中略)
更に今後の警戒すべき点について2人はロシアによるザポリージャ州、ヘルソン州の併合だという。
元・陸上自衛隊東部方面総監 渡部悦和氏
「ロシアはヘルソン州で防御態勢をどんどん作っている。ロシアにとって、ヘルソン州は絶対に明け渡したくない成果。それを確保するために一所懸命陣地を構築して、プーチン大統領に是非ロシア領にしてくださいと要望しているのだと思う。そうなると、ここが攻撃されたらロシアの領土が侵されたとして戦術核を使う、という脅しが実際に起きる可能性があると思う」
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「(中略)でも、ザポリージャ、ヘルソンがロシア領になるということになれば、これはロシアの領土が侵されているんだという建付けになるので、核使用の布石になると見られてもおかしくはない」
実際、メドベージェフ前大統領が17日こんなことを言っている。「我が国が攻撃された場合には、即刻、超強大な報復が可能だ」
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「一方で、戦術核にせよ何にせよ、使った場合、どこまでエスカレートするか、これはロシアには制御できない。ウクライナがどう応じるか、西側がどう応じるかにかかって来る。
従って、ロシアの核使用は現実に考えると、そう簡単に気軽に決断できる問題ではないはず。現実に我々はどのへんまでロシアを抑止できていて、何処が不利なのか、あいまいな領域はどこなのか、ということを考えながらウクライナ戦略を考えていく必要がある」
追い込まれていくロシアに対し小泉氏は、いまこそ経済制裁を西側が“働きかけ”の武器にすることを提案した。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「戦車の部品一つとっても、半導体であるとか、それを作るための工作機械だとか、自国じゃできないわけです。ロシアもまた国際的なサプライチェーンの中にいないと、もう大国として振る舞うことは出来ない。
追い込まれていくロシアに対し小泉氏は、いまこそ経済制裁を西側が“働きかけ”の武器にすることを提案した。
東京大学先端科学技術研究所 小泉 悠 専任講師
「戦車の部品一つとっても、半導体であるとか、それを作るための工作機械だとか、自国じゃできないわけです。ロシアもまた国際的なサプライチェーンの中にいないと、もう大国として振る舞うことは出来ない。
だから、そこにロシアに対して働きかける余地はあると思う。経済制裁もすぐに効かないじゃないかとか、一般民衆が苦しむだけで権力者は平気ではないかとの意見もあるが、私はロシアの軍事力とか権力とか、産業とか、我々がどこを閉めたらロシアのどこが痺れるのか、相関関係をマッピングして、ちゃんと働きかける方法はまだまだあるのではないかと思う。それは対ロシアだけでなくこれから日本が色々な所で使ったり、使われたりする武器なのだろうと思います」(BS−TBS 『報道1930』 5月18日放送より)【5月30日 TBS NEWS】
******************
【ロシア国内で批判的な論調も】
「プーチンの戦争」を圧倒的に支持してきたロシア社会にも、メディアの論調において変化の兆しが見えます。
****露で広がる侵攻への疑問、戦況膠着で風向き変化****
戦場での失態が増えるのに伴い、トーンに変化
ウクライナ侵攻を巡り、ロシア国内で批判的な論調が広がってきた。政府寄りのコメンテーターは当初、戦いぶりと軍指導部を称えていたが、戦場での失態が増えるのに伴い、そのトーンにも変化が生じている。
ミハイル・ホダレノク退役大佐は今週テレビ番組に出演し、西側がウクライナへの兵器供与や金融支援を強化する中、ウクライナにおける「わが国の状況は明らかに悪化するだろう」と警告した。「われわれにとって最も重要なのは、軍事的および政治的な現実をしっかり認識することだ」と同氏。「これを見失えば、歴史からひどい仕打ちを受け、何が起こるか分からなくなる」
ホダレノク氏はロシアの国益にならないとして、当初からウクライナ侵攻には反対の立場だった。だが、政府の見解を代弁することで知られる国営テレビ「1チャンネル」において司会者と白熱した議論を交わすことは異例で、同氏の批判的な論調は注目を集めた。
ところが、その数日後に再び同じ番組に出演したホダレノク氏は発言のトーンを一転。政府と同じ見解を公然と展開し、近くロシア軍が勝利するとの見方を示した。
世論に大きな影響を与えるロシア国営メディアは侵攻を全面的に支持しており、政府が「特別軍事作戦」と呼ぶこの戦争を肯定的に伝えている。独立系の世論調査によると、今回の戦争とウラジーミル・プーチン大統領に対する国民の支持はなお極めて高い。
しかしながら、ロシア軍がウクライナの首都キーウ(キエフ)や北東部の都市ハリコフから後退したことで、一段と慎重な論調も広がってきた。
5月初めには、ウクライナ東部の川を渡ろうとしていたロシア軍大隊をウクライナ軍が総じて撃退。ロシア軍は戦車や装甲車を破壊され、多くの兵士を失った。これを受け、軍事評論家は恥ずべき失敗だと断じた。
ロシア政府寄りの著名司会者が務める第1チャンネルの別の番組では、元ウクライナ議員で、ロシア政府を支持したことで知られる評論家イゴール・マルコフ氏が、今回の戦争でロシアが敗北する可能性があると認めた。
マルコフ氏は「われわれの命がかかっており、勝つという選択肢しかない」としつつ、「現在の状況を見る限り、それをどう達成できるか分からない」と述べた。「戦況に関して、司令官に真実を報告していることを心から望む」
国営テレビで聞かれるようになったこうした批判は、戦争の行方と国家の運命について陰で不安をもらしているロシア国民の心境を映し出している。
2017年にクリミア半島で従軍し、仲間の兵士と連絡を取っているという徴集兵は、現場の兵士らも幻滅していると話す。「彼らは皆、常に無敵だと思っていた軍に失望させられたと感じている」
かねてロシア軍を支持していた人々も似たような懸念を口にしている。ロシアの軍事ジャーナリストで、従軍経験もあるアレクサンドル・スラドコフ氏はテレグラムで「遺憾なことが多いが、悪いことは言いたくない。だが、1つだけ疑問がある。わが軍はどこにいる?」と問いかけた。
その上で「違いに気付いてほしい。われわれはかつてハリコフ、そしてキエフでの戦いについて話していた」とし、「だが、今ではわれわれの成功は違う形に変わり、小さな町での勝利について語っている」と指摘した。(後略)【5月20日 WSJ】
***********************
イギリス国防相の推計ではロシア軍兵士の死者は1万5千人ほどとも。
犠牲となった兵士の遺体が多数戻ることで、苦しい戦況は隠せなくもなります。「プーチンの戦争」への疑問も次第に膨らむことが予想されます。
【4月の消費者物価指数 前年同月比17.8%上昇】
苦しいのは戦況だけでなく市民生活も同様です。長期化すればするほど制裁の影響は大きくなります。プーチン大統領にとっては、戦況云々よりも政権基盤を揺るがす重大な問題でしょう。
****ロシア市民にインフレの痛み、制裁で品不足も****
西側諸国の経済制裁を受けているロシアで今、インフレが欧米の倍のペースで進行している。食品などスーパーに並ぶモノの価格が急激に値上がりし、人々の生活を直撃している。
ロシアでは景気低迷のあおりで賃金が上がらず、消費者の生活は一段と悪化している。在庫が少なくなる中、現金を手元に置いておくよりも早く使ってしまおうとする人々の行動もインフレを加速させかねず、状況はさらに悪化するとみられている。
政府のデータによると、1年前に比べ砂糖は7割弱、果物・野菜は約3割値上がりしている。食品全体では4月の上昇率は2割と、米国の2倍だ。パスタや穀物・豆類も3割以上価格が上がっている。
ロシアでは家計支出に占める食品の割合が大きいため、値上がりの影響はより深刻だ。米農務省によると、平均的な家計支出に占める食品の割合は2020年時点で米国が7.1%、英国が9.4%だったのに対し、ロシアは約29%に達した。
ロシアの賃金上昇ペースは物価上昇に追いついておらず、22年1-3月期の実質可処分所得は前年同期比1.2%減少した。22年の国内総生産(GDP)はマイナス10%程度になる見通しで、賃上げが進むとは考えにくい。
一方、4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は米国が前年同月比8.3%、ユーロ圏が7.4%に達したが、ロシアでは17.8%と、それよりはるかに高い水準となった。
ロシアが2月にウクライナに侵攻して一連の経済制裁が科されると、インフレ率は急上昇し、それ以降は高止まりしている。洗剤や掃除用品は4月に前年同月比30%、電気製品・家電は28%値上がりした。一方、ロシアは世界有数の原油・ガス生産国であり、ガソリン価格は6%の上昇にとどまっている。
ロシアの消費者は、化粧品から宅配ピザまであらゆるものの値引き情報を求めて対話アプリ「テレグラム」に目を凝らしている。同国の反独占庁は、さまざまな商品の値上がりを巡って苦情が寄せられたことを受け、砂糖、プラスチック、ベビーフードなどの業者を対象に検査を実施した。
輸入品の在庫がなくなり、輸送費も上昇する中、長年ロシアを悩ませてきたインフレは今後も高止まりする公算が大きい。
ドイツ国際安全保障問題研究所のロシア経済専門家ヤニス・クルーゲ氏は「多くの企業はまだ、欧米製の部品やモノの在庫を持っている。数カ月分か、1年分あるかもしれない。だが、いずれは底を突き、品不足になって価格が押し上げられるだろう」と指摘した。
物価高騰や不透明な景気見通しに直面しているロシア人は、現金の価値が下がる前にカネを使うという、昔ながらの習慣に戻っている。これはインフレ下では常とう手段だが、さらなる物価上昇を招きかねない。
独立系コンサルティング会社Rポリティクの創業者タチアナ・スタノバヤ氏は「経済情勢の悪化がいつ、どれほどの速さでプーチン氏の支持率低下につながるかはまだ読めないが、国民の団結が揺らげば、早々にそうなるのは間違いない」と述べた。【5月21日 WSJ】
***********************
【厳しさを増すロシアを取り巻く国際的環境】
「プーチンの戦争」が裏目に出て、フィンランド・スウェーデンのNATO加盟表明という、目的とは逆の事態に陥っているのは周知のところ。
****ついにロシアを見限った、かつての「衛星国」たち****
<プーチン政権とロシアへの反感と抵抗を募らせる、「旧ソ連圏」の国々。今回のウクライナ侵攻には加担せず、餓死や粛清などソ連時代の残虐行為への責任も問う声が一般市民にも広がっている>
隣人と仲良くするのは難しいものだ。とりわけそれがロシアの場合には──。
ウクライナで戦争が始まって以来、かつて「衛星国」と呼ばれた国々が続々とモスクワの重力圏を離れようとしている。
足元でロシアの脅威を感じるモルドバやジョージア(グルジア)から、ロシアに借りのある中央アジアのカザフスタンまで、多くの国がウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアから距離を置き始めた。
ソ連時代の親密な関係を再検証する動きもある。かつてのソ連は「みな兄弟」と言っていたが、そんなのは嘘っぱちだと今は誰もが気付いている。みんな対等なんて話は、暴力でソ連が生まれた100年前から嘘だった。
そのソ連が崩壊してから30年を経た今、かつての衛星国の目に映る今のロシアは、単なる厄介な隣人だ。(後略)【5月19日 Newsweek】
**********************
頼みの中国も、自分が火の粉を被ってまでロシアを支援する考えはないでしょう。
****中国ハイテク企業、ロシアとの取引ひそかに停止****
中国のハイテク企業が米国の制裁措置やサプライヤーからの圧力を受けて、ひそかにロシアとの取引から手を引いていることが分かった。中国政府は外国の制裁に屈しないよう求めているが、複数の主要企業が公表することなくロシアでの販売を減らしている。内情に詳しい関係筋が明らかにした。(後略)【5月7日 WSJ】
***********************
もちろん、ロシアが以前として多くの地域を支配しており、東部などで攻勢をかけているのも事実です。
上記のような“ロシアの苦境”云々は、ある意味、ロシアが苦境に耐えかねで戦争を中止して欲しいという“期待”“希望”もこめられた議論でもあります。
なお、一部日本メディアで報じられている「ウクライナ、反転攻勢へ…大統領顧問『米欧提供の武器がそろう6月中旬以降』」というのは拡大解釈のミスリードとの指摘も。
互いが“大本営発表”するなかで、戦争の実態はよくわからないところも。