孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

新型コロナ抗体獲得で感染予防できるか? 再陽性問題が示すものは? 初期はインフルエンザ流行と重複

2020-04-25 23:27:13 | 疾病・保健衛生

(【4月25日 NHK】 感染拡大は少し鈍化しているように見えますが・・・)

【消えたパスタ】
食事はあり合わせのもので済ましてしまう私は普段から、小池都知事が勧めるように3日に1回程度(あるいは、もっと少ないかも)しか買い物はしないのですが、よく行くドラッグストアに今日立ち寄ると、パスタコーナーが空っぽ。

そう言えば、前回来店したときも殆どなかった・・・今日は完全にゼロ。

近くにいた店員さんに尋ねると「そうなんですよ。インスタントラーメンの袋めんがあっという間になくなったかと思っていたら、今度はパスタが・・・。どうなっているのか」って。
全く「どうなっているのか」

ちなみに、インスタントラーメンの在庫は回復したようで、普段どおりの商品が並んでいました。

【WHO 抗体保有が感染を防ぐ証拠は現時点では「ない」】
ここ2,3日、このブログで抗体検査、集団免疫、免疫パスポートといった類の話を取り上げていますが、WHOはそっち方面にはあまり乗り気ではないようです。

****再感染、防げる証拠ない=新型コロナ抗体保有者―WHO****
世界保健機関(WHO)は24日付の報告書で、新型コロナウイルスに感染し抗体を保有しても、2度目の感染を防げる証拠は現時点ではないと見解を示した。

英国など一部の国で、検査で抗体が確認された市民に「免疫証明書」発行を検討しているが、WHOとしては完全な安全性の証明にはならないと警鐘を鳴らした。
 
WHOによると、ほとんどの研究で、新型ウイルス感染後に回復した人は、抗体を持つことが確認されている。しかし、このうち一部の人の抗体は、ウイルスの働きを弱める中和作用が非常に低かった。
 
このため、抗体のみを検査して免疫証明書を発行することは「感染拡大を継続させるリスクを高める」可能性があるとWHOは警告している。【4月25日 時事】
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このウイルスの抗体がどの程度再感染を防止できるか、その期間はどのくらいか・・・などについては、よくわかっていないということは、これまでも取り上げてきたところです。

ただ、イギリス・イタリアなどでの抗体検査が進めば、そのあたりももう少し見えてくるでしょう。

【韓国の治癒者再陽性が示すもの】
そうした話と関連するのが、韓国で報じられている、いったん陰性になった患者が、その後の検査で再陽性になるケースが多くみられるという件。

これが、(下記記事では触れられていませんが)もし再感染によるものであれば、抗体に免疫が期待できないという話にもなります。

****韓国で「再陽性」163人 隔離解除から平均13.5日****
韓国の中央防疫対策本部は17日、新型コロナウイルスの感染者のうち、ウイルスが体内からなくなる陰性と判定されてから、再び陽性となる「再陽性」が163人で確認されたと発表した。

感染者が隔離を解除されてから再陽性と判定されるまでは平均13・5日かかっているという。
 
同本部は原因として、①免疫力が弱まって抗体が完全に体内でつくられず、ウイルスが再活性化②検査そのもののミス③体内にウイルスはなくなったが、その断片を検知、などの可能性を調べている。完治後の「再感染」ではないとし、再陽性と判断された人からの感染拡大も確認されていないという。【4月17日 朝日】
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現段階では、再感染の可能性は低いという見方のようです。

****「コロナ再陽性」韓国の研究で見えてきたこと 再感染より再活性化の可能性高いが厄介な事象****
(中略)
再感染か再発か
再感染は、最も懸念されるシナリオだ。集団免疫の獲得の判断に大きく影響してしまうからだ。しかし、KCDCも多くの専門家も、再感染は最も考えにくいとしている。

その代わりにKCDCは、ウイルスの一種の再発、つまり再活性化の説に傾いているという。

専門家によると、再発は、ウイルスの一部がしばらく一種の休眠状態になっていることを意味している可能性がある。あるいは一部の患者が特定の条件や免疫の弱さを持っていて、目覚めるウイルスに影響を受けやすいことを意味する可能性があるという。

中国と米国の医師らによる最近の調査では、新型コロナウイルスがTリンパ球(T細胞)を損なう可能性が示唆された。T細胞は、体の免疫システムが感染症と闘う能力に中心的な役割を果たす細胞だ。

高麗大学薬学部のウイルス学研究者、Kim Jeong-ki氏は、こうした再発について、圧縮されたバネが一気に戻る動きに例える。「バネは押すと縮むが、手を放すと跳ね上がる」と説明した。

しかし、再感染ではなく再発であることが判明したとしても、それはそれで、ウイルス感染拡大を抑止する上では、新たな難問の合図になるかもしれない。

ワクチン開発の専門家で中央大学の教授でもあるSeol Dai-wu氏は「韓国の保健当局はまだ、ウイルスの再活性化した患者たちが、第3者にウイルスをばらまく事例を確認していないが、それが証明されれば由々しい問題になる」と述べた。

検査の限界
韓国では、48時間で2度のウイルス検査が陰性になれば、患者のウイルスは消えたとみなされる。
韓国で用いられるRT-PCR検査は総じて精度が高いと考えられているが、専門家によると、少数の検査例では誤った、あるいは矛盾した判定が出る可能性がある。(後略)【4月16日 ロイター】
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ウイルスが再活性されたとしても、第3者にウイルスをばらまくことはない・・・とも。

****韓国の保健当局 再陽性「感染力ほぼ無い」****
新型コロナウイルスに感染して回復したにもかかわらず、その後の検査で再び陽性と判定されている事例が相次いでいることについて、22日、韓国の保健当局はウイルス培養検査の結果、感染力はほぼ無いとの見方を示しました。

韓国では22日までに新型コロナウイルスに感染後、治療を終えて回復した8277人のうち、207人がPCR検査で再び陽性と判定されています。

こうした事例について、保健当局がウイルスを分離・培養して詳細な検査を行ったところ、これまで結果が出た6件すべてが“陰性”でした。

保健当局は「感染力はほぼ無いか、低い」との見方を示しています。

再陽性については詳しい原因はわかっていませんが、死んだウイルスの遺伝子が検出されるなどの可能性が指摘されています。【4月22日 日テレNEWS24】
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なお、「治癒」後の患者の5割の体内にウイルスが残留しているとも。

****韓国、治癒した人の約5割の体内にコロナウイルス残留―韓国メディア****
韓国・聯合ニュースによると、韓国疾病管理本部は22日、同国で新型コロナウイルスに感染してその後治癒した人のうち、約5割の人の体内にコロナウイルスが残留していることが分かったと発表した。 

記事によると、韓国疾病管理本部が25人の患者について分析した結果、新型コロナウイルスに感染後にいずれも体内に抗体ができたが、このうち12人(48%)の人の痰から新型コロナウイルスの陽性反応が出たという。 

韓国中央防疫対策本部の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)本部長は22日の会見で、「防疫部門では、患者の体内に抗体ができてもウイルスを完全になくすことはできず、ウイルスが体内に残留する時間はそれぞれ異なっているのではないかと見ている」と明らかにした。 

記事によると、検査で陽性を示した12人について再度PCR検査を行ったところ、結果は全員が陰性だったといい、鄭本部長はさらに研究を進めるとしている。【4月23日 レコードチャイナ】
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これ以上の話は、素人のコロナ談義の範囲を超えますので、そちら方面に詳しい方にお任せします。

【アメリカ 2月段階でのインフルエンザ猛威の中には新型コロナ犠牲者も】
もう1件、今日目に付いたコロナ関連ニュース。

****米国の新型肺炎、インフルと誤診されていた可能性―米華字メディア****
2020年4月23日、米華字メディア・多維新聞は、米国で新型コロナウイルスによる最初の死者が発生したとされる時間が大幅に前倒しされたことで、流行初期に新型ウイルス肺炎がインフルエンザと誤診されていた可能性をめぐる議論が起きていると報じた。 

記事は、米紙サンフランシスコ・クロニクルの22日付報道として、カリフォルニア州サンタクララで21日に2〜3月に自宅で死亡した市民3人を解剖した結果が発表され、生前に新型コロナウイルスに感染していたことが判明したと紹介。

これにより、2月29日とされていた米国初の新型コロナウイルスによる死者の発生時期は同6日に前倒しされることになり、死者である女性は1月初めにすでに感染していた可能性が高いとみられると伝えた。 

そして、現地衛生当局の責任者が「詳細は調査中だが、解剖した3人は生前に地域コミュニティーで感染していたようで、具体的な感染源を特定することはできない。3人は死亡前に国外に出ておらず、他の感染者との接触もなかった。これは、われわれがウイルスを認知するよりもさらに早い時期に、われわれのコミュニティーにウイルスが伝染し始めていた可能性が高いことを示す」としたほか、3人の例は氷山の一角である可能性も高いとの考えを示したことを紹介している。 

記事は、3人がいずれもインフルエンザのピーク期に死亡しており、同様にインフルエンザに似た症状を呈して死亡した人の調査は行われてこなかったとした。

そして、多くの公衆衛生専門家が「早い時期に新型ウイルスで死亡した多くの人がインフルエンザで亡くなったと認識されてきた」と推測していることを伝えた。【4月25日 レコードチャイナ】
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この記事で思い出したのは、2月初期のアメリカにおけるインフルエンザ流行の記事。
当時、インフルエンザの大流行で、今期アメリカだけで2200万人が罹患し、1万2千人以上が亡くなったとされていましたが、上記記事を加味すると、この中には新型コロナの患者も含まれていた・・・ということも考えられます。

****米国でインフルエンザ猛威 死者1万2000人****
中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスが猛威を振るう中、米国ではインフルエンザが流行している。米疫病対策センター(CDC)は7日、最新の推計値を発表。2019〜20年のシーズンで患者数は2200万人に上ったとし、さらに拡大する恐れが指摘されている。
 
CDCの推計値では、1日までの1週間で患者数は300万人増加し、昨年10月以降の累計で2200万人となった。インフルエンザのために21万人が入院し、死者数は1万2千人に達したとしている。今年は子供の症状が深刻化するケースが多く、すでに小児の死者数は78人となった。
 
米国ではインフルエンザが原因で毎年少なくとも1万2千人以上が死亡。とりわけ感染が深刻だった17〜18年のシーズンには患者数は4500万人に上り、6万1千人が死亡した。

インフルエンザ感染は例年10月ごろに始まり、5月ごろまで続く。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、19〜20年は過去10年で最悪規模になる可能性があると予測している。【2月8日 産経】
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この当時は“一方、米国の新型ウイルス感染者は十数人で、中国渡航歴がある人が中心だ。米疾病対策センター(CDC)所長は「(新型コロナの)一般の米国民の感染リスクは低い」とした。”【2月8日 共同】という認識でした。「米国民にとって今、真の脅威はインフルエンザだ。」とも。

大外れ。その後の新型コロナ感染拡大は周知のとおり。

上記インフルエンザ死亡者1万2千人のなかに新型コロナがどれほど含まれていたかは、いまとなってはわかりません。

アメリカでは現在新型コロナで世界最多の5万人が亡くなったとされていますが、17〜18年のシーズンにはインフルエンザ患者数は4500万人に上り、6万1千人が死亡したことを考えると、新型コロナの犠牲者もそれほど突出した数字ではありません。

治療薬・ワクチン・治療体制などの準備ができていない段階での、とりわけ、人々が病を受容する心の準備ができていない段階での、“訳のわからない”病気の拡大がパニック的な騒ぎを起こしているようにも見えます。

日本を含め、先進国の人々にとってエボラ出血熱のような“訳のわからない”感染症は、アフリカなど未開の地の出来事という認識があるなかで、自分たちにも同様な災いが襲いかかったことにうろたえているようにも。

【日本 新型コロナ騒ぎで、いつになく早期に終息したインフルエンザ】
多分アメリカの状況も同じでしょうが、日本では新型コロナの“おかげ”で、インフルエンザの方はいつになく早い段階で終息しました。

****インフル流行は早くも終息、コロナ対策徹底の効果か ****
厚生労働省は、今季のインフルエンザの流行が終息したとして、週に1度行ってきた患者の発生状況の公表を、10日で終了した。例年より1~2か月早く、同省は「新型コロナウイルスへの対応で多くの人が感染防止対策を徹底した効果ではないか」としている。
 
発表によると、3月30日~4月5日に、全国約5000か所の定点医療機関から報告された患者数は、1医療機関あたり0・15人。流行の目安となる1人を3週連続で下回り、今季の流行は終息したと判断した。
 
今季の流行のピークは昨年12月23~29日で、1医療機関あたりの患者数は23・24人と、前季ピーク時(57・09人)を大きく下回った。入院患者は計1万2955人で、前季(計2万607人)の63%程度だった。【4月18日 読売】
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インフルエンザで亡くなった方も随分少なかったのでは。
新型コロナの犠牲者345人と併せても、現段階での感染症犠牲者は例年より少ないかも・・・・なんて言うと、不謹慎と怒られますので言いません。

ただ、脅威の実態は正しく把握しておく必要があります。

なお、来期にインフルエンザと新型コロナが重複して流行すると悲惨な状況になりかねないとの懸念もあります。
(もっとも、今期の日本の事例を見ると、感染予防意識の高まりによって全体としての犠牲者はそんなには増えない可能性も)

 

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