(【12月4日 YouTube日テレNEWS】 兵士の銃に掴みかかる女性)
韓国・尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が突然に「非常戒厳」を宣言したものの、6時間でこれを解除せざるを得ないことになった一連の動き、背景については、あまたの記事がありますので、そちらに任せます。
個人的な印象を少し書くと、革新勢力と保守派の分断が続き、相手側の執拗な攻勢に対し、ついに「非常戒厳」を宣言して一切の活動を停止に追い込もうとした・・・この韓国で起きた出来事が、同じような分断社会となっているアメリカで起きると怖いな・・・と感じた次第。
今回の韓国の動きを伝えるニュースで一番興味深かったのは、国会に配置された自動小銃をもって完全武装した兵士に対し、激しく抗議する女性が兵士の銃の銃身に掴みかかる動きに対し、兵士は後ずさって振りほどく・・・という場面。
これでは「非常戒厳」は実現しないでしょう。発砲しろとは言いませんが(おそらく今回配備された兵士は絶対に発砲しないように命じられているでしょう)、抗議の女性を押し返すぐらいの威圧感がないと・・・もし、やるのであれば。
これが銃社会アメリカ、不審な動きがあればすぐに射殺すべし、そうしないと自分がやられるというアメリカなら、全く違った話になるでしょう。
(韓国ドラマを観ていて思ったのですが、韓国では、日本同様に警官ですら発砲には規制があり、発砲した警官はいろいろ書類を書かないといけないようです。不確かですが、ドラマの会話では、そんな感じでした)
各州には州知事の指揮下にある州兵が存在しますが、分断された各知事がどのような判断をするのか。
分断した国民も、多くが、特に銃規制に反対する保守派の側は、銃を保有しています。直ちに武装自警団みたいな民兵組織がつくられるでしょう。
そうした韓国とアメリカの違いもあって、いったん「非常戒厳」に打って出たアメリカにあっては「内戦」も現実のものとなるかも。決して6時間でおわる茶番劇ではすまないでしょう。
そんなこんなの思いから「これが分断社会となっているトランプ政権下のアメリカで起きたらこわいな・・・でも、起きないとは言いきれいよね・・・」って感じました。
(なお、韓国も民主化以前、例えば朴(お父さんの方)政権の頃は、国内も、対北朝鮮もピリピリした緊張社会で、今回のような動きがあれば決して茶番では済まない社会でした)
ついでにトランプ政権下のアメリカに関して、もうひとつ怖いな・・・と感じたのはトランプ氏とカナダ・トルドー首相の会談。トランプ氏は不法移民の流入などへの対抗措置としてカナダからの輸入品に25%の関税を課すと宣言しています。
****トランプ氏「カナダは米国の51番目の州になるべきだ」 トルドー首相に会談で揺さぶり****
米FOXニュース(電子版)は2日、トランプ次期米大統領が11月29日に会談したカナダのトルドー首相に対し、米国の移民問題や貿易赤字にカナダが対応できないなら米国の新たな州になるべきだと述べたと報じた。
発言は同席者に冗談として受け止められたものの、カナダに揺さぶりをかけているのは明らかだ。トランプ氏は3日、自身の交流サイトにカナダ国旗が掲げられた崖に自身が立つイラストを掲載し「Oh Canada(オーカナダ)!」と書き込み、カナダを巡る世論を喚起した。
トランプ氏は米南部フロリダ州の私邸にトルドー氏を招き、次期政権の閣僚候補らと約3時間にわたる夕食会形式の会談に臨んだ。
トランプ氏は歓迎姿勢を示す一方で、大量の薬物や不法移民がカナダから流入していると指摘。国境問題や貿易赤字を解決できなければ、来年1月の就任初日にカナダからの輸入品に25%の関税を課すと述べた。
トルドー氏は、関税によってカナダ経済が完全に破綻すると再考を求めた。
これにトランプ氏は、米国から巨額の利益をむしり取らなければ生き残れないのかと反論。カナダが「米国の51番目の州」になるべきだと畳み掛けた。
苦笑いのトルドー氏に対し、新しい州の知事よりも「首相」という肩書の方がよいと持ち上げ、対応を促した。カナダ側の同席者はトランプ氏の発言について「冗談」と話している。
ただ、トランプ氏は日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収の阻止や中東問題などで強硬姿勢を示していて、カナダにも圧力を強めていくとみられる。【12月4日 産経】
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もちろん今は「冗談」でしょう。
ただ、いくら冗談にしても、一国の首相に対し、自国の新たな州になれなんて普通は言わないですけどね。
トランプ氏の「普通」ではない一面でしょう。
「取引」(ディール)とは言っていますが、弱い立場の相手は容赦なく力でねじふせるという交渉スタイルです。
でもって、今は「(悪い)冗談」ですが、前述の分断社会の末に「非常戒厳」を宣言し、反対派を力で一掃する・・・・という場面の関連で、もしそういう事態になれば外交面では、カナダようなアメリカに依存する国には本当に「51番目の州」になるように力の行使がなされるかも。
「(悪い)冗談」を楽しむトランプ氏の頭の片隅には、そんな将来の展開もあるのかも。
今回は、ミャンマーの話を書く予定でしたが、前置きの話が長くなってしまったので、今回はここまで。ミャンマーの話はまた明日にでも。
最近のSNS社会の基準からすれば、毎回異常に長い記事を書いていますので、たまには印象・感想だけの短い記事で。