(2024年10月10日、キシナウにて欧州委員会(EC)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長(左)とモルドバのマイア・サンドゥ大統領)
【モルドバの今後の方向を決める大統領選挙および国民投票】
ロシアとEU・欧米の間で揺れる旧ソ連の国のひとつがモルドバですが、そのモルドバの今後の方向をきめる大統領選挙およびEU加盟の是非を問う国民投票が20日に行われます。
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【ロシアの選挙介入を警戒するモルドバ】
“ロシアの周辺に位置する他の国々”のひとつがやはり旧ソ連のモルドバですが、モルドバもロシアと欧米の間で揺れています。
****ロシア系勢力がモルドバ大統領選とEU投票で13万人買収=国家警察****
モルドバ国家警察は3日、大統領選と欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票を20日に控え、ロシア系勢力が13万人以上を買収し、サンドゥ政権の親EU政策を妨害する「前例のない直接攻撃」を仕掛けていると発表した。
国家警察トップのビオレル・チェルナウタヌ氏は記者団に捜査状況を説明し、ロシアが管理するネットワークを経由し、「選挙プロセスの混乱を狙った資金提供と汚職がまん延している」と述べた。9月だけで約1500万ドルがロシアのプロムスヴャジバンクに開設された口座に送金されたと明らかにした。
サンドゥ大統領は2期目を目指している。ロシアが政権転覆工作を繰り返していると長く非難してきた。ロシア政府はこれを否定している。
今回の大統領選では立候補者が過去最多の11人と乱立しているものの、世論調査ではサンドゥ氏が圧倒的なリードを保っている。【10月4日 ロイター】
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モルドバはロシアのウクライナ侵攻後の2022年6月にEUの加盟候補国となりましたが、ソ連時代の名残で国民の3分の1が親ロシアとも言われ、国内に抱える親ロシアの未承認国家「沿ドニエストル」にはロシア軍が駐留しています。
アメリカも、ロシアがウクライナ周辺などの諸外国で、親ロシア候補への間接的な資金提供やネット上の世論操作を通じ、選挙に介入しようとしてきたと分析しており、民主主義を弱体化させることを警戒しています。
サンドゥ大統領が危機感を深める背景には、強まるロシアの揺さぶりがあります。
ウクライナ侵攻後、ロシアはモルドバへの天然ガスの供給を大幅に削減。ガス料金は6倍、電気料金は3倍に上昇し、世論調査では、半数がサンドゥ政権で経済が悪化したと回答しています。
プロパガンダ対策でロシア語のニュース報道などを禁止した政権に対し、「強権主義」との批判も出ています。
サンドゥ大統領の支持率は30%台で圧倒的ですが、1回目の投票で過半数を獲得して当選を決めないと、決選投票で野党が連合すれば負ける可能性もあります。
また、国民の多くはEU加盟に賛成とみられていますが、政権への不満が高まれば、投票率が下がり国民投票が成立しない恐れもあります。
【10月4日ブログから再録】
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投票日を明日に控えた今も状況は変わっていません。
基本的には親EU路線のサンドゥ氏が優勢ですが、“ソ連時代の名残で国民の3分の1が親ロシア”という状況、ロシア語を話す国民が少なくないなかで、ロシア語のニュースや公的な場面での使用が禁止・制限されているということへの不満、ロシアと敵対することでロシアの圧力を受けてガスなどの物価が高騰していること・・・といった状況から、必ずしも全国民が親EU・欧米という訳でもありません。
そしてロシアの介入も。
*****モルドバ、親欧米路線問う選挙 投票まで1週間、ロシアの介入も****
ウクライナに隣接する旧ソ連構成国モルドバで20日、欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票と大統領選が実施される。歴史的にロシアの影響を色濃く受けるモルドバが、EU加盟に向けた親欧米路線を決定付けられるかどうかが焦点となる。
世論調査では加盟支持が多数派で、親欧米の現職サンドゥ大統領が優勢。加盟阻止を狙うロシア側は、大規模な買収を行い選挙介入を図っているもようだ。
モルドバと加盟交渉を開始したEUはフォンデアライエン欧州委員長が10日に首都キシナウを訪れサンドゥ氏と会談。記者会見で「モルドバの居場所はEUにある」と連帯を示した。
サンドゥ氏は2020年の就任以降、親欧米路線を維持している。22年のロシアによるウクライナ侵攻後には多数の避難民がモルドバに滞在し、サンドゥ氏はプーチン政権批判を強めた。
大統領選には11人が乱立し、得票が誰も過半数に届かなければ、決選投票となる。世論調査ではサンドゥ氏が36%の支持率で独走しており、11月3日の決選投票にもつれ込むかは微妙な情勢だ。【10月13日 共同】
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【ロシアの選挙介入・情報工作】
ロシアの介入については、以下のようにも。
****モルドバ当局、ロシアで争乱訓練察知 大統領選など妨害目的か****
モルドバの警察当局は17日、ロシアでモルドバ人数百人に暴動や騒乱の訓練を受けさせる計画を察知したと発表した。
大統領選と欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票を20日に控え、ロシアによる介入疑惑が相次ぎ浮上している。
警察は今月、ロシアが支援する犯罪集団が多数の有権者に賄賂を贈ったり、政府庁舎の占拠計画を進めたりするなど選挙妨害を企てていたと明らかにした。
ロシアは干渉を否定し、ウクライナ侵攻以後ロシアの勢力圏離脱の動きを加速させているモルドバ政権が「ロシア嫌い」をあおっていると非難した。
警察は記者会見で、亡命中の親ロ派実業家イラン・ショル氏と関係のある集団が騒乱を起こすため訓練を企画したとみていると説明。検察は「汚職対策担当が現在、犯罪組織の利益につながる大規模な騒乱準備に関連する複数の事件を捜査している」と述べた。【10月18日 ロイター】
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****ロシア系勢力がモルドバ大統領選とEU投票で13万人買収=国家警察****
****ロシア系勢力がモルドバ大統領選とEU投票で13万人買収=国家警察****
モルドバ国家警察は3日、大統領選と欧州連合(EU)加盟の是非を問う国民投票を20日に控え、ロシア系勢力が13万人以上を買収し、サンドゥ政権の親EU政策を妨害する「前例のない直接攻撃」を仕掛けていると発表した。
国家警察トップのビオレル・チェルナウタヌ氏は記者団に捜査状況を説明し、ロシアが管理するネットワークを経由し、「選挙プロセスの混乱を狙った資金提供と汚職がまん延している」と述べた。
9月だけで約1500万ドルがロシアのプロムスヴャジバンクに開設された口座に送金されたと明らかにした。
サンドゥ大統領は2期目を目指している。ロシアが政権転覆工作を繰り返していると長く非難してきた。ロシア政府はこれを否定している。
今回の大統領選では立候補者が過去最多の11人と乱立しているものの、世論調査ではサンドゥ氏が圧倒的なリードを保っている。【10月4日 ロイター】
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【事前の支持率調査では親欧米派のサンドゥ現大統領が大きくリード。国民の大半もEU加盟を希望】
ロシアの情報工作、選挙介入がどこまで効果を発揮するのか・・・・最初にも述べたように、基本的には親欧米路線のサンドゥ大統領の再選、EU加盟支持の方向にあります。
****モルドバ大統領選まで1週間 親欧米路線が継続の見通し 露の介入が不安要素****
ウクライナに接する東欧の旧ソ連構成国、モルドバで20日、大統領選(任期4年)が行われる。同じ日には欧州連合(EU)加盟を国家目標として憲法に明記することの是非を問う国民投票も実施される。
モルドバでは親欧米派と親ロシア派の政治勢力による政権交代が相次いできたが、事前の支持率調査では親欧米派のサンドゥ現大統領が大きくリード。国民の大半もEU加盟を望んでおり、選挙後も親欧米路線が続く公算が大きい。
親欧米派の現職がリード、EU加盟巡る国民投票も
「モルドバの未来は欧州にある。国が欧州に加わるために私は2期目を目指す」。選挙戦でサンドゥ氏はこう述べ、自身への投票を訴えてきた。
米ハーバード大大学院で公共政策を学び、モルドバ首相などを務めたサンドゥ氏は2020年の前回大統領選で親露派のドドン大統領(当時)に勝利。
エネルギー分野などでの対露依存からの脱却を図りつつ、欧州との統合政策を進めてきた。サンドゥ氏はロシアによるウクライナ侵略も強く非難。22年、モルドバの「EU加盟候補国」の地位獲得を実現させた。
国民の多くがサンドゥ氏の路線を支持しているもようだ。大統領選にはサンドゥ氏を含む計11人が候補者登録されているが、モルドバのシンクタンクが今月発表した世論調査によると、サンドゥ氏の支持率は36・1%でトップ。親露派政党の支援を受ける元モルドバ検事総長で、支持率10・1%で2位となったストイアノグロ氏に大差を付けた。
政府庁舎の占拠や大規模買収を計画か
EU加盟の是非を巡る世論調査でも、「賛成」(63・2%)が「反対」(32・4%)を上回っている。順当に行けば、サンドゥ氏の再選とEU加盟目標の憲法明記が支持される可能性が高い。
不安要素はロシアと親露派勢力の動きだ。サンドゥ氏によると、ロシアと親露派はこれまでも政権転覆を狙い、選挙干渉や反政権デモの扇動を行ってきたとされる。
モルドバ警察当局は今月、ロシアに支援された「犯罪集団」が政府庁舎の占拠を含む選挙妨害を計画していたと発表。サンドゥ氏と国民投票に反対票を投じさせるため、ロシアと親露派が1500万ドル(約22億3千億円)を投じ、13万人以上の有権者を買収しようとしたとも発表した。【10月13日 産経】
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ロシアの選挙介入・情報工作で動かせる部分はそんなに大きくはないと思いますが、親EU・欧米路線で取り残さる“ソ連時代の名残で国民の3分の1が親ロシア”という人々の不満・不安がどの程度の数字になるのかといったあたりが注目されます。
この記事が読まれる頃には一定の結果が出ていると思いますが。
【親EU路線のサンドゥ大統領を強力に後押しするEU】
EUは親EU路線のサンドゥ大統領を強力に後押ししいています。
****モルドバが大統領選出の準備、EUは直ちに1,8億ユーロを支出****
モルドバの将来の方向性を決定する2つの重要な選挙が間もなく行われるとき、欧州委員会(EC)のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は自らモルドバ国民に投票を呼び掛け、同時に1,8億ユーロ(1,97億3万ドル)の寄付を宣言した。(中略)
EUへの加盟を望むモルドバの願望への支持を示すため、EUの執行機関長官は10月10日にキシナウを訪問した。
サンドゥ氏との共同記者会見で、フォンデアライエン氏はモルドバ人に対し、「自由で情報に基づいた選択」を表明するために投票するよう奨励した。(中略)
「モルドバ国民は重要な節目に直面している…私はモルドバ国民が投票を活用し、自由な選択を表明することを奨励する」とフォンデアライエン氏は記者団に対し、国民投票について言及した。
モルドバは2022年6月にEU候補の地位を獲得し、今年初めにEUとの加盟交渉開始にゴーサインを与えられた。
フォンデアライエン氏は、「モルドバの立場は欧州連合内にある」とし、欧州連合への加盟は「今後10年間で国の経済を倍増させる」ことに貢献する可能性があると述べた。
EU長官によると、1,8億ユーロの資金調達パッケージは、バルティ市とカフル市での学校の修復や2つの新しい病院の建設、道路の建設などの「経済成長と公共サービスを生み出す分野」への投資に使用されるという。
フォンデアライエン氏は、モルドバ大統領の国の「欧州への道」に対するコミットメントとモルドバがEU加盟に向けて成し遂げてきた進歩についてサンドゥ氏を称賛した。
サンドゥ氏は、EUの金融支援策は「モルドバの発展可能性に対する自信の象徴」であると述べた。サンドゥ氏は、モルドバの輸出の65%がEU向けであり、「これは我が国の戦略的利益がどこにあるかを示している」と述べた。
ロシアとウクライナの紛争を強く非難するサンドゥ大統領は、モルドバのEU加盟推進を主導しており、2030年までにこの目標を達成したいと考えている。
調査によると、モルドバ大統領選挙ではサンドゥ氏が他の10人の候補者をリードしている。調査では、モルドバ人の大多数がEUへの加盟を支持していることも示されている。【10月13日 VIETNAM.VN】
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ロシアがEUと同じような資金提供を表明すれば、“ロシアの選挙介入”と言われそうですが・・・