(6月6日未明、金正恩政権の体制批判ビラを北朝鮮に向けて飛ばす「自由北韓運動連合」のメンバーら【6月6日 東京】)
【緊迫する南北関係】
韓国で北朝鮮に宥和的な文在寅政権から、北朝鮮に強硬な保守・尹錫悦政権に変わって、南北関係はゴミをぶら下げた風船に象徴されるような敵対的な緊張状態にあることは周知のところです。
北朝鮮は憲法上で韓国を統一の対象ではなく「第1の敵対国」と位置付けるとの金正恩総書記の指示もありました。
****北朝鮮 憲法改正議論へ 韓国を「第1の敵対国」と明記の方針****
北朝鮮は来月(10月)7日に最高人民会議を開催し、憲法の改正について議論すると発表しました。韓国を「第1の敵対国」と憲法に明記する方針について話し合うとみられます。
16日付けの北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、各地の代表を首都ピョンヤンに招集して、来月7日に最高人民会議を開催することが15日決定されたと伝えました。
このなかでは憲法の改正や外国との貿易などに関する法律について議論するとしています。
最高人民会議は国の予算や法律の改正、国家機関の人事などを決定するため、年に1、2回開かれていて、ことし1月以来の開催となります。
前回の会議で演説したキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、韓国を「第1の敵対国」と明記するよう憲法の改正を指示し、「平和統一」などの表現を削除すべきだとしていました。
北朝鮮はその後、国歌の歌詞から、朝鮮半島全体を指す「三千里」という単語を削除するなど、韓国を「敵対国」とみなす措置をとっていて、来月の最高人民会議では、キム総書記の方針に沿って憲法の改正について議論されるとみられます。【9月16日 NHK】
このなかでは憲法の改正や外国との貿易などに関する法律について議論するとしています。
最高人民会議は国の予算や法律の改正、国家機関の人事などを決定するため、年に1、2回開かれていて、ことし1月以来の開催となります。
前回の会議で演説したキム・ジョンウン(金正恩)総書記は、韓国を「第1の敵対国」と明記するよう憲法の改正を指示し、「平和統一」などの表現を削除すべきだとしていました。
北朝鮮はその後、国歌の歌詞から、朝鮮半島全体を指す「三千里」という単語を削除するなど、韓国を「敵対国」とみなす措置をとっていて、来月の最高人民会議では、キム総書記の方針に沿って憲法の改正について議論されるとみられます。【9月16日 NHK】
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最高人民会議は今月7日、8日に開催されましたが、韓国を「敵対国」と明記する改憲については、今のところ報道はないようです。
秘密主義の北朝鮮のことですので、敢えて公表していないのか、南北関係や国際情勢などを勘案して今回は改憲を見送ったのか・・・そのあたりはわかりません。
“朝鮮中央通信は9日、国会に当たる最高人民会議が7〜8日に平壌で開かれたとも報じたが、2国家論に基づく憲法改正への言及はなかった。金氏も出席しなかった。金氏は1月に韓国を敵国とみなし南北政策を放棄する方針を憲法に反映させるよう、領土に関する条項の追加や「平和統一」といった表現の削除を指示していた。改憲は先送りされた可能性がある。【10月9日 産経】
いずれにしても、極めて緊張した状況にあることは変わりありません。(もっとも、私などの年代は南北関係については朴正熙・韓国大統領時代のピリピリした関係のイメージがありますので、「緊張状態」というのは普通のことのようにも思えますが)
****南も北も互いに首脳を名指し批判、しかも呼び捨て。一触即発の朝鮮半島****
(中略)
韓国・北朝鮮の南北でそれぞれの首脳を名指しで批判し、より緊迫な状況になった。
まずは、北朝鮮からである。2024年10月4日の朝鮮中央通信は、金正恩朝鮮労働党総書記が、北朝鮮は核強国の絶対的力を確保したとし、韓米が北朝鮮の主権を侵害しようとするなら「核兵器を含むあらゆる攻撃力を動員する」と威嚇した。
また、韓国の「国軍の日」(10月1日)記念式典の演説で北朝鮮の核に対し強い警告を発した尹錫悦大統領を「尹錫悦傀儡(かいらい)」と呼び、「核を保有している国の前で軍事力による圧倒的な対応に言及したが、何かまともでない人ではないかという疑いをかけられざるを得ないありさま」と強く非難した。
金正恩氏が尹大統領を名指しで非難したのは2022年7月の「戦勝節」(朝鮮戦争休戦協定の締結日)の演説以来約2年ぶりのことである。当時の演説では、尹大統領を呼び捨てにして「就任前後のさまざまな機会に吐いた妄言と醜態を正確に記憶している」と罵倒していた。
今回のこの金正恩国務委員長の発言は、同月2日に西部地区にある朝鮮人民軍の特殊作戦部隊訓練基地を訪問した際にされたものである。
国軍の日の演説については、傀儡が抱えている安全保障への不安と焦りを表したものとし、「極度の愚鈍さと無謀さに陥った敵が、われわれの度重なる警告を無視して韓米同盟に対する過度な信心にあふれ、ひいては共和国の主権を侵害する武力使用を企めば、容赦なく核兵器を含むあらゆる攻撃力を使用する」と断言した。これまでにない強い警告メッセージである。
一方、この発言を受けて韓国軍合同参謀本部は同日の4日深夜、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が尹錫悦大統領を名指し非難したことに反発し、記者団に「われわれの戦略的、軍事的目標は北の同胞でなく、ただ金正恩一人に全てが合わされている」とするコメントを表明した。
軍事作戦を遂行する合同参謀本部が北朝鮮の最高指導者を呼び捨てにし、攻撃目標だと明言するのは異例のことである。
北朝鮮は米韓が金氏の排除を狙う「斬首作戦」を準備していると神経をとがらせてきた経緯があり、南北間の緊張が一層高まってきている。一触即発な状況である。【10月8日 宮塚寿美子氏 MAG2NEWS】
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北朝鮮は、韓国とつながる道路と鉄道を遮断し、防御用の構造物を建設して「要塞)化する」と表明しています。
****北朝鮮、韓国との軍事境界線付近を「要塞化」 道路・鉄道を遮断****
北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は9日、韓国とつながる道路と鉄道を同日から遮断し、防御用の構造物を建設して「要塞(ようさい)化する」と表明した。朝鮮中央通信が伝えた。
北朝鮮は長年にわたる「朝鮮半島統一」の方針を完全に放棄し、北朝鮮と韓国の「2国家」論を主張している。今回の発表でも韓国との「国境を永久に遮断する」としており、壁を建設する動きとみられる。
総参謀部は「わが共和国の主権行使の領域と大韓民国の領土を徹底的に分離させるための実質的な軍事的措置を取る」と表明。「第一の敵対国、不変の主敵である大韓民国とつながる南側国境を永久に遮断、封鎖するのは、戦争抑止と(北朝鮮の)安全を守るための自衛的措置だ」と正当化した。「偶発的衝突を避けるため」として9日、米軍に要塞化工事について通知したという。
韓国と北朝鮮を結ぶ鉄道路線や道路は現在、寸断されている。韓国軍合同参謀本部は6月、北朝鮮側でレールの撤去や地雷の埋設などの動きがあると指摘。北朝鮮と韓国の軍事境界線から北に約2キロの4カ所では、防壁とみられるコンクリート製の構造物を確認したと説明していた。【10月9日 毎日】
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【北朝鮮首都に独裁批判ビラが無人機で撒かれる 神経を尖らせる北朝鮮】
こうした緊迫した状況下で、首都平壌ピョンヤン上空に無人機が飛来し、北朝鮮の独裁体制を批判するビラがまかれたと北朝鮮側は主張し、激怒しています。
****北朝鮮首都に独裁批判ビラ、無人機でまかれる…金与正氏「必ず恐ろしい惨事が起きる」と報復示唆****
北朝鮮の首都平壌ピョンヤン上空に3、9、10日に飛来した無人機から北朝鮮の独裁体制を批判するビラがまかれたと北朝鮮が主張する事件を巡り、金与正(キムヨジョン)朝鮮労働党副部長は12日、「再び発見されたら必ず恐ろしい惨事が起きる」と韓国への報復を示唆する談話を出した。
誰が無人機を飛ばしたのか不明な中、南北の摩擦が深まっている。
北朝鮮外務省が無人機の飛来を非難した11日、韓国軍合同参謀本部関係者は「無人機を送ったことはない」としたが、その日のうちに「事実かどうか確認できない」と説明を変えた。
与正氏は12日の声明で韓国の民間団体が無人機を飛ばした可能性にも触れ「(韓国)軍が傍観したのならそれは故意的な黙認、共謀だ」と非難した。
韓国大統領府の申源湜シンウォンシク国家安保室長は13日に出演したKBSテレビの番組で「北朝鮮の話について事実をいちいち話す必要はない」と語った。
この対応ぶりを巡っては「北朝鮮の探りに応じない」(中央日報電子版)、「曖昧にすることで北朝鮮側に混乱をもたらす」(聯合ニュース)との見方がある。北朝鮮もゴミをぶら下げた風船を韓国に飛ばしており、非難する立場にないとの考えもある。
保守、尹錫悦ユンソンニョル政権が民間団体のビラまきを「表現の自由」として容認していることもあり、活動に参加する民間団体は多様化し、使用する機材も高度化している。
韓国の脱北者団体「自由北韓運動連合」や「北韓同胞直接支援運動」は、読売新聞や韓国メディアに対し、今回の無人機に関与していないと語ったが、尹政権が全ての活動を把握しているかどうかは不明だ。
金正恩 キムジョンウン 党総書記や与正氏が、ビラまきや韓国軍による軍事境界線での拡声機放送に神経をとがらせているのは間違いない。韓国に憧れを抱く若い世代の体制離反を招きかねないためだ。特に、権力中枢に近い幹部が集まる平壌が今後も狙われれば何らかの実力行使に出るシナリオも否定できない。【10月13日 読売】
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従来から韓国の脱北者団体は北朝鮮に向けて風船を使ったビラまきをしていますが、最高指導者・国内体制・韓国関する情報などに関して徹底した秘密主義を貫き、強権的な国内統治を行っている北朝鮮権力にすると、金一族に関する情報に関する情報などを含むこうしたビラは極めて厄介で神経を逆撫でするもので、これまでも神経を尖らせてきました。
逆に言えば、脱北者団体や北朝鮮に敵対しようする勢力にとっては、この紙爆弾は極めて有効な手段となります。
****北朝鮮向けビラ****
(中略)
ビラの内容は朝鮮戦争は北朝鮮の南侵だったことなどの真実や金一家の私生活など北朝鮮体制批判、韓国の発展した状況やいわゆるアラブの春で独裁政権が倒れたことなどを文・絵で暴露するものなどが多く、2008年4月からはアメリカドルや人民元や朝鮮民主主義人民共和国ウォン(5000ウォン紙幣)などの現金や、韓国ドラマやK-POPなどの音楽が収録されているUSBメモリやDVDなどを同封している。
団体によってはGPS・ラジオ・靴下・手袋・ボールペンといった生活必需品や、アスピリン・バンドエイドなどの医薬品、やマスクにラーメン、ストッキング、コンドーム、聖書、チョコパイ]を送ることもあるという。
風船を利用する場合、一般的にはタイマー付きのビラを入れた袋を飛ばして設定時間になると袋が破れて一気に放出する装置を使用している。
しかし脱北者などで構成される朝鮮改革解放委員会では幅広い地域にビラをまくため、2023年からコピー機の紙の排出装置と同様の装置を利用し、飛行しながら数分から数時間ごとに約20枚ずつ排出する装置を使用している。
別の団体では風船ではなく米、聖書、紙幣、USBメモリをペットボトル入れ北朝鮮に向けて流すこともある。脱北者団体「社団法人クンセム」によれば2024年に江華島から北朝鮮の黄海道へ向けて500個流したと主張した。
音声メッセージを発信する装置を飛ばしている団体もある。
また、将来的には風の流れで浮遊する従来型の風船に代わりGPSトラッカーや労働党を批判などができる小さな拡声器を搭載した「スマート」風船の開発が進められている。
これにより特定の地域向けにビラをまくことができるほか、飛行距離が数百キロに及び、試験飛行した際には中国まで飛ばすことに成功したと主張している。【ウィキペディア】
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今回の北朝鮮側の主張が正しければ、従来の「風船」が無人機に進化したことになり、そうなると、狙った都市・地域にビラを撒くことができるようになり、北朝鮮にとっては看過できない問題です。
韓国側から無人機を飛ばしたとすると、その無人機が首都平壌上空に到達できたというのは、北朝鮮の防空体制にとっても問題かも。
本当に無人機でのビラ撒きがあったのか? 誰が飛ばしたのか? ・・・そのあたりは分かりませんが、もし韓国側から飛ばしたものであれば、前述のような南北間の緊張状態を考えると、極めてハイリスクな行為でもあります。
なお、韓国にあっては、北朝鮮に対するビラ撒きは表現の自由と北朝鮮刺激の兼ね合いで問題となっており、文在寅政権法律で禁止されていましたが、昨年、最高裁は禁止法を違憲と判断しています。
****北朝鮮への宣伝ビラ散布禁止法は違憲、韓国憲法裁が判断****
韓国憲法裁判所は26日、北朝鮮への宣伝ビラ散布禁止は違憲とする判断を示し、同国との関係改善に前向きだった文在寅政権時の2020年に可決された法律を無効化した。
同法は言論の自由を侵害しているとして、保守派議員などから激しい批判を浴びていた。
7対2で下された今回の判断は、「南北関係発展法」のビラ散布禁止条項が言論の自由を過度に制限していると認めた。【2023年9月26日 ロイター】
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