孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

「国際女性デー」40周年 堀北真希さんの引退報道

2017-03-07 23:16:38 | 女性問題

【2月28日 GLITTY】

古典的女性差別以外にも、社会に根強い差別的対応も
世の中には随分とわかりやすい女性差別もまだ存在するようです。

****女性の報酬は男性よりも少なくすべき」、ポーランド極右議員が差別発言****
欧州議会でポーランドの極右議員が、女性は男性と比べて弱く知性も劣るため報酬を低くすべきだとする「性差別発言」をしたことを受けて同議会は3日、調査を開始した。
 
問題の発言をしたのはポーランドのヤヌシュ・コルビンミッケ議員(74)。同議員は以前にも、人種差別発言やナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をめぐる発言などで、欧州議会から処罰されたことがある。
 
コルビンミッケ議員は今月1日に欧州議会で「女性の報酬を男性よりも少なくするのは当然だ。なぜならば女性は弱く、小さく、知性が劣っているからだ。女性の報酬は少なくすべきだ」と述べた。
 
他の議員からの指摘を受け、アントニオ・タヤーニ議長は「性差別発言」について調査を開始したことを明らかにした。同議員に対し、罰金や議員活動の停止が科される可能性がある。
 
欧州議会は2日夜に発表した声明で「発言についてはすぐに複数の議員からタヤーニ議長へ指摘があった」と述べた上で、同議長はコルビンミッケ議員の発言を映した動画も見たと発表した。
 
コルビンミッケ議員はこれまでにも、ナチスの指導者アドルフ・ヒトラーは「ユダヤ人の虐殺に気付いていなかった」と主張したり、難民を「人間のクズ」と呼んだり、アフリカ系米国人に対して人種差別的な言葉を使ったりするなど物議を醸してきた。【3月6日 AFP】
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ここまで単純明快に差別を公言することはなくても、女性に一定の社会的役割を強制するようなことは普段に見られることかも。

****職場の女性の「ドレスコード」はハイヒールと化粧? 英報告書****
英国では性差別は違法とされているにもかかわらず、一部の職場では、ハイヒールと金髪と化粧といった「ドレスコード」が女性たちに課されている。英議会の調査報告書が25日、発表された。

女性が職場でどのような経験をしてきたかについて、議会の請願委員会 と女性・平等委員会が調査を行うきっかけとなったのは、昨年ロンドンのコンサルタント会社プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)に受付係として採用されたニコラ・ソープさんに対してとられた会社側のある行為が問題視された
 
ソープさんは、高さ5~10センチのハイヒールを履いて出社するよう会社側から求められたが、同様の規定が男性には課せられていないとしてこれを拒否したところ、帰宅を命じられ、日給も支払われなかったのだ。
 
この一件を機に、ソープさんは女性に対する職場の服装規定の改正を求めた。この運動には15万を超える署名が集まり、議会委員会の調査にもつながった。
 
発表された報告書には、「多数の女性たちが、職場での長期にわたるハイヒールの着用による痛みや長期的な悪影響について訴えていることが明らかになった。また、髪をブロンドに染めることや、露出度の高い服装の着用、さらには化粧直しを欠かさないよう職場から求められたと話す女性たちもいた」と記された。
 
英国の法律は企業に対し、服装規定を設けることを認めているが、同規定による女性差別は禁じている。【1月25日 AFP】
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ハイヒールが女性差別だというのなら、夏にもスーツとネクタイを着用しなきゃいけない服装規定は、男性への性差別なのか?という反論もあるかと思います。

“女性がヒールと化粧を求められることは、男性がシャツやネクタイの着用を求められるのとは違うと(問題の発端ともなったソープさんは)主張している。ハイヒールが健康を損なう可能性があることに加え、男性のシャツやネクタイとは異なり、ハイヒールは女性を性的な存在とするためのものだからというのがその理由だ。”【2月28日 Newsweek】

トランプ大統領のもとでの「国際女性デー」40周年
明日3月8日は「国際女性デー」ですが、1977年に国連がこの日を定めてから40周年にあたります。
国際女性デーの始まりは、1908年に、ニューヨークで女性たちが婦人参政権を求めるデモ活動を行ったのが起源といわれています。

アメリカでは女性蔑視的言動が目立つトランプ大統領のもとで40周年を迎えます。

****国際女性デー40周年、今年は女性の権利脅かす現状に行動呼び掛け****
1977年に国連(UN)が女性の権利のために「国際女性デー(International Women's Day)」を定めてから40年を迎える今年の3月8日は、男女平等社会を目指す闘いが今またさまざまな問題に直面していることを受け、女性に対する賞賛だけではなく行動への呼び掛けがテーマになると思われる。
 
ポーランドの政治家で「セーブ・ウィメン」委員会代表のバルバラ・ノバカ氏は、「3月8日はサフラジェット(20世紀初頭の婦人参政権活動家)をたたえたり、過去の成功を祝ったりするだけではなく、現状について思いを巡らすための日だ」と語る。
 
国際女性デーに先立ちAFPの取材に応じたノバカ氏は、「労働市場や社会、政治における女性の役割に関しては、取り組むべき課題がまだたくさんある」と主張する。
 
このところの社会情勢でフェミニストたちが懸念を抱いているのは、中絶の権利や賃金平等、ジェンダー(文化・社会的性差)に起因する暴力といった重要な問題だ。
 
1月下旬にドナルド・トランプ氏が米大統領に就任した後に行われた大規模な抗議デモ「女性の行進(Women's March)」でも、性差別主義者の男性たちの態度や考え方によって女性の権利が侵害されることへの懸念が表明された。
 
世界中の都市で行われたデモには女性200万人が参加。中でも米首都ワシントンでは、トランプ氏の政策や、選挙活動中に映像で明らかになった同氏の卑猥な女性蔑視発言に対する抗議が行われた。
 
女性の経済力に関して言えば、男女平等の同一賃金を求める長年の闘いにまだ終わりは見えない。
国際労働機関(ILO)によると、世界全体における女性の収入は男性よりも平均23%少なく、このペースで行けば、格差をなくすのには70年を要するという。

■「私たちは怒っている。でも無力ではない」
統計からは、女性に対する暴力についての悲惨な実態も浮かび上がる。
 
国連によると、全世界の女性の約35%は、身体的あるいは性的暴力の被害者となっている。女性や少女約2億人が女性器切除を受けており、7億人が18歳になる前に結婚している。
 
仏家族計画局で国際問題を担当するクリスティーヌ・モージュ氏は、「(中絶に反対する団体は)団結力が強く、ソーシャルメディアや政治的な影響力も大きい」と述べ、「2017年の今も、男性優位主義は大きな問題の一つだ」と指摘する一方で、「物事を前進させるのは難しいが、後退はさせないように努力している」と語った。
 
ノバカ氏をはじめとする女性の人権活動家らは、自分の権利のために立ち上がることによって女性たちにあるメッセージを示している。それは、「私たちは怒っている。でも、私たちは自分が無力ではないことを知っている」ということだ。【3月7日 AFP】
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アメリカでは、今年はトランプ大統領に対する反発から、フェミニストグループが女性全体に3月8日に女性は仕事も家事もしないというストライキを呼びかけているとか。【2月28日 GLITTYより】

【“一億総活躍社会”と堀北真希さんの引退報道
日本は女性の権利状態に関する国際調査では、女性の社会参加が遅れているということで、いつも低い数字がでます。

一方、安倍政権は“一億総活躍社会”を掲げ、少子高齢化で労働人口が減少することが明らかな状況では、女性の労働力を活用することが求められています。

そうしたなかで、最近の“芸能ネタ”で話題になったのが、女優の堀北真希さんの引退・専業主婦宣言。

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この度、これまでやってまいりました お仕事から離れることを決意致しました。
現在私は母になり、 愛する家族と幸せな日々を送っています。
このあたたかで、かけがえのない幸せを全力で守っていきたいと思っています。
夫とも話し合い、私の気持ちを尊重してくれました。これからも2人で力を合わせ、 愛情いっぱいの家庭を築いていきたいと思います。
いつも応援してくださったファンの皆様、お世話になりました関係者の皆様、 素晴らしい14年間を本当にありがとうございました。
2017年2月28日 堀北真希
http://www.sweetpower.jp/comment_horikita_170301.html
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どういう人生を選択するかは、当然に個人の自由ですから、その選択をとやかくいうことはありません。

ただ、このメッセージを聞いて、「なんだかんだ言いつつ、日本の女性はやっぱり専業主婦を理想としているのだろうか? 専業主婦を追い求めるなかでの男女平等というのは、現実問題としては難しいかも。」という素朴な疑問を感じたのも事実です。

堀北真希さん自身の選択はともかく、その話題を扱う芸能ニュースの雰囲気が“潔い決断で素晴らしい!”一辺倒なのには違和感も。

世の中には同じような違和感を感じた方もおられるようです。

****堀北真希さんの引退報道で感じた違和感 ****
(中略)
家事や育児のために芸能界を引退するという選択を彼女がしたことは、彼女の自由だし尊重されてしかるべきだと思います。

でも、少しモヤモヤするんですねー
なんでだろう?

マスコミがこぞって『潔い』と称賛していたことに違和感
どのチャンネルにしても、『売れっ子なのに未練なくスパッと引退して潔い』『莫大な収入を捨ててまで家庭に入ることにしたのはとても良い決断だ』と足並みそろえてもれなく絶賛。

誰も異論を唱える人はいません。

目先のお金なんて関係ない、ただただダンナと子どものために尽くして小さな幸せを手に入れるために芸能界を辞めるという決断をした、素晴らしい人なんだよっていう方向に話を持っていっているように見えてしまうのです。

本人の決断はそれでいいんですけど、勝手にカリスマ化しようとしているところに、モヤモヤを感じてしまうのです。

一億総活躍社会とか言ってる一方で・・・・
このご時世、女性も外に出て働け、子どもを産んでも会社を辞めずに頑張れ、って言われてきています。

女性も外に出て働くことが是であり、専業主婦にも働いてほしい、みたいなことを言っているのに、いざ芸能人のような知名度の高い人が仕事を辞めて家に入ることを選んだ時の報道の仕方が、『ダンナや子どものことを考えて一番良い選択をした』っていう風潮になるのに違和感を感じるのです。

あれだけ女性に働けって言ってたやん!
結局、家庭に入った方がいいと思ってるやん!
言ってること全然違うやん!!

完全にダブルスタンダードです。
表向きは女性が社会に出て活躍することを善しとしながらも、本当のところは家庭に入って家事・育児をしっかりしてほしいという願望の現れだ思います。

いろいろな生き方があっていい
結局、専業主婦だろうが働いていようが、その人個人の自由だと思います。

今は少子高齢化が進む中で、少しでも税収を上げたいがために働け働けと言われていますが、自己実現の手段は決して働いてお金を稼ぐことだけじゃないと思うし、日常生活を送る中、社会と関わっていく中で、自分が満足できる生き方を選択できることが大事なんじゃないかな。

社会の意見には裏と表がある。それにいちいち翻弄されてモヤモヤする自分がいる。

色々と考えさせられる一件でした。【「フツーの主婦 あれこれやってみる」http://micantan.hatenablog.jp/entry/women-way-to-live
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働く女性の3割が専業主婦を希望
専業主婦を選択するのは個人の自由ですが、それをもって「女性はやっぱり働きたくないんだ」「女性は家庭を守るのが一番、それが女性の幸せなんだ」といった古色蒼然とした価値観が引きずり出されるのは困ります。

働く女性の少なからぬ割合が専業主婦を希望しているのは事実ですが、それは“働きにくさ”の反映でもあり、また、価値観の多様化なども反映していると思われます。

****働く女性の想い、「本当は専業主婦になりたい」は3割強(2016年)****
今や1000万世帯を超えた共働き世帯だが、女性は就業以外に家事の多分に従事する場合が多く、必然的に個人に課せられる負担が多くなる。

他方、就業そのものでも男性と比べ女性は、就業技術には関係なく不利なポジションに置かれている事例が多々あるとの指摘もなされている。

今回はソニー生命保険が2016年3月17日に発表した【女性の活躍に関する調査2016】から、働く女性における就業そのものや世帯への想いに関して確認をしていくことにする。

「女性は働くのに不利」当事者の7割が実感
(中略)今調査対象母集団のうち有職者(未既婚を問わず。よって兼業主婦以外に独身者の就業者も含む)に対し、生活や仕事に関する問いを行い、その内容に対し「非常にそう思う」「ややそう思う」(以上肯定派)「どちらともいえない」(以上中庸・意見留保派)「あまりそう思わない」「全くそう思わない」(以上否定派)のいずれかの選択肢で回答してもらい、そのうち肯定派の値を累積した結果が次のグラフ。

↑ 生活や仕事に関する内容について、そう思うか思わないか(女性回答、有職者限定、思う派、2016年 濃いブルー「非常にそう思う」薄いブルー「ややそう思う」)

有職女性の7割近くが「女性が社会で働くには不利な点が多い」と実感している。これが自分の経験に依るものか、それとも周辺で見聞きしたものを起因としているかまでは問われていないが、多分に実体験によるものと考えた方がよさそうだ。

一方、「現在の生活に満足している」との回答も半数近くに達しており、不平不満に満ちあふれた日々を迎えているわけではないことが分かる(ちなみに否定派は25.0%)。

また、約7割が不利な点が多いとする状況下でも、約1/3の人は「今後(も)キャリアを積み、高みを目指したい」としている。さらに2割近くは管理職への機会があればチャレンジしたいとし、意気盛んであることがうかがえる。

不遇な環境下におかれていることを自覚しながらも、現状に満足し、さらにステップアップしたいとの意向も少なくない就業女性だが、同時に専業主婦になりたい人も3割に届いている。(中略)

なぜ専業主婦になりたいのか
就業女性のうち3割は専業主婦への転身を望んでいる。その理由を尋ねたのが次のグラフ。ほぼ同率で「仕事の人間関係」「専業主婦が向いているとの自覚」「プライベートの時間確保」が並んでおり、この3項目が就業女性における専業主婦への憧れの主要因であることが分かる。

↑ 働く女性が専業主婦になりたいと思う理由(複数回答、専業主婦願望がある有職女性、上位陣、2016年)

「仕事の人間関係」は専業主婦に限らず就業者に係わる調査では必ず上位陣に挙がる「就業が辛い」「辞めたい、転職したい」の理由の一つ。該当者本人だけの力では解決しえないケースも多く、今項目が最上位につくのも仕方がない感はある。

他方、家事や育児との兼ね合わせが難しいなどではなく、個人としての時間を持ちたいがために仕事を辞めたいとの意見も多い状況は、専業・兼業主婦に係わる問題が単純な構造では無いことを示唆している。

中には「専業主婦を体験したい」「仕事が難しそう」「専業主婦の友達かうらやましい」などの意見もあるが、一方で「家事に注力したい」「子育てに注力したい」のような家事と仕事の両立が難しい現状から、専業主婦を望む声も少なからず見受けられる。単純に時間が足りない以外に、就業を始めた時と比べ家事や育児への回答者が感じるウェイトが、より大きなものとなってきた場合もあるのだろう。(後略)【2016年3月28日 ガベージニュース】
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話はここからになりますが、このあたりの話に立ち入ると長くなりますので、また別機会に。

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