テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ミステリ、のはずが……?

2014-07-01 21:38:42 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ~!
 どォ~いィ~つゥ~がァ~…」
「がるる!ぐっるがるる!」(←訳:虎です!やっぱ来たね!)

 こんにちは、ネーさです。
 結局ドイツが決勝に行っちゃうの?と彼らの強さにビビリながら、
 本日も、前回記事に続いて“夏”らしい読書タイムを!
 こちらの御本で、さあ、鳥肌の世界へ~!

  



               ―― 暗い越流 ――



 著者は若竹七海(わかたけ・ななみ)さん、2014年3月に発行されました。
 ミステリです。
 短編ミステリ5作品で構成された、連作ミステリ集です。
 ミステリ、なんですけれど、これが……

 怖~いっ!!!

「ひィッ! まさかッ?!?」
「ぐぐぐぐるーがるるっ」(←訳:ほほほホラーですかっ)

 いえ、ミステリなんですってば。

 ただね、怖いんです。
 読後感が尋常じゃなく怖いんです。

 5作品、それぞれがそれぞれの持ち味で
 背筋ひ~んやり……な中、
 多層的な怖さを放っているのは、
 表題作品『暗い越流』ですかしら。

 日本推理作家協会賞〈短編部門〉を受賞した!という一事からも、
 そのクオリティの高さは明らかですね。
 
 主役は、或る死刑囚――

「ひいいィ~ッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:始まりから怖い!)

 いえ、或る死刑囚に宛てた手紙、が
 この作品の主役、というか、物語を動かすチカラ、なのです。

 世間からひどく憎まれている死刑囚に寄せられたのは、
 がんばってください、
 あなたには私がついてます、などと書かれた
 ファンレター、のように読めなくもない手紙。

 が、死刑囚の弁護を担当している弁護士さんは迷います。

 米国などではよくあるらしい、
 収監中の囚人への恋文……
 この手紙もそういった類のものなのでしょうか?

 それとも、嫌がらせか、何かの罠なのか?

「むうゥ、いやがらせェ、でスかッ?」
「ぐるるる!」(←訳:たぶん罠!)

 弁護士さんはリサーチャー(調査員)さんに
 事態の究明を託しました。

 手紙の送り主の真意は?
 なぜこんなファンレターを書いたのか?

 リサーチャーさんの調査は
 やがて、冷や汗も凍りつくような暗闇へ……

「うぎゃああッ!」
「がるる~!」(←訳:やめて~!)

 ミステリなのです。
 ミステリ、なのですが、夏につきものの怪談にも比肩する、
 この怖さ。

 表題作『暗い越流』の他にも
 『蠅男』、『幸せの家』、『狂酔』、『道楽者の金庫』、
 著者・若竹さんのセンスが光る、
 怖いけれど途中で読むのは止められない傑作揃いです。
 真夏の夜の読書タイムに、ぜひ~!

「うぐぐッ、ねむれなくなるゥ~!」
「ぐるるがるる!」(←訳:昼間に読もう!)



 
コメント
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