テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

仙術の、翼にのって。

2014-07-04 21:35:08 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 えー、W杯開催中ではございますが……

 祝!
 2014ツール・ド・フランス開幕~!!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさのォ、びょーきィがァ、はじまッたでス~…」
「がるる!ぐるがるるる~…」(←訳:虎です!7月だからね~…)

 正確には、今日4日はチーム・プレゼンテーションが行われ、
 レースの幕が開くのは明日5日です♪
 出発地は、英国!
 最初にマイヨジョーヌを着るのは誰かしら?とワックワクしながら、
 本日の読書タイムも同じくらいワクワクの
 素晴らしい御本を、さあ、どうぞ~!

  



              ―― 机の上の仙人 ――



 著者は佐藤さとる さん、2014年6月に発行されました。
 『机上庵志異(きじょうあんしい)』と副題が付されています。

「ころぼッくるゥだァ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:小さな国だ!)

 ええ、そうね、
 活字マニアさんならば、著者・佐藤さんのお名前にピンときましたでしょ。
 『だれも知らない小さな国』から始まる《コロボックル》シリーズ!

 でも、もちらん、佐藤さんの作品は《コロボックル》だけじゃありません。
 ここにまた、なんとも楽しい物語が誕生しました♪
 御本の主役さんが、さらにまたスゴくって、
 仙人さん、なんですー!

「ふァ?? せんにんッさんッ??」
「がるるぐるるる?」(←訳:孫悟空みたいな?)

 さて、この御本に登場するのは、
 どういう仙人さんなのかというと――

 童話作家をしている“私”は、
 まだお正月気分の残る或る日、
 仕事部屋の模様がえを思い立ちます。

 机の向きを変えて、
 本棚の位置も変えて、
 資料と本の整理にまで手をつけちゃったものですから、
 いやはや……

「おおごとォ、でス!」
「ぐるる!」(←訳:本の海!)

 それでも、大仕事をどうにかやり終え、
 椅子に腰を下ろしてぼんやりしている“私”の目前、
 片付けたばかりの机の上に。

 現れたのは、小さな家。

 そして、小さな家の戸が開いて、
 小さな人が出てきました。

 その小さな人は、

   机上庵方寸(きじょうあん・ほうすん)

 と名乗ります。
 身の丈、およそ二寸(約6センチ)。
 着流しに袖無し羽織を重ね、
 髪は総髪髷(そうはつまげ)に結い、
 ゆったりした物腰。

「ちいさいィけれどォ~」
「がるるるるぐる!」(←訳:仙人さんは博識!)

 机上庵仙人さんは、お喋り好きなようです。
 折にふれ、“私”に語って聞かせるのは、
 昔むかしの、不思議な物語。

 小さな小さな犬の話。
 孤島で若者が習った琴。
 籠作りの仙人。
 カラスになった人間の話……。

「おもしろォいィ!」
「ぐるぐるがるる!」(←訳:ドキドキするよ!)

 仙人さんと“私”の語らいは、
 頁が進むにつれ、深みを増してゆきます。

 優しくやわらかく、それでいて平明な文章の、
 なんと美しいこと!
 岡本順さんによる表紙画と挿絵も、
 この優美な物語の魅力を一段と高めます。

「まるでェ、あらびあんないとッ?」
「がるるるるるー!」(←訳:止められないー!)

 全活字マニアさんに激おすすめのこの作品、
 ジャンル的には児童小説、だそうですから、
 本屋さんで探すときには、
 一般小説ではなく児童本のコーナーへ!
 でも、この御本の良さが分かるのは大人(のハズ)です。
 皆さま、ぜひ、一読を~!



 追記:この作品は1982年に刊行された『新仮名草紙 机上庵志異』を
    底本としていますが、
    加筆と修正が為され、
    装画・挿絵も新装されていますので、
    別の作品と考えて御紹介いたしました。
    以前の御本を読んだことあるぞ!という方々も、
    まずは書店さんで実見を!
    惚れちゃいますよ~♪


コメント
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