テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 無人のはて ~

2018-05-17 22:17:38 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでスゥ!
 ふゥ~…しんきょうゥ、ふくざつゥ~…」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!とうとうこの日が!)

 こんにちは、ネーさです。
 伊代表の、そしてユヴェントスの守護神ジャンルイジ・ブッフォンさんが
 先ほど今季限りでの退団を発表しました。
 ファンとしてはただただ感謝……けれど寂しさも増すばかり。
 ついため息しそうになりますが、
 そんな時には、いま評判の↓こちらのフィクション作品で、
 充実の読書タイムを、さあ、どうぞ~
  
  


 
        ―― 世界の終わりの天文台 ――



 著者はリリー・ブルックス=ダルトンさん、
 原著は2016年に、画像の日本語版は2018年1月に発行されました。
 英語原題は『GOOD MORNING,MIDNIGHT』、
 加藤直之さんによる美しい表紙画からもお分かりでしょうか、
 これは“地球と宇宙”のものがたり……。

「ふむむッ! えすえふゥ、でスねッ!」
「ぐるるるがぅるるるるぅ?」(←訳:幻想小説じゃないかなぁ?)

 それは、はるかな未来――ではなさそうな、
 ちょっと先の未来でしょうか。

 老天文学者オーガスティン(略称はオーギー)・ロフタスさんは、
 或るひとつの決心をしました。

   わたしは乗るつもりはない、
   故国への輸送機などに乗りはしない――

「ほッ、ほんきィでスかッ??」
「がるぐるるー!」(←訳:よく考えてー!)

 それは“最後の船”だと思われました。

 最後の救難ボートの、最後の一席。

 北極圏の天文台で観測と研究に明け暮れる科学者たちを、
 故国へ運ぶため、
 空軍の輸送機がやって来たのです。

 救援隊の隊長の言葉に従い、
 学者さんたち急いで荷造りして、
 故国への帰路に就いたというのに。

 オーギーさんだけが搭乗を拒否しました。

「わわッ! ひこうきィ、とびたッちゃッたでス!」
「ぐっるぅっるるぅ!!」(←訳:行っちゃったよぉ!!)

 ひとつの決心が
 オーギーさんの人生をも決定しました。

 北のはて、
 世界の極北の天文台に、ひとりぼっち。

 いえ、天文台にひとりぼっち、なんてものじゃありません。

 世界は――この天文台以外の世界では、
 何かただならぬことが出来(しゅったい)し、
 人類は滅びてしまった……?

 無線は完全に沈黙しています。
 どの周波数も、通信衛星も、
 わずかなノイズ以外は無音――応答なし。

「ううッ、うそでスよねッ??」
「がるぐるぅるる!」(←訳:いや嘘じゃない!)

 オーギーさんの境遇から連想されるのは
 《もしも無人島で》の問答です。

 もしも無人島へ一冊の本を持って行くのなら、
 あなたは何を選ぶ?

 無人島へ持ってゆくのに選ぶのは、
 マッチとナイフ、どちらがいい?

 ……それとも。

 もしも、無人島への旅に
 誰かひとり連れていっていいと言われたら、
 あなたが選ぶのは……?

「あれれッ?」
「ぐるるるるっ!」(←訳:もしかしてっ!)

 北のはての天文台は、
 絶海の孤島、無人島、なのでしょうか。
 オーガスティンさんは本当に
 “最後の船”に乗りそこねた
 “人類最後のひとり”だったのでしょうか。

 飛び立つ輸送機を見送った後、
 オーガスティンさんが発見したのは――?

「ありえないィよねッ??」
「がるぐるるるる!」(←訳:いや有り得るよ!)

 SF的な設定ではありますが、
 ミステリアスな要素も強いので、
 この物語がどう千変万化してゆくかは、
 どうか、読み手の皆さま御自身の眼で
 追っていってくださいね。

 派手ではない、かもしれません。
 けれど、幾重もの波紋と余韻を与えてくれる
 味わい深い作品です。
 ぜひ、一読を♫

 
 

 

 
 

 
 
コメント
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