テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

一瞬で、永遠で。

2018-05-24 22:23:11 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 ほんとうゥにィ、ほんとうゥ~でしたでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがっるるる!」(←訳:虎です!まさかと思ったのに!)

 こんにちは、ネーさです。
 本当だわ……本当にイニエスタさんが日本に来ちゃった……
 ヒョウタンから駒ってこういうことかしら~と動揺しておりますが、
 ならば本日の読書タイムも
 思いっ切りフィクション路線な作品をご紹介いたしましょう。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



        ―― 百万後年のちょっと先 ――



 著者は古橋秀之(ふるはし・ひでゆき)さん、2018年2月に発行されました。
 『A bit ahead of a million light years』と
 英語題名が付されています。
 御本の表紙を飾る矢吹健太朗さんのイラストが目を惹きますねえ♫

「じつにィ~えすえふッぽいィのでス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ヘンテコSF!)

 良い意味でヘンテコな“SF風”な物語――
 実に9年ぶりとなる著者・古橋さんのオリジナル新刊は
 大勢のSFファンさんに待ち望まれていたものでした。

 2005年から2011年にかけ
 『SF Japan』誌上に連載されたショートショート連作に、
 新作ショートショート1編と
 エピローグが加えられ、
 こうして一冊の書籍に……!

「ねんがんッ、かなッてェ~」
「がるる~!」(←訳:感無量~!)

 御本の構造は、
 私たち活字マニアに、いえ、全人類にとって
 とても馴染みやすい形を択っています。

 寝入る前のひととき、
 おとなが子どもに話しきかせる、
 短いおはなし。

「あれにィ、にてるでス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:千夜一夜物語!)

 そうね、ただし、
 この御本でシェラザード姫の役を担うのは、
 年代モノの、一台の自動家政婦です。

 機械の“彼女”が語るのは、

   《百万光年のちょっと先、今よりほんの三秒むかし》

 の不思議なできごと。

「なんでもォありィ~!」
「がるるるぐっるる!」(←訳:なんともビックリ!)

 入門編としておすすめしたいのは、
 本文96ページの
 『穴底の男と凍った娘』
 でしょうか。

 宇宙空間の、
 暗く、深い穴の底に住むひとりの男。

 孤独をかこつ彼のもとへ、
 偶然やって来たのは漂流中の宇宙ゴミ……かと見紛うような、
 壊れかけの難破船でした。

 難破船は、あわや
 穴底の男の手で握りつぶされるところ、でしたが。
 男は慌てて手の力をゆるめました。

 難破船から、声がする……?

「ええェッ? じゃあッ???」
「ぐるるるがるる?」(←訳:生存者がいるの?)

 死者とも生者ともいえぬ、
 その声の主は?

 穴底の男と声、
 それぞれの想いの行方は。

「なんどォ、よみかえしてもッ!」
「がるるるぐる!」(←訳:良いんだコレ!)

 8ページ分の文章(と1ページ分のイラスト)が織り成す
 穴底の男の永遠と一瞬の夢、
 そして
 百万光年のちょっと先の未来と過去の物語たちを、
 全活字マニアの皆さま、
 どうかぜひ、一読してくださいね♫

 

 
コメント
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