テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

江戸ではない江戸にて。

2018-05-28 22:23:50 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぶじにィ、ごォ~るゥ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!偉業だよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 《ジロ・ディ・イタリア2018》総合優勝は
 クリス・フルームさん(チームスカイ所属、国籍は英国)!
 3連続グランツール制覇を果たしたフルームさんと、
 そして昨日の試合で念願のB2昇格を遂げた
 プロバスケットチーム《八王子トレインズ》にも、
 どうか皆さま、盛大な拍手を~!!

「おめでとうゥございまスゥ!」
「ぐっるるぅ!」(←訳:やったねぇ!)

 さあ、叩きすぎて痛くなった手を休めるためにも、
 ここからは読書タイムですよ。
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



         ―― 近松よろず始末処 ――



 著者は築山桂(つきやま・けい)さん、2018年4月に発行されました。
 前回記事ではエミール・ゾラさんの短編セレクションを御紹介しましたが、
 はい、こちらは連作短編スタイルの時代小説作品です。

「えどじだいィ~でスねッ!」
「がっるぐるる!」(←訳:だって題名が!)

 御本の題名には、ええ、ありますね、
 近松、という文字が。

 時代小説で、近松さんといえばもう、
 近松門左衛門さんを措いて他にはありませんでしょう。
 浄瑠璃作者として、
 いえ、日本史上屈指の、
 大劇作家さんである近松さんの生きた時代は――

 元禄です。

「ふァィ~! おえどォぶんかのォ~」
「ぐるがる!」(←訳:花が咲く!)

 戦国時代は遠くなって、
 外様大名諸侯が政権に対して謀反を起こす兆しもなく、
 世情は安穏として、
 江戸の文化は成熟期にさしかかり……
 あら、失礼、江戸じゃございませんでしたね。

「うゥ? えどォじゃあァないのォ??」
「がっるぐるるるるー!」(←訳:だって近松さんがー!)

 ええ、時代は江戸なんですよ。
 でもね、舞台は江戸じゃあないんです。

 そこは、大坂。

 人形浄瑠璃を演し物にしている、
 道頓堀端の竹本座(たけもとざ)が、
 この物語の出発点なのでした。

 『出世景清(しゅっせかげきよ)』
 『世継曽我(よつぎそが)』といった時代物浄瑠璃で
 大評判を取ったあの竹本座!
 今日もお客さんがぎっしり!

「……ぎッしりィ??」
「……ぐるるるる?」(←訳:……空いてるよ?)

 えへん、実はそうなんです。
 ちょっとね、ここのところお客さんの入りが悪くて。

 まあ興行っていうのは
 流行りに左右されるものだから仕方がない、
 仕方がないけどなんかムカつくー!

 と、竹本座の前で舌打ちしているのは、
 花売りの虎彦(とらひこ)さんです。

「みがるなァ、うりこさんッ♪」
「がるるぐるるるがるる~!」(←訳:庶民の花屋さんなんだ~)

 実店舗を持って商売しているのではなく、
 肩に棒を担ぎ、
 その棒の先には花を盛った籠を提げて
 路上で花を売るのが
 虎彦さんの生業(なりわい)です。

 現代でいうなら、ワゴンに花を積んで売り歩く、
 そんな感覚のこのお仕事を
 虎彦さんに世話してくれたのが、
 近松門左衛門さん、だったのです、が……。

「うらにィ、じじょうゥありィ!」
「ぐっるる?」(←訳:やっぱり?)

 おれに花屋なんぞ無理や、
 と言う虎彦さんを近松さんが説き伏せたのには
 ワケが、いえ、或る企みがありました。

 ……公けにしちゃうとマズイかもしれない、
 或る悪だくみ、いえその、或る狙いが。

「こういうことはァ~…」
「がっるるぐるるるぅ!」(←訳:コッソリやらなきゃ!)

 ミステリ仕立てになっている御話ですので、
 これ以上のネタばらしは出来ませんけれど、
 時代ものが好きな活字マニアさんに
 おすすめの作品です。
 江戸好きな御方も、近松さんのファンの方々も、
 どうかぜひ、一読してみてくださいね~♫
 
 
コメント
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