「こんにちわッ、テディちゃでス!
うわわァ、おどろきィ~でスゥ!」
「がるる!ぐっるるるるる!」(←訳:虎です!カッコいいねえ!)
こんにちは、ネーさです。
先日のこと、JR八王子駅の連絡通路ですれちがったのは、
プロバスケットリーグ《八王子トレインズ》所属の選手さんたちでした。
なんたる身長!なんたる筋肉!手足の長いこと!
NBLの選手さんもあんな感じなのかしら~♪と二度見いたしましたが、
そう、駅とは不思議な出会いがある場所です。
本日の読書タイムも、
《駅》が軽からぬ意味を持つ物語を、さあ、どうぞ~!
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―― おもかげ ――
著者は浅田次郎(あさだ・じろう)さん、2017年11月に発行されました。
井筒啓之さんによる鮮やかなブルーの表紙画は、
いったいどこを描いたものか、
御本を手にすれば判る、でしょうか――
「これはァ……ちかてつゥ?」
「ぐるるるがーるるる?」(←訳:メトロのホームかな?)
国鉄はJRに変わっても馴染めたが、
東京メトロはいつまでたっても『チカテツ』だ。
と、胸の内で呟くのは、
竹脇正一(たけわき・まさかず)さん。
その日その時、
メトロの車両内で竹脇さんが
ピカイチに目立ちまくっていたのは間違いありません。
上等なスーツに、
腕には大きな花束。
「ふァいッ! めだちィまス!」
「がるぐるるぅがる!」(←訳:でも捨てちゃダメ!)
ええ、お花を捨てるなど思いもせず、
電車に揺られていた竹脇さんだったのですが。
ふっと、立っていられなくなりました。
バーを握ったまま、身体はずるずると下方へ――
「おじさんッ、しッかりィ!」
「ぐるがぅる!」(←訳:車掌さぁん!)
居合わせた周囲の人びとに援けられ、
意識を失った竹脇さんは救急搬送されます。
集中治療室に運ばれて、
奥さまに付き添われ、
家族、友人、知人さんたちが
彼の枕元を訪れては、涙、また涙。
「びょういんッ、だもんねェ~…」
「がるるぅるるる~…」(←訳:泣いちゃうよね~…)
一方、そのころ。
竹脇さんの意識は、というと。
かろやかに病室を離れ、旅の途にありました。
「うゥッ?」
「ぐるる?」(←訳:まさか?)
黄泉路への旅か、天国への旅路か――
ってことではなくて。
はるかな過去へ、なつかしい過去へ。
重苦しくも、苦々しくも、
忘れたふりをしていてもやっぱり忘れられない、
ついそこの昨日、遠い昨日へ。
「ちょッとォ、おじさんッ!」
「がるるるぐるる~!」(←訳:かろやか過ぎる~!)
一見マジメな文芸作品を装いながら、
それはあくまで仮の姿。
羊の皮をかぶった狼のように、
第二章以降の展開は
ほとんどSF路線を走ります。
いえ、突っ走ってます。
「ぼうそうゥ、しないでねッ、おじさんッ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:のんびり行こうよ!)
竹脇さんの意識――魂は、
旅の車窓にどんな風景を見、
何を想うのか。
彼の乗っている列車は、どこへ着くのか。
じっくりゆっくり読みたいけれど、
いつの間にか
猛スピードで読みふけっているのに気付かされる
極上の“ものがたり”、
全活字マニアさんにおすすめです。
ぜひ、一読を♪
うわわァ、おどろきィ~でスゥ!」
「がるる!ぐっるるるるる!」(←訳:虎です!カッコいいねえ!)
こんにちは、ネーさです。
先日のこと、JR八王子駅の連絡通路ですれちがったのは、
プロバスケットリーグ《八王子トレインズ》所属の選手さんたちでした。
なんたる身長!なんたる筋肉!手足の長いこと!
NBLの選手さんもあんな感じなのかしら~♪と二度見いたしましたが、
そう、駅とは不思議な出会いがある場所です。
本日の読書タイムも、
《駅》が軽からぬ意味を持つ物語を、さあ、どうぞ~!

―― おもかげ ――
著者は浅田次郎(あさだ・じろう)さん、2017年11月に発行されました。
井筒啓之さんによる鮮やかなブルーの表紙画は、
いったいどこを描いたものか、
御本を手にすれば判る、でしょうか――
「これはァ……ちかてつゥ?」
「ぐるるるがーるるる?」(←訳:メトロのホームかな?)
国鉄はJRに変わっても馴染めたが、
東京メトロはいつまでたっても『チカテツ』だ。
と、胸の内で呟くのは、
竹脇正一(たけわき・まさかず)さん。
その日その時、
メトロの車両内で竹脇さんが
ピカイチに目立ちまくっていたのは間違いありません。
上等なスーツに、
腕には大きな花束。
「ふァいッ! めだちィまス!」
「がるぐるるぅがる!」(←訳:でも捨てちゃダメ!)
ええ、お花を捨てるなど思いもせず、
電車に揺られていた竹脇さんだったのですが。
ふっと、立っていられなくなりました。
バーを握ったまま、身体はずるずると下方へ――
「おじさんッ、しッかりィ!」
「ぐるがぅる!」(←訳:車掌さぁん!)
居合わせた周囲の人びとに援けられ、
意識を失った竹脇さんは救急搬送されます。
集中治療室に運ばれて、
奥さまに付き添われ、
家族、友人、知人さんたちが
彼の枕元を訪れては、涙、また涙。
「びょういんッ、だもんねェ~…」
「がるるぅるるる~…」(←訳:泣いちゃうよね~…)
一方、そのころ。
竹脇さんの意識は、というと。
かろやかに病室を離れ、旅の途にありました。
「うゥッ?」
「ぐるる?」(←訳:まさか?)
黄泉路への旅か、天国への旅路か――
ってことではなくて。
はるかな過去へ、なつかしい過去へ。
重苦しくも、苦々しくも、
忘れたふりをしていてもやっぱり忘れられない、
ついそこの昨日、遠い昨日へ。
「ちょッとォ、おじさんッ!」
「がるるるぐるる~!」(←訳:かろやか過ぎる~!)
一見マジメな文芸作品を装いながら、
それはあくまで仮の姿。
羊の皮をかぶった狼のように、
第二章以降の展開は
ほとんどSF路線を走ります。
いえ、突っ走ってます。
「ぼうそうゥ、しないでねッ、おじさんッ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:のんびり行こうよ!)
竹脇さんの意識――魂は、
旅の車窓にどんな風景を見、
何を想うのか。
彼の乗っている列車は、どこへ着くのか。
じっくりゆっくり読みたいけれど、
いつの間にか
猛スピードで読みふけっているのに気付かされる
極上の“ものがたり”、
全活字マニアさんにおすすめです。
ぜひ、一読を♪