テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

窓の外には……?

2018-05-27 22:09:13 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 すぽーつゥにゅーすゥ、いッぱいィでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるるぐるる!」(←訳:虎です!忙しい日曜日でした!)

 こんにちは、ネーさです。
 CL決勝はレアル・マドリーが三連覇達成!
 ジロ・ディ・イタリアはC・フルームさんが総合優勝に王手!
 ツアー・オブ・ジャパンはマルコス・ガルシアさんが初の総合優勝!
 イニエスタさん効果も継続中!
 ……って、ホント、せわしない一日でしたね。
 その疲れを癒すための本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの短編集を、どうぞ~♪

  



           ―― 猫の楽園 ――



 著者はエミール・ゾラさん、2018年4月に発行されました。
 『ゾラ ショート・セレクション』と副題が付されています。

 エミール・ゾラさん(1840~1902)の短編7作品から成るこの御本は
 日本で独自に編まれた“ショートセレクション”ですが……

 ヨシタケシンスケさんによる表紙画、
 短編各作品の扉絵の可愛らしさにダマされちゃいけませんよ♫

「これがァ、おふらんすゥ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:おフランスのセンス!)

 19世紀後半のフランス文学を代表する作家、
 エミール・フランソワ・ゾラさん。

 広く世に知られているのは、
 『居酒屋』『ナナ』『テレーズ・ラカン』などの
 長編小説作品、ではありますけれど、
 短編作品も、もちろん、切れ味痛烈!

 中でも、読後の印象が強いのは、
 表題作品の
 
  『猫の楽園』(原題『La Paradis des chats』)。

「にゃんこのォ、らくえんッ??」
「がるるるるぐるる?」(←訳:ササミ缶の国とか?)

 ニャンコにとっての《楽園》とは、
 ササミやマグロの赤身が降ってくる国、なのでしょうか。

 いえいえ、『猫の楽園』は、↓こんな風に幕を開けます。

    亡くなった叔母が、一匹のアンゴラ猫を遺してくれた。
    こいつときたら、本当にぐうたらな猫だった。
    ある冬の盤、暖かい熾火(おきび)の前で、
    猫はこんな話を始めた。

 そう、新しい飼い主の“私”に、
 猫が語って聞かせるのは、
 叔母さんの家にいた頃の、
 ちょっとした冒険譚。

 2歳とえば、ニャンコ本人(本猫)にしてみれば若い盛りです。
 フカフカの寝床と、
 極上のお肉をゴハンにもらって、
 ああ、毎日しあわせ♫……とはなりません。

「おそとにィ、でたいィ~!」
「ぐるがるるる!」(←訳:外で遊びたい!)

 窓越しに目にする屋根の、なんと魅力的であることか。
 屋根の上で自由に遊ぶ猫たちの、
 なんと愉しげであることか。

 そうして猫は、ある日、見つけてしまうのです。

 台所の窓が、
 閉め忘れられているのを!

「わほゥ! まどをォ、ぬければァ~」
「がるる!」(←訳:お外だ!)

 物語の題名の、
 『猫の楽園』が意味するもの、とは?

 いくつもの読み解き方を可能にしている結末を、
 さて、
 読み手の私たちは
 どう受け止めるべきなのでしょうか。

「ぷふふッ♪」
「ぐるぐる♫」(←訳:くすくす♫)

 以前に御紹介した
 『大きなかぶ チェーホフ ショートセレクション』と同じく
 《世界ショートセレクション》シリーズから刊行されているこの御本、
 海外文学好きな御方、
 短編作品が好きな御方におすすめです。
 訳者・平岡敦さんのあとがきも含めて、
 皆さま、ぜひ、一読してみてくださいね~!
 
 

 
コメント
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