テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

南へ、南へ、どこまでも。

2018-10-23 22:28:53 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 しゅッぱんしゃさんはァ、おおさわぎィ~♪」
「がるる!ぐるぅがるる!」(←訳:虎です!そりゃそうさ!)

 こんにちは、ネーさです。
 皇后陛下の愛読書は、
 P・G・ウッドハウスさん著《ジーヴス》シリーズ!
 と判明して、出版社さんへの問合せ&注文の電話が鳴り止まないとか。
 いや~活字マニアの私たちには嬉しいニュースですね♫
 秋の読書週間がこれでいっそう盛り上がることを望みつつ、
 さあ、今日も読書タイムです。
 本日は、こちらの新書を、どうぞ~!

  



         ―― ゴッホのあしあと ――



 著者は原田マハさん、2018年5月に発行されました。
 『日本に憧れ続けた画家の生涯』と副題が付されています。

「ごッほさんッ、いつのォじだいィもォ~だいにんきィ!」
「ぐるがるぐるがる!」(←訳:西欧でも日本でも!)

 フィンセント・ヴィレム・ファン・ゴッホさん(1853~1890)。

 著者・原田さんの
 小説『たゆたえど沈まず』の主人公は、ゴッホさんです。

 そこには、ゴッホさんの弟・テオさんをはじめ、
 同時代に生き、
 ゴッホさんと係わった人々も活写されていましたが、
 それでもやはり、主人公はゴッホさんでした。

 いまなお――
 というより、いまにしてようやく、
 世界中で高く評価され、
 これ以上はないというほどの高額で
 作品が売買されている画家・ゴッホさん。

 彼の、小説とは別の足跡を、
 原田さんはこの御本の中で追いかけます。

「ひかりをォ、もとめてェ~」
「がるぐる!」(←訳:南へ南へ!)

 ヨーロッパ大陸の北域に生まれた多くのアーティストさんが
 そうだったように、
 ゴッホさんの生涯も“南の明るい光”を探し求めての
 旅だったのかもしれません。

 原田さんはそこへ
 新たな解釈を付け加えます。

 母国オランダから南へ、
 パリへとやって来てはみたものの、
 ゴッホさんはこの華やかな芸術の都と
 正面きって向かい合うことを避けた――

 大好きな浮世絵のような、
 明るい光、
 南の光を求めてのアルル移住、というのは
 言い訳である。

 南への脱出は、まぎれもなく“都落ち”なのだ――

「あうゥッ、そッ、そうなのッ??」
「ぐるるるがるる~!」(←訳:そんなの悲しい~!)

 悲しい脱出行は、
 ゴッホさんを救ったのかといえば……
 答えは複雑です。

 ゴッホさんは病み、
 自ら幕を引いてこの世を去る結果になりました。

 しかし、創作活動に関してなら?

「なにかをォ、みつけたのでスゥ!」
「がるぐるがるぐる!」(←訳:星に月に風に木々!)

 ゴッホさんの最もゴッホさんらしい作品、
 『星月夜』や『アイリス』といった油彩画は、
 明るい陽光こそ射してはいても、
 パリから遠く離れた寂しい地の果て、
 “都落ち”したあげくの、
 わびしい部屋で描かれたものでした。

 さみしさ、わびしさと対極にあるような
 『星月夜』に接し、
 原田さんは思います。

 《ちょっと怖くて異常なほど美しい》――

「うずまくゥ、よぞらッ!」
「ぐるがる!」(←訳:星の咆哮!)

 思いを抱えつつ、
 原田さんは歩きます。
 
 終焉の土地、オーヴェル=シュル=オワーズへ。
 ゴッホさんの、命日に。

「ええッ!」
「がるぅ!」

 冷静さを敢えて振り捨て、
 感情のままに、
 ゴッホさんの足跡を辿る。
 希望も絶望も、光も影も背負って。

 アート好きな御方に、
 とりわけゴッホさんのファン諸氏さんに
 おすすめの一冊です。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♫


コメント
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